「タイガー&ドラゴン」
僕は面白い物が好きだ。
面白い事も好きだ。
そして、面白い人が好きだ。
それもfunnyなだけじゃなくって、interestingな感じが好きなんだ。
かなり最近になってからである。
僕はやっと落語への想いを人に伝えられるようになった。
具体的にいうと「タイガー&ドラゴン」というドラマが放送されたおかげである。
これは十代の人たちにも落語や噺家さんの格好良さをインプットしてくれた。
今まで僕はあまり大きな声で落語の話をしてこなかった。
別に隠していた訳じゃないんだけれど、きっとそういう世代なのだ。
例えばサークルの飲み会で、面長の奴の頭をグルグル回して、
「手水(ちょうず)廻しっ!」などと叫んでみても、ピンとくる友達は皆無に等しい。
居酒屋の太鼓を勝手に叩いて、
「火焔(かえん)太鼓~っ!」などと叫んでみても、ピンとくる友達は皆無に等しい。
さらにはお茶碗の底を眺めて、「はてな?」などと首を傾げてみても…。
とはいえ、数少ないピンと来た人には落語好きを公言させて頂いていた。
意外と身近な音楽関係者とかは逆に僕のその事を知らない。
人見て法を説く、なんて良いもんじゃないんだけれど、
人見て放っとく、事はしていたみたいだ。
別に古典落語が大好きな訳じゃない。
創作落語であろうが面白ければそれでいい。
もっといえば落語じゃなくっていい。
漫才でも映画でもスタンダップ・コメディーでも新喜劇でも。
そう、何が何でも面白くなければ意味がない。
僕にはその面白い物の一つに「落語」という選択肢がある。
久々のお笑いブーム到来である。
とにかく若手芸人でバラエティー番組は賑やかだ。
ただ、この中には若手の噺家さんの姿は見当たらない。
これは僕にとってはかなり残念なことだ。
「仁鶴」も「三枝」も「志の輔」も「鶴瓶」も、あの「明石家さんま」だって落語家なのに。
今のお笑いブームがいたずらにTVタレントを増産していくだけなのは予測できる。
TVにとってタレントは商品に過ぎないので、飽きがくれば当然見切られるだろう。
しかし芸というのはどこまでいっても商品には成り得ない。
この芸の部分を受け入れるかどうかは日本の文化の成熟度を表すことになる筈だ。
カルボナーラを食べたいのか、あの店のカルボナーラを食べたいのか、そこが問題だ。
なんにしても僕はカルボナーラらしき物を食べさせられるのだけはゴメンだ。
でもそれがすごく美味しかったらinterestingなんだな、これが。
[2005/9/24 HP更新]
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