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急ぎ足の電車に揺られながら

 月曜の朝は、ラッシュアワーでなくとも皆急ぎ足である。荷物を抱える者、バックパックで駆ける者、狂騒の中を優雅に歩く者、その形は様々だが、とにかく休日気分からの切り替えが求められる。

 昨年前期は火曜日と木曜日以外のすべての曜日が一限からだったため、本来であれば毎日この騒ぎに巻き込まれているはずだった。しかし、学生の方々が経験した通り、オンライン授業のおかげで命拾いをした。本音を言えば、一限からの授業はほとんど内容が入って来ない。一昨年はレッドブルを常備薬のように飲んでいたが、もうエナジードリンクは止めてしまったため、睡魔に打ち勝つ手段を持ち合わせていないのである。

 アンダース・エリクソンの研究によれば、「人は一日四時間しか集中できない」らしい。何処の研究かは忘れてしまったが、連続では一時間も集中力が持たないそうだ。

 これらの研究を踏まえれば、現在の初等教育・中等教育というものは、難解な言葉を積み重ねなくとも最善のものではないことが理解できるだろう。そこのあなたに訊ねるが、そなたは授業中に寝たことがないと断言できるだろうか?

 私の在籍してきた教育機関は、五十分の授業に十分の休憩が標準であった。小学校では長めの休憩が二限目と三限目の間に挟まれていたが、これは異例だろう。

 友人が誇らしげに語っていた、お昼寝の時間やそれに等しい休息が学生にも必要なのかもしれない。

 日本では電車で眠っていても比較的安全だからか、時間を問わず、休息している方をよく見かける。私は手持ち無沙汰な時だけは目をつぶっているが、外国の方からすると不思議なのだろう。知人と電車に乗ると、わりとその理由を尋ねられる。

 わが国の人々は「働き者」だそうだ。定時を迎えても帰らず、残業し、学校でも部活動のために何も言わずとも全力を注ぐ。

 だが、これらは無数の過労とともに形成されたものではなかろうか。最近の出来事を見ていると、そんな気がしてならないのだ。

 P.S)今日の阪急神戸線は珍しく遅延していた。

 2021.6.29
 坂岡 優

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