読書感想文が好きな子もいる

こんにちは、ゆのまると申します。

気付けば8月も下旬に入り、日中の暑さもほんの少し落ち着いてきたようです。

となると、長かった子どもたちの夏休みももうすぐ終わり。宿題のラストスパートに向けて、日々戦争状態のご家庭もあるかもしれませんね。私はもう夏休みの宿題から解放されて久しいですが、各種メディアで「オススメの自由研究」などのテーマを組んでいると、あぁ今年もこの季節がやってきたのかとしみじみします。


ところで夏休みの宿題といえば、読書感想文。しかし近年、「読書感想文なんて書いても意味がない」などとネガティブな意見が多いように感じます。

「『つまらなかった』と書いたら怒られた」「課題図書が興味のない本だった」と子ども時代の苦い記憶を思い出す人も多いようで、読書感想文代行業なんてのも盛んなんだとか。

ちょうど先日も、某作家先生たちが「読書感想文は好きだったか」という話題でTwitter上でリプライを飛ばし合っていました。第一線で活躍する小説家の子ども時代はどうだったのかと、興味深く読ませていただいた次第です。

そこでは、最近大きくなってきた世間の声と同じく、嫌い(苦手)だったという方がいる一方で、「好きだったし褒められて自信になった」というポジティブな意見もありました。綾辻先生はというと、「得意だったけど好きじゃなかった」そうな。


およそ20年前のことを思い出しますと、私は読書感想文、得意でした。

漢字ドリルや自由研究、絵日記なんかの他の宿題の中では、「まぁその気になればすぐやれる」ものだったと思います。なんというか、子どもながらに「こう書けばOK」というパターンを比較的早くに掴んでいたんですよね。

リズムに乗るために数行あらすじを書いたら、印象に残ったシーンやセリフを挙げ、どう感じたか・自分だったらどうするかを想像する。時折あとがきの言葉も借りれば、指定の原稿用紙の枚数はすぐ埋まります。

正直な言い方をすれば、このパターンだと文章が整って見えるし、大人にも褒められやすいことに気付いていたんですね。よく大人の顔色を窺う子どもだったから、「こう書けば褒められるだろう」と忖度することへの抵抗が小さかった。まったく、我ながら子どもらしくないですねぇ。


私達が宿題として書いた読書感想文は、国語の先生がとりまとめて県に応募し、めでたく金賞や銀賞に選ばれた作品は冊子に載ることになっていました。

幸運なことに私も何度か賞に選ばれ、その冊子に載ったことがあります(えへん)。

そしてその時に選んだ本は、今でも覚えています。あさのあつこ先生の『バッテリー』と、ディートロフ・ライヒェ作『フレディ 世界でいちばんかしこいハムスター』です。

『バッテリー』はマンガや映画にもなりましたし、ご存知の方も多いでしょう。私が小学校高学年の頃のバイブルでした。

一方の『フレディ』。これはとてもかしこいハムスターのフレディが、パソコンで字を覚えたりして人や動物とコミュニケーションを取りながら、度重なるトラブルに立ち向っていくお話です。

今となっては内容を忘れてしまった部分も多いのですが、当時はチャレンジ精神にあふれるフレディに励まされる部分が多く、続編が出るたびに誕生日やクリスマスプレゼントとしてねだったものでした。手書き風の挿絵もとってもかわいいんです。今度実家に帰ったら探してみようっと。

読書感想文の結果が載った冊子のページをめくれば私の名前があり、読んでいてワクワクした一冊をたくさんの人にオススメすることができる――それはなんとも誇らしい気分でした。


読書感想文の是非は教育評論家が問うべきであり、私は良いとも悪いともわかりません。

ただ、あの頃の私にとって、好きな本を読んで文章を書くという行為が自信につながったことは確かです。20年近く経った今でも書くことに抵抗がないのは、少なからず当時の体験が影響しています。

ですので、毎年この時期に読書感想文に対する恨みつらみを目にすると、少しだけ悲しい気持ちになってしまうんです。それで褒められたから、自信がついた人間もいるのになぁ、と。

今はお子さんでも簡単にインターネットにアクセスすることができますし、そこで大人たちが好きに言い合っている場面を目にしてしまうこともあるかもしれません。

でも子どもたちには、たとえば漢字の書き取りでも自由研究でも習字でもなんでも構わないから、夏休みの宿題の中で「これはできる、好き!」というものがあれば、それを大切にしてほしいなと思うのです。必ずしも実を結ぶとは限らないけれど、自分を支える柱は多い方がいいですからね。

あっという間に夏も終わりに近付き、かつての宿題の記憶を思い出した私なのでした。おしまい。



(ちなみに、真っ白い原稿用紙がトラウマで、読書感想文が死ぬほど嫌いだったという夫も今や立派な物書き。人生どうなるかわかりませんね)

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