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松田聖子「North Wind」2nd (1980)

1980年12月に発表された松田聖子のセカンドアルバム。ファーストアルバムが夏をイメージしたものに対して、こちらは秋から冬のイメージ。
先行シングルは同年10月に発表された「風は秋色」。サードシングルですね。
それにしてもセカンドアルバムにて、もう名盤の風格漂うジャケットです。このジャケットは結構好きですね~。

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この頃の松田聖子は、まだ発声が完成されたものではなく、溌剌とした歌い方といった印象でしょうか。アルバムの作りは、やはりリゾートを印象させる作りですね。リゾートアルバムの代表格といえばユーミンの「SURF&SNOW」ですよね。実はその「SURF&SNOW」、全くの偶然ですが、発売日が本作と一緒なんです。つまりこの当時、ユーミンサウンドが一大旋風を巻き起こしており、そのサウンドをアイドル歌手としてうまく取り込んだのが松田聖子(と彼女を取り巻くスタッフ)だったというのが私の見立てです。

そして次作までの初期のサウンドを支えたのが作詞:三浦徳子、作曲:小田裕一郎のコンビです。私は小田さんの過去のキャリアは知りませんが、恐らくアメリカン・ポップスや当時流行っていたAORが大好きだったんじゃないかなと。そしてその洋楽テイスト溢れるサウンドを見事に歌いきった松田聖子も素晴らしい。松田聖子のセカンドシングル「青い珊瑚礁」は、ヒットすべくしてヒットした名作です。
ちなみに当時、松田聖子が小田さんについて語った貴重な映像があったので、アップしておきます(映像「おはようスタジオ」でしょうか?? 志賀ちゃんも懐かしい。)。

本作は⑧「エイティーン」以外は全曲作詞:三浦徳子、作曲:小田裕一郎の作品です。そして本作は素敵なポップソングの①「白い恋人」からスタート。
この当時の聖子サウンドの特徴であるギターリフが全面に押し出されている楽曲。ギターはフュージョン系のスタジオミュージシャン、土方隆行。キーボードのリフなんかも、当時のAORサウンドを彷彿させます。

間奏がちょっと大人びたサウンドの②「花時計咲いた」。
よく聞くといろいろな楽器が凝った音を出してますね。アレンジが緻密というか。楽曲自体がフュージョン・ポップな感じもします。実はギターはパラシュートの今剛。だからそんなように聞こえるのかもしれませんね。

でも今剛流ギターが堪能出来るのは、やっぱり③「ノース・ウィンド」でしょう。
彼女のキュートなヴォーカルに惑わされますが、楽曲が完全にロックンロールです。終始、彼のかっこいいギタープレイが堪能出来ます。聖子シングルではギターが目立つのは「夏の扉」でしょうか。でもこの曲はそれ以上。いやいや、ホントかっこいい。

①~③の流れから聞くと、④「冬のアルバム」でホッと一息といったところでしょうか。
この曲、タイトルは冬ですが、私は夏のイメージです。夏の昼下がりのボッサ(ボサノバ)って感じですね。ブラジリアン・テイストたっぷりに、彼女の歌い方も非常に大人びてます。

聖子アルバムの中には、だいたい愛らしい楽曲が数曲収録されてますが、⑦「スプーン一杯の朝」なんかはそんな1曲。
3連のキュートなポップスです。間奏の手拍子とか、聖子流スキャットとか、随所に聞き所満載です。

そして⑧「エイティーン」も人気の高い1曲ですね。
シングル「風は秋色」と両A面扱いでシングルカットされたフィフティーズ・サウンド。歌詞もコーラスも含めて、往年のアメリカン・ポップスですね。

まだまだ続きます。⑨「ウィンター・ガーデン」は個人的には本作で一番好きかもしれません。
2回目のクリスマス、恋人と待ち合わせ。一度も遅れたことのない彼が今日に限って来ない。

♪ 誰かが肩をたたく 一緒にお茶でもと
  ふり返ればあなたのいつものジョーク
  遅れてごめんと回したその腕の
  先に見えたリボン私のための・・・プレゼント ♪

キュートに聖子が歌います。また楽曲も聖子サウンドの王道のキューンと来るようなポップスでいいんですね~。素敵なギターソロは芳野藤丸さん。

どうですか~。このアルバムが1980年、つまりもう42年も前に発表されたものだなんて思えないくらい、古臭くないし、色褪せてない。まだまだ松田聖子のヴォーカルが初々しさを残しているところもGood(個人的には彼女の4枚目のアルバム「風立ちぬ」ですべてが完成したと思ってます)。
初期の名作ですね。

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