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芸術主義と精神主義に苛まれ

こんにちは絶賛自宅で自粛中のゆうです。
今は年間100冊くらいの本を読むようになって映画も年間50本くらい見ている僕ですが、高校生の頃なんて読んだ本の冊数は多分本当に3冊とかです。高校生の頃は部活のバドミントン に精一杯で本気でインターハイを目指していた少年でした。結果としてインターハイではなく、九州大会にチームで出場して個人戦でも県ベスト8でしたが。そんな僕が第一志望ではなかったものの国立大に現役で無事受かり大学生になったわけです。しかしまぁ、大学1年生の時の講義というものは大体のものがつまらないものでした。面白いのは心理学と宗教学ぐらいです。しかし、2年生になって米国社会文化という論という講義があり、その中で僕はある一人の作家と出会い、そこから本を少しずつ読むようになるのですが.....

さてここから本題なのですが、みなさんJ.Dサリンジャーという人物はご存知でしょうか。この人は1919年に生まれたアメリカ人作家で2016年に亡くなられている方なのですが、彼の最後の出版物は1963年で止まっています。ではなぜここまで彼は未だに20世紀のアメリカ文学で最重要人物とまで崇め奉られているのか。今回はそのことを彼の伝記映画?の『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』を通しながら彼の過去を書いていこうと思います。

彼は1919年に比較的裕福な家で生まれ、小さい頃は俳優でそして年を経るにつれて作家という夢を持ち始めました。大学をドロップアウトしていた彼ですが、本気で作家になりたいという願いを母に伝えたところ家族で話し合った上でコロンビア大学に進学します。また、この少し前のタイミングで恋仲になるウーナと出会います。それだけでなく、彼は恩師であるバーネットと出会います。彼はストーリーという雑誌の主宰者でもあったので、彼の作家になりたいという覚悟がどのくらい本気なのか確認した上で自分の雑誌に載せることになります。当時の彼は短編しか書いていませんでした。しかも彼は商業主義をとことん嫌っていた作家であり、自分が書いた内容は決して曲げることもありません。そのため彼の作品は大人たちからハッピーエンドにすべきだという指摘もいくらばかりか受けましたが、現実にはそんなに甘くないという理由で拒絶していました。彼はあくまで自分の描きたいものをかく芸術至上主義だったんですね。しかし、バーネットは彼には才能があるということを見抜いていたので短編の中に出てきたホールデン少年を長編小説にして出版することをアドバイスをします。しかし、前述したように彼は短編しか描いたことがありませんでしたが、チャレンジすることにするのでした。

そんな時世の中は大きく変わってしまいます。第二次世界大戦が怒ったのです。彼も一人の軍人としてヨーロッパへと行ってしまうのでした。しかし、彼はこんな時でも片手には紙とペンを持ってホールデン少年の話を書き続けるのでした。このまま完成すればいいのですが、そういうわけにはいきません。彼は軍の同僚が読んでいた英字新聞のある記事を目にしてしまいました。その記事とはウーナとあのチャーリーチャップリンが結婚したという記事でした。彼は絶望の淵に立たされてしまいました。そんな彼にはまだ酷な現実が襲いかかります。それは侵略するという通告でした。彼でこれで命を失うことを考えたのです。結果的に彼は救われたのですが、多くの人間の死に直面してしまいます。彼はアメリカに出版のために帰国しますが、長編小説を書き続けることができません。タイプライターを打ち込むごとにあの忌々しい戦争の記憶が蘇ってしまうのです。そんな彼はひょんなことから救われます。それは東洋宗教の思想でした。彼は瞑想することに神に救いを求め、最終的に精神病からは回復しました。

そしてその勢いで彼は20世紀のアメリカ文学を代表する名作で唯一の小説である『The cather in the rye』(日本語訳はライ麦畑で捕まえて)でした。この本の考察は書いたらほんとに恐ろしい文字数になるので避けます。少年が抱えてた世の中の不満を持ち、子供は無垢でいるべきだというような主張を持っていますが、彼自身も決して大人というわけではありません。大人と子供の中間地点で生きてました。まさに思春期ということもできますが、、、
この作品は世の中の若者の心に強く訴えかけることができ、大ベストセラーとなったのです。

しかし、人気作家となったサリンジャーにもう一つ新しい問題が起きます。それはストーカーです。彼は自分の本の裏表紙に顔を載せていたので、ホールデン少年と思われる格好をした人物が彼のもとに「ホールデンは自分のことだ」と言って近寄ってくるのです。彼は心の状態がかなり不安定なものでした。当然また彼は宗教に救いを求めるようになりました。そんな彼の作品はどんどん宗教色が強いものになっていきます。「ナイン・ストーリーズ」という作品の中に「テディ」という作品があるのですが、マジで輪廻転生思想が出てきます。ちなみに彼は日本の宗教である。”禅”にも傾倒していました。この「ナインストーリーズ」には禅の公案が初めに描かれています。それほど彼は宗教に染まります。そんな彼にも奥さんと子供を授かります。彼の娘は「彼はロクな父親じゃなかったわ」と少し野次っているわけですが。そんな時少女がインタビューをしたいと申し出ます。しかし彼はメディアへの露出を今まで避けてきました。彼は商業主義的なところには一切の興味がなかったからです。しかし、学校新聞ならいいかと思い許諾してしまいます。インタビュー記事が学校新聞のものと聞かされていたのに地方紙に載せられ騙されたと感じ人間不信となり田舎でひっそりと暮らすことになります。それ以降彼は一冊の本を出さず自分の芸術主義に偏り、自分の描きたいものだけを書きひっそりと暮らしていくのです。


僕は米国社会文化論の課題で初めてこの本を読んだのですが、最初は意味がわかりませんでした。しかし、講義で彼の過去を講義を知ると、他の本を読むようになっていくのです。そして、今ではその先生の研究室に配属されてそこで卒業論文を執筆します。ちなみに僕の研究分野は
「カウンターカルチャーの中で生まれた芸術作品の中で精神主義的な考えを持った若者の表象についての研究」です。
まぁ、ざっくりいうと60年代に作られたメディアや芸術作品を見てアメリカの精神主義的な考え方を持っていた若者の描かれ方を研究するみたいなもんです。これで映画や本や音楽を幅広く研究しなければならず、しかも未だに問題提起は完成していないのでまだまだですね。しかし、サリンジャーについても触れると思うので僕は卒業論文の執筆がそこまで苦じゃないと思います。

自粛中で暇やっていう人は彼の作品でも読んでみてはいかがでしょか

フラニー

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