見出し画像

矢野顕子「ごはんができたよ」(1980)

今回ご紹介する素敵なアルバムは矢野顕子の6枚目のアルバム「ごはんができたよ」。エイティーズ世代の私としては、矢野顕子といったらポップでキュートな「春先小紅」です。「春先小紅」は本作発表の後、翌年の大ヒット曲。そういった意味では本作は、商業的にも大成功を収める前夜の矢野顕子なんですが、実に才能が迸ってる作品なんですね~。

画像1

本作は矢野顕子と坂本龍一との共同プロデュースによる作品。一聴してお分かりの通り、YMO(坂本龍一、高橋幸宏細野晴臣)と関係メンバー(大村憲司松武秀樹)が全面参加した作品。当時はYMO絶頂期であり、彼等の演奏・アレンジが素晴らしいのはもちろんなんですが、それ以上に彼等と全く対応に渡り合う矢野さんの独特の詞と楽曲、唱法がとてつもなく素晴らしい。

まずはアルバムトップの①「ひとつだけ」。イントロからYMOの世界、でも矢野さんのヴォーカルとピアノが流れた瞬間に彼女の世界に入ってきます。やっぱり彼女の世界観とYMOがバッチリ合ったんですよね。あとこの曲のサビは力強く、そしてポップ。いつ聴いても鳥肌モノです。

ついでに、ついでにすみません。この力強いサビ、あの忌野清志郎が歌ってます。2002年のフジロック、矢野さんとのデュエット映像です。天才2人のあまりにも素晴らしいデュエット。これもまた鳥肌モノですね~。見入ってしまいます。間奏での清志郎さんのハーモニカも素敵です。
♪ 離れている時でも 僕のこと 忘れないでいてほしいよ ねぇ おねがい ♪

この素晴らしいオープニングから続けてキャッチーな②「ぼん ぼん ぼん」。ユキヒロさんのドラムはシャープで心地いいなあ~。アッコさんのリズミカルなピアノとユキヒロさんのドラミングもバッチリ合ってますね~。

めちゃめちゃロックチューンもご紹介しておきます。④「在広東少年」。YMOバージョンでは「Kang Tong Boy」ですね。コレ、アッコさんの楽曲です。こうなったら超カッコいいYMOバージョンをアップしておきます。ここでもユキヒロさんのドラムが走って走って走りまくってます。カッコいい!コメントにもありますが、大村憲司さんのギターソロも圧巻。こんな素晴らしい演奏、日本のバンドが1980年当時にやっていたとは…。

YMOといえば、④「在広東少年」はアッコさんの楽曲ですが、⑦「Tong Poo」はご存じYMOのカバー。作曲は坂本教授。この楽曲にアッコさんが後から詞をつけたもの。ここでのバージョンは、少しテンポを遅くして、シンセ感をアップした感じ。いや~、ここでもやっぱりアッコさんが共演しているYMOバージョンをアップしておきます。この当時のアッコさん、完全にYMOの一員ですね。こちらのギターは渡辺香津美。このメンバーも凄いし、この音、とても1979年とは思えない!

矢野顕子はセカンドアルバム「いろはにこんぺいとう」で、シンセプログラマーに松武秀樹氏を起用。松武氏を接点に1977年にYMOメンバーと急接近。1978年にはYMOのツアーメンバーとなります。YMOももちろんスゴイんですが、ひょっとしたら、当時のYMOの触媒となっていたのは矢野顕子ではないか…とも思ってしまうのです。彼女の作曲・アレンジセンスって、ちょっと神懸ってますよね。
彼女のセンスがさえわたった1曲が⑨「げんこつやまのおにぎりさま」。もちろん有名な童謡をアレンジしたものなんですが、約8分強の名演。誰がこんなアレンジ、出来るでしょう。こちらもかなりカッコいい。
こちらも圧巻のライブ映像を。ギターは佐橋佳幸、お~、ベースはアンソニー・ジャクソン!この演奏も強烈です。いや~、これ童謡なんですよね…。ちなみにスタジオ録音ではひばり児童合唱団、ギターに鮎川誠が参加。実はこのスタジオ録音のひばり児童合唱団のコーラスも素敵です。機会があったら是非チェックしてみて下さい。

かなり私好みの⑬「ごはんができたよ」。これはサードシングルです。ユーモラスな詞と、フィルインで飛び出すシンセドラムが愛らしい。ここでは細野さんのベースがいい味出してます。すごく奥行きが深い印象を与えるベースです。そしてここでのひばり児童合唱団のコーラス、いいですね~。特にエンディング、最高!!

本作は他にも藤山一郎(!)のカバーの「青い山脈」とか、名曲「また会おね」、バラードの「You're The One」…とにかく圧巻の名曲揃いのアルバムです。是非是非未聴の方はチェックされることをお勧めします。

最後に懐かしい「春先小紅」をどうぞ(教授とユキヒロさんは分かりますが、ベースは細野さんじゃないんですね)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?