もし相手の意見に全面的に賛成だとしたら
新型肺炎の影響でマスクが手に入りにくくなっている中、
静岡県の議員さんが、大量にマスクを転売していたと問題になりました。
残念に思うニュースでしたが、ふと思い出したことがあります。
私は10年ほど前に某医療系のサイト運営にかかわっていたことがあります。
当時も一時的にPM2.5の健康への影響が心配されていて、
街中でマスクが品薄になったことがありました。
サイトの事業責任者は、この状況をみて
マスクを売り出そう!
きっと儲かるよ!
と言い始めたのです。
皆様の中にはきっと、
「確かに。いいね」と思う方もいれば、
「それはちょっと」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の場合は実は、この意見を聞いて、
「この人が責任者では事業はうまくいかないのではないか」
と当時、失望した記憶があります。
というのも、
私には事業の成功には
ビジョンが重要だという価値観があったからです。
今儲かりそうだからという発想であれこれ手を出すという考えでは、
本当にお客様の役に立つサービスなどできるはずなく、
中長期でビジネスは失敗していくことになると考えています。
PM2.5を予防することは、
うちがやらなくてもできるサービスであり、
本当に(当時その医療サイトが対象としていた)患者さんのために必要なものは何かを真剣に考え、日々そこにリソースを集中させるということが正しい選択だと信じていたのです。
しかし、最近少し考えが変わる経験がありました。
それは、
「もし、相手の意見に全面的に賛成だとしたら」
という立場で一度考えてみるということです。
実際にやってみると、、
・皆で売上が上がることで達成感を感じられる
・新しい取り組みに試行錯誤することで成長実感を感じられる
・立ち上げ当初の厳しい収益状況を打開できる
など相手の気持ちがイメージとして湧いてきました。
すると、事業立ち上げの中で、
皆でなんとか成功に向けて喜び合いたいという
純粋な思いがそこにはあったかもしれないということに思い至ったのです。
こうして一度「全面的に賛成」の立場に立ってみたことで、
相手の意見には(変わらず)賛成できなくても、その人の発言の背景には共感でき、自分の中にあったわだかまりが溶けた
ように感じられました。
近年、話を聴くということや対話をするということの意味を
よく考えるようになって、
このようなワークをすることがあります。
人の話を本当に聴くということは、
非常に難しく、意見の対立をいかに
生産的にできるかというのはとても大事なテーマだと思います。
ある方に、相手から反対意見が出たときは、
「あなたの意見に反対している」
のではなく、
「自分が大切にしている価値観を守っている」
だけなんだよと教えていただいたことがあります。
当時の自分を思い出して、まさにその通りだなと思った次第です。
2019/3/29 vol.114
sakaguchi yuto