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一杯のお茶と紡ぎ出す言葉

私は、最近やっと目の前の人とのんびりとお茶をする時間を楽しめるようになれた。

それまでの私はいつも仕事が忙しくて、何だかいつも体調が悪かった。人と逢うよりも、とにかく早く横になって休みたいと言う感じで、心からリラックスして人と向き合う事なんて全然出来ずにいた。そして、何よりも人と向き合う前に、自分と全然向き合えてなかったと思う。

生きてる意味が分からない、だけど、死ねないから生きているみたいな感じでいつも何かを探してた。
必死でお洒落をして外見を磨いてみたけど、ちっとも自分を好きになれなかった。
いつも、何かが足りなくて何処に居ても自分の居場所じゃないような感じで居心地が悪い。

仕事以外で人と話す意味が分からないぐらい忙しさで心がやられていて、切迫詰まっていた。その内に友人に逢う事すら、苦痛になっていた。

だけど、この世界を生きていくには金が要る。だから、止まりたくても止まれない。止まれないから、ますます自分の事が見えなくなる。

「お金が無くなることは、命が亡くなる事と一緒やで」

ふと、祖母に言われた言葉を思い出す。
だから、皆んな命を懸けて金を稼ぐ。時に、人は金の為に命を投げ出してしまう。体を壊してまでも、金を稼ぐ事に必死になる。

じゃあ、私は金を稼ぐ為に生きているのか?
と、問われたら、きっと違うと言う。

じゃあ、何の為に産まれてきたのか?

分からない時は分からなくても良い。理由なんて、全部後付けで良い。分からないから、皆んな何かを探して必死にもがいて生きている。誰だってこんな時代を生きていたら、自分が嫌いになるし疲弊してしまうと思う。


そんな全ての苦い経験が、幸せをより幸せに感じる為の種だったのだと、いつか分かる時がくる。

考えすぎて疲れたら、とりあえず考えなくてもいい。
まずは、一杯のお茶を淹れて香りを嗅いでみる。ゆっくりとお茶を味わったら、自分の心の奥に宿る声にそっと耳を傾けてみる。言葉を丁寧に、紡ぎ出していく。
そんな時間から、自分の新しい物語りは始まっていく。

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