「国債の利払い」によって財政赤字が増加する
この記事では、国債の利払いによって財政赤字が増加することを検証していきます。
具体的には、国債の利払いを簿記でシミュレーションします。
【条件設定】
国債 合計残高 1000兆円
金利 0.8%
日銀 保有国債 538兆円
民間銀行 保有国債 323兆円
民間 保有国債 72兆円
海外 保有国債 67兆円
【条件設定の情報源】
国債の金利は、財務省の資料から「0.8 %」としました。
国債の残高は、直近2023年12月末次点で約1088兆円です。切りよく1000兆円としました。
1.日銀(中央銀行)、2.民間銀行(金融機関)、3.民間(非金融法人・家計)、4.海外部門 の保有国債は、資金循環統計から割合を算出しました。
「国債の利払い」を複式簿記で見る
国債の利払いは、4つの手順から行っています。
国債の利息が発生
政府は、国債の利払費を短期国債で調達
政府は、利息を支払う
短期国債を長期国債へ付け替え
従って、国債の利払いは、以下の図1枚で表現出来ます。
結果、日本銀行、民間銀行、民間、海外部門の4部門は、利息の分(合計8兆円)資産が増加しています。
一方で、政府は利息の8兆円分、国債が負債として増加します。
実際、これに似たような操作を行い、日本政府(財務省)は国債の利払いを行っています。
政府の赤字は、民間・海外の黒字
政府の負債、国債が増えたことは悪いことでしょうか?
いいえ。政府の赤字は、1.日本銀行、2.民間銀行、3.民間、4.海外部門の4部門の黒字になっています。その4部門にとっては、政府が赤字になることで、収入が得られているので良いことです。
これは、マクロ会計の恒等式で考えれば当たり前のことです。
ただし、日本銀行は国内政府部門に属すので、日本銀行の収益は国庫に還り、結果的に政府の赤字額は縮小されます。
従って、日本銀行が日本国債を大量に保有することは、政府にとって大きなメリットになります。
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