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The Who「Quadrophenia」(1973)

とても重厚かつソリッドな演奏が堪能できるザ・フーの歴史的名盤のコンセプトアルバム。
1965年のイングランドが舞台。ジミーというモッズ少年が主人公。彼の4つの人格をモチーフとしたコンセプトアルバムで、後に「さらば青春の光」として映画化もされてます。

ホーンやシンセも導入されてますが、基本はピートのギター、ジョンのベース、キースのドラムの3ピースが基本。たった3人でコア部分を演奏しているとは思えない重厚感。そこがザ・フーのスゴイところです。
またこのジャケットも素晴らしい。

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タイトル通り、波打ち際の音と静かなシンセが印象的な①「I Am the Sea」。荒々しいザ・フーとは無縁のイントロが、逆に何かが始まろうとしている予感を感じさせます。

そしてそれに続く圧倒的に強力な②「The Real Me」。ここでのジョンのベースはリードと間違えるくらいに間奏を埋めていきます。スゴイベースですね。キースのドラムもまさにリードドラム。これぞ、ザ・フー。

タイトルもかっこいい⑤「The Punk and the Godfather」はDisc1での私の一番のお気に入り。ザ・フーらしく適度に組曲風でありながら、難解さはなく、かっこいいギターのリフの応酬で、ドラムとベースがその間を暴れまくるもの。
1979年のライヴ映像がありました。時代から推測するとドラムはケニー・ジョーンズでしょうか?
それにしてもジョンのベース、動きが早いですね~。

Disc1の最終トラックが⑩「I've Had Enough」。キースのドカドカドラムのフィルインで始まるこの曲、イントロのギターのリフの緊張感、ピートの作曲能力にはいつも驚かされます。最高にかっこいい1曲。この当時のザ・フーの楽曲はどれも似たような感じなんですが、どれもかっこいい。

Disc2のトップは①「5:15」。ホーンが高らかに鳴ってます。
アップした映像は1996年のハイドパークでのライヴ。このライヴ、チャールズ皇太子が主催するプリンス・トラスト・コンサートだと思いますが、ドラムはリンゴ・スターの息子、ザック・スターキーでしょうか? 若いギタリストはピートの実弟のサイモン・タウンゼント(年の差は15歳!)。

70年代のザ・フーのライヴ映像がないかなと思ったら、ありました!それが④「Bell Boy」!
シンセを使ったサウンドはとても1973年の楽曲とは思えません。これ、キース・ムーンのテーマソングだったんですよね。この映像を見るまで知りませんでした。味のあるヴォーカルです。しかしこれ、めちゃめちゃかっこいい楽曲です。そして素晴らしいライヴ。この映像に感動しない方はロック好きではありません。

そしてアルバムは佳境に入ってきます。これまたスリリングな⑤「Doctor Jimmy」。この③~⑤の流れはある意味、このアルバム、いやロック史上、最もかっこいいもののひとつかもしれません。

この2枚組の大作はあまりにも強力です。ZEPでもパープルでもGFRでも、ロック史上2枚組アルバムは数多存在しますが、この「四重人格」ほど、ポップでありながらスリリングなロックを聴かせてしまうアルバムもないのではないでしょうか?
実際、ザ・フー自身も以降の作品はパワーダウンしてしまった感もあります。それくらい、このアルバムの熱気はスゴイものがありますね。

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