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『耳をすませば』が背中を押している

期待を持って冒険に出たはずなのに、“ラピルラズリ”を見つけた、と思って手にしたものが、雛(ひな)の死骸にかわり、叫ぶ。

耳をすませば

スタジオジブリの作品、『耳をすませば』のワンシーンだ。地上波での放送やDVDで見たことがある人も多いではないだろうか。

カントリーロードの曲に合わせた中学生のまだ幼い“青春群像”が印象的な作品だ。我が家は、テレビを長々つけない。観たいものを絞って電源を入れる。今のようにサブスクで色々な作品が見れる生活が始まる前までは、ジブリのDVDはその一つだった。

『耳をすませば』は中学生を描きつつ、全世界の大人に向けて発信しているように思えてならない。“やりたいこと”がある人、「何かしなきゃ」と思っている人に共通する不安を色濃く表現しているからだ。

主人公の月島雫は仲良くなった同級生天沢聖司がバイオリン職人になろうとしていることを知り、突然焦り始める。自分も何かしなきゃと、本が好きなことから、小説を書く、と決める。もしかするとそれまでにも漠然と抱いていた夢かもしれないが、人と比較してその輪郭をはっきりさせないといけない、と感じてしまうのだ。

人はなぜ、焦ってしまうのだろう

人はなぜ、焦ってしまうのだろう。

専業主婦になって子供の一緒に見ていた私は、最初、月島雫の焦りにピンとこなかった。青春時代の自分とリンクさせていたからだ。

中学の頃の私のベクトルは、未来ではなく自分自身に向けられていた。いかに自分が「ダメな人間か」と言う考えに囚われ続けていた。

高校1年の時に、その思いから解放された後も、「本を出したい」「人間科学を学びたい」「資生堂に入って女性の喜ぶ顔を見たい」と夢を点々としながら、焦ることがなかった。私は月島雫のように人と自分を比べることはできず、常に、客観的に見ているもう1人の私がどう思うか、どう満足させるかを考えて生きていたのだ。

自分の中の月島雫が叫ぶ

自分の中の月島雫が叫んだのは、34歳になってからだ。

子どもが2人の時、下の子が小学生に上がるタイミングで働き始めよう、と決めていた。その後さらに2人の子供に恵まれて、「いつか働かなきゃ」ぐらいの気持ちまで、働くことへの気持ちがひいていた。

あるきっかけで自分のアイデンティティが“子ども”にあり、依存していると気づいて再就職を具体的に考え始めた時。その後、自分の経験をもとに“女性のありとあらゆるステージで応援する活動をするぞ”と決めて開業した時。

何度も繰り返し見た月島雫が現れる。

「進んだ先に、本当にラピスラズリはある?」

「本当にこれが自分のやりたいこと?」

正体のわからない焦りが襲う。進んでいるはずなのに、自分がその場にふさわしいだけのことができない。実力不足や、思い違いをしていないか、という考えに何度も行き着く。

正体のわからない焦りを薄くする方法

どう焦ったところで、事実は変わらない。焦った時ほど、意識していることがある。「自分を知ること」と「学ぶこと」だ。

わかったと思っても、時間が経てば、自分の頭の中は変わっている。しっかり自分でこれだ、と言える状態でいれるよう、自分のしている行動に「違和感」を感じたら、振り返る。新年になる時、など何かが変わる時にも、必ず見直す。

月島雫は、自分の力不足を知って、最初の読者のおじいさんに宝石の原石であると諭される。自分の中身は中学生でも大人でも玉石混淆、いいものも、大したことないものも混ざっている。どれを選んで削り、磨くのか。

それはいつだって自分の自由だ。

もちろん、私は主婦としての力を磨くことだってできる。経営者としての力も然りだ。

そして、それぞれに対して「できてないなぁ」「これでいいのかなぁ」と思っているだけでは、何も変わらない。だから、学ぶのだ。学べば、学んだだけ、そしてそれを実行しただけ、人は成長できる。

自分はまだ、足りない。でも、これだけ学んできたんだ。

そんな小さな自信が、道を進むランプの油になる。

冒険の道はいつも晴れているわけではない。見通しのいい朝もあれば、闇に近い夜もある。歩くたびに花々を見つけられる気候の良い日もあれば、暑くてフラフラする夏もある。凍えそうな冬もある。

だから、学んで道具を手にしていくのだ。月島雫は、あの後高校を卒業して大学生になったかもしれない。大学生で小説家になったかもしれないし、社会人になって色々な経験をしてから小説を書いたのかもしれない。結婚をして育児がひと段落してからかもしれない。何せ、雫の母親は雫が中学生になってから、大学に通うことを選択したのだから。

『耳をすませば』は早くから全てを決めなくていい、とも好きなことをやればいい、とも描いている。いつでも遅くないと。こうして、背中を押してくれている。

私は「何かやりたい」「女性をキレイにする仕事がしたい」と思っている人が、やりたいことを見つけ開業するサポートに、尽力している。「自分を知る」「学ぶ」を主軸にセミナーを行い、やりたいことを実現するための手伝いをしている。急かすのではなく、『耳をすませば』のように背中を押すような存在でありたい。






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