10歳の私から手紙が届いた話
こんにちは。夕霧です。
先日、就職に伴う引っ越しの荷づくりのために、部屋を片付けていました。
もう必要のなくなる大学の授業ノートを取っていたルーズリーフなどを、容赦なくゴミ袋へ。ルーズリーフは授業ごとにクリアファイルに入れていたので、分別のために一旦ファイルの中身を出して、さっと確認してから処分するようにしていたのですが、その中からなんと……
なんか手紙出てきたんだが。
これは、小学4年生の私が、10年後の私(20歳)に宛てた手紙。
学校の道徳か総合かなんかの授業で、1/2成人式(10歳)を迎えた私たちから、20歳の成人式を迎えた10年後の自分に手紙を書いてみよう!みたいな感じで書いたやつです。
私は2年前に成人を迎えているのですが、確か20歳を迎えたタイミングで母から手渡された気がします。10年もの間、大事に取っておいてくれていたんですね。
ただ、これを母から渡された当時は、小学生の時に書いた自分の文章を読むだけで気恥ずかしくて、一回読んですぐ仕舞っちゃった気がします。
だから、片付けの途中でこれを発掘したときは、何が書いてあったか全く覚えてなかったんですよね。だから、成人して2年半経った今、もう一度読み返してみることにしました。
散らかった部屋の中で、12年前の自分が書いた手紙を開きました。
以下、手紙の内容(ほぼ原文ママ)です。やっぱり少し気恥ずかしいですが。
……読んでいる途中から、気付いたら泣いていました。
なんて純粋で、将来への希望に満ちてるんだろう、と。
そして、この時思い描いていたような大人に、私はなれたのかな。
書道とピアノは、中学までずっと習っていました。この時は書道がとても楽しかったようですね。因みに雅号というのは、本名以外の書道家としての名前のことです。(武田双雲先生の様な感じ)
私の通っていた書道教室では、高校生以上にならないと雅号を取得する試験を受けられなかったので、めちゃくちゃ憧れていました。
専門まで書道を続けていた妹は雅号を取得していて、今でもとても羨ましいです。笑
小4当時学生部で準二段だったと書いていますが、最終的には学生部で最高位の八段まで行き、高校生になって一般の部に移ってからも、初段まで行きました。よく頑張ったね。
高校までは部活で書道をやっていましたが、大学に入ってからはやめちゃった。それに、就職先は全く書道に関係ないIT系。
……夢、変わってしまった。ごめんね。
「今のわたしは頭が良くないけど」ってあったけど、あんた小中が一番頭良かったで。歳を重ねるにつれ、頭はそんなに良くなくなっていきます。小中の頃のように100点が当たり前に取れるわけではなくなってしまいました。
でも、大学では勉強頑張ったよ。一番ではないけど、自分なりに楽しく勉強できた気がする。
鉛筆の持ち方は、結構改善されました。完璧にキレイな持ち方かと言えばそうではないかもだけど。笑 たまに癖が出てしまうけど、意識的に鉛筆と箸の持ち方は直すようにしてます。そこは心配せんでくれ。
規則正しい生活は、できてないです。この文言を見たとき、一番沁みたかもしれません。笑
卒業研究で死にそうになりながら4、5か月を過ごしてきて、早起きはするけど圧倒的遅寝だし、朝ご飯も夕飯も食べない日なんてざらになってしまった。
小学生の私に、まさか食と睡眠について指摘されるとは……笑
今はもうやることがいっぱいいっぱいでできないけど、社会人になったら絶対規則正しい生活をすると心に誓いました。
親孝行は、形になるような何かはできていないかもしれない。わからない……
まだ両親の手から完全には離れていなくて、お世話になりっぱなしだからちゃんと恩返しして、感謝を伝えなきゃ。
そして、今の私の”夢”って何だろう。
幼いころから「将来の夢は?」の質問がとても怖かった。みんなが将来やりたいことを挙げる中で、私は「そんなの将来になってみないとわからない」と思っていました。
なんか、現実味のあるつまらない子どもだったんですよね。
周りの大人を安心させるために、「ケーキ屋さんになりたい」「ピアノの先生になりたい」「書道家になりたい」って言ってたというのもちょっとある。だから、外向きの"将来の夢"は、コロコロ変わりました。
「安定した人生を歩め」と言われて育って、両親祖父母からは、やれ公務員だ、医師だ薬剤師だと、そういった職業ばかりを薦められてきました。
……でも、本当に書道家になりたいという気持ちは確かにあったんだろうな。
芸術で食っていくって本当に大変なことだというのは小学生でもわかってて、でも、絵や書や歌や芸能で生きていくという選択をするのには、とてつもない努力と勇気が必要で。
「安定」ばかりを耳にしてきた私には、その選択をする勇気がなかったし、努力も見合っていませんでした。
だから今、書道家ではなくて会社員になるという道を選んだわけだけど。別に会社員だろうと安定が確約されるわけではないけど。
それでも、やったことのないエンジニアに挑戦したいというのは、今の私の夢かもしれません。
大人になった今、将来の夢は?と聞かれたら、パッと答えることはできないと思います。やりたい職業とかでは答えられないかも。
だけど、「こんな人になりたい」っていう答え方ならできると思う。
どんな仕事でも楽しんで、興味を持って、誇りと責任を持って、クソ真面目にこなせる自信だけはあります。仕事や生きているうちに経験するあらゆることを通して、他人から頼りにされ信頼される人間になりたい。誰かの喜ぶ顔を見たい。
将来おばあちゃんになった時、「なんだかんだ楽しかったな」って思って死ねたらそれでいい。
具体的に何になりたいかではなく、自分がどうなりたいかという夢というか、人物像はあるかもなあ。これが将来の夢かと言われたらわからないけど。
でも、それを10歳の私が思い出させてくれました。
今、10歳のあなたが思い描いていたような大人にはなれていないかもしれない。ずぼらで、だらしなくて、生活リズムもめちゃくちゃで、ご飯も食べず、ろくに寝もせず、部屋も散らかって、やることも後回しにしてしまったりして。
だけど、大学を卒業する今、この大学を選んで、この学問を選んで研究できて、本当に良かったと思っています。書道もピアノも何も関係ないし続けてもいないけど、あの時に培った様々な力は、今の私にちゃんと繋がってる。
仕事も全然やったことないジャンルだけど、それでもとても楽しみなんです。
夢を叶えられなかったのは当時の私に申し訳ないけど、生きていくうえで夢ややりたいことが変わっていくのは自然なことです。今の私は、2週間後から始まる新しい生活に希望を抱いています。
書道家になりたいという夢も完全に諦めたわけではなくて、人生のどこかで叶うかもしれないし。
いっぱいいっぱいで空っぽになりかけていた今の私に、子どもの頃の私が何か足りないものをくれたような気がしました。
このタイミングでこの手紙が出てきて、よかったかも。
もう少しで学生もおしまい。夢を追いかけるという素敵なことを思い出した今、これからの社会人生活をより楽しんでいける気がしています。
10歳の私、ありがとう。22歳の私も、頑張るね。
それでは、今回はこのへんで。
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