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音楽の杜がおススメする邦楽

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人生の大半を音楽に注いできた「音楽の杜」がおススメする邦楽アルバム集
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#1980年

今剛「Studio Cat」(1980)

80年代前半の日本のセッション・ギタリストで一番忙しかったのは松原正樹さんと今剛さんだったのではないでしょうか? 私自身は松原正樹さんのプレイが大好きなのですが、寺尾聡の楽曲を聴くにつれ、今さんの魅力にハマり、彼のソロアルバムにも関心が向かい、チェックしてみたところ、これが実に素晴らしいんですよね。また面白い発見もあったので、早速記事に取り纏めました。 寺尾聡の名盤「Reflections」が発表されたのが1981年。バックを務めたパラシュートのメンバーが注目を集めましたが

山下達郎「Ride On Time」(1980)

真夏的な暑さになると、未だにについつい聴いてしまう1枚、それが本作。 J-POPの金字塔的作品。邦楽が洋楽を超えた瞬間、つまり洋楽を自らの音楽に昇華してしまったという意味なんですが、この作品の発表前にもそういった作品はありましたが、商業的な成功という点も勘案すれば、やはりこの作品が金字塔的作品といえるのではないでしょうか? 今聴き返しても新鮮なアルバムですが、やっぱりキーは青山純(Ds)&伊藤広規(B)の強烈なリズム隊。このアルバムで、ついにこのゴールデンコンビ体制が確立さ

EPO「DOWN TOWN」(1980)

元気印のポップス、EPOのデビューアルバムGW明けの週は疲れますよね…。ようやく金曜日(笑)。元気の素となるような音楽を聴きたいものです。そんなときことこのアルバム! 山下達郎、村田和人、竹内まりやと来ればEPOさんしかいませんね。1979年、東京女子体育大に入学したその年に竹内まりやの「September」のコーラス・アレンジを手掛ける。そして本作で衝撃的にデビューを果たします。 エイティーズファンにとってはお馴染み、「オレたちひょうきん族」のテーマソングとなった①「Do

クリスタルキング「クリスタルキング」(1980)

「大都会」より超絶ヴォーカルが聴けるアルバム多分殆どの方は知らない番組と思いますが、年末に放送された「ザ・カセットテープ・ミュージック」の特番「第5回 輝く!日本カセットテープ大賞」を今頃チェックしていたのですが、そこで「最優秀ヒット曲の次の曲賞」を受賞したのがクリスタルキングの「蜃気楼」。ヒット曲の次の曲…、そのヒット曲とはもちろん「大都会」ですね。 クリスタルキングは結構好きで、彼等のデビューアルバムはCDで所有しております(サブスクでは聴けないんですね)。あまりにも懐か

竹内まりや「Miss M」(1980)

TOTO系アーチストとのコラボ、意外と知られていない竹内まりやのAORアルバム AOR好きな方のブログには本作品はだいたい紹介されてますね。私も竹内まりやのアルバムは全て大好きで、ムーンレーベル時代の「VARIETY」や「REQUEST」は本当によく聴きました。でも今もよく聴き返すのはやっぱり本作…。 デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドンといったらAORの中心人物。そのデヴィッドとジェイ、TOTOの面々とタッグを組んだ竹内まりやの4枚目のアルバム。本作はAサイド(①~

Yellow Magic Orchestra「増殖 - X∞ Multiplies」(1980)

今年、高橋ユキヒロ、坂本龍一ご両名が相次いで亡くなられたということは非常に残念なことでした…。 このお二人が在籍していたYMO。今回ご紹介する彼等の4枚目のアルバムは、私の中では「イロモノ」扱いと認識していたのですが、実はかなりYMOらしい毒気のあるアルバムで、今更ながら最近のヘビロテとなっております。お遊びながらも決してお遊びになっていない、そこがYMOの凄いところ。また全盛期にこうしたアルバムを果敢にも発表したこと自体意義深いことと思われます。 当時、ライブアルバムであ

サザンオールスターズ「Tiny Bubbles」(1980)

このアルバムはサザン3枚目のアルバムで、初のオリコンNo.1の作品となった記念すべきもの。正直最近のサザンのアルバムにはあまり興味はなかったのですが、初期のエッジの効いた音はいいなあと思っており、この作品も期待以上のすばらしい作品。 ちなみにこの作品、プロデュースはバーニング・パブリッシャーズ。私は知らなかったのですが、元々サザンはバーニングが出資してデビューしたのですね。初期サザンの権利は未だにバーニングが所有している由。次作「ステレオ太陽族」からはバーニングの名前は見当

松田聖子 「SQUALL」 1st (1980)

あまりにも初々しい松田聖子のデビューアルバム。記念すべき、このアルバムの発売は1980年8月。なんと40年以上前の作品なんですよね。 本作が未だに名盤として語り継がれている理由は、アイドルのアルバムなのに、楽曲のテイストが洋楽フレイヴァーたっぷりであること、ミュージシャンのクレジットが示されていること(ミュージシャンもフォーカスした最初のアルバム、作曲家の小田裕一郎氏がレコード会社に交渉したらしいです)、そして何より松田聖子というまだ原石ながらも素晴らしいヴォーカリストが見事

石野真子「春ラ!ラ!ラ!」(1980)

3連休でもあるので、ちょっと気になるアイドルについて、サラッと言及したいと思います。 それは、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」にも出演している石野真子…。とても63歳とは思えない美しさ。若い頃よりも美しくなっていると言っては言い過ぎでしょうか。 当時はファンでもなんでもなく、数あるヒット曲も別に好きでもなかった…と思っていたのですが、実は石野真子の楽曲は、記憶の片隅に微かに残っていたものが多く、後から「この曲、知ってるなあ」と気付くことが実に多いんですよね。その代表的な

浜田省吾「Home Bound」(1980)

皆大好きな浜田省吾、いつかご紹介するときがくると思ってました(笑)。 ハマショーこと浜田省吾。私、学生時代にハマショーのコピーバンドをやってまして、当時バイトしていたレンタルビデオ屋でハマショーのデビューアルバムからJBOYまで、すべて借りて聴きまくってました。特に印象的なアルバムが「Sand Castle」。初期のバラード集なんですが、ハマショーが素晴らしいメロディーメーカーであることがよく分かる1枚でした。 そのアルバムの中でも大好きだったのが「君に会うまでは」と「丘の上

矢野顕子「ごはんができたよ」(1980)

今回ご紹介する素敵なアルバムは矢野顕子の6枚目のアルバム「ごはんができたよ」。エイティーズ世代の私としては、矢野顕子といったらポップでキュートな「春先小紅」です。「春先小紅」は本作発表の後、翌年の大ヒット曲。そういった意味では本作は、商業的にも大成功を収める前夜の矢野顕子なんですが、実に才能が迸ってる作品なんですね~。 本作は矢野顕子と坂本龍一との共同プロデュースによる作品。一聴してお分かりの通り、YMO(坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣)と関係メンバー(大村憲司、松武秀樹)が

松田聖子「North Wind」2nd (1980)

1980年12月に発表された松田聖子のセカンドアルバム。ファーストアルバムが夏をイメージしたものに対して、こちらは秋から冬のイメージ。 先行シングルは同年10月に発表された「風は秋色」。サードシングルですね。 それにしてもセカンドアルバムにて、もう名盤の風格漂うジャケットです。このジャケットは結構好きですね~。 この頃の松田聖子は、まだ発声が完成されたものではなく、溌剌とした歌い方といった印象でしょうか。アルバムの作りは、やはりリゾートを印象させる作りですね。リゾートアルバ

渡辺貞夫「How's Everything」(1980)

月曜日の朝、天気の良い気持ちよい朝を迎えてます。なので気分晴れやかなフュージョンをご紹介致します。 日本を代表するサックス奏者の渡辺貞夫。 このライヴアルバム、1980年の日本武道館でのライヴを収録した名盤。何といってもバックミュージシャンがスゴイ。 Richard Tee、Steve Gadd、Eric Galeのスタッフ組。それからRalph MacDonaldにAnthony Jackson。Jeff Mironovに大御所Dave Grusin。デイヴは東京フィルハ

松原みき「POCKET PARK」(1980)

昨年11月、突然松原みきの「真夜中のドア」が世界のApple Music J-Popランキングにおいて12カ国で1位を獲得するという珍事があったことは記憶に新しいでしょう。インドネシア人YouTuberレイニッチさんがカバーしたことで元ネタ(原曲)がヒットした典型例ですが、もちろん原曲が素晴らしかったことが珍事に繋がったことは申すまでもありません。 「真夜中のドア」がヒットしていた70年代後半~80年代前半は、シティポップスが輝いていた時代。そこにはAORがJ-POPに大き