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相談は「乗るもの」ではなく「受けるもの」

こんにちは。yutoriです。
お読みいただき、ありがとうございます。

今回は、私が臨床心理士・公認心理師として働く時に大切にしている事をお話します。

うちの子ども達は、私の仕事を
「お話聴く人」
と思っています。

そして、ゆーさん(娘)には
「ママの仕事って簡単だね」
って言われた事があります。

「そうかー、単純にやっている事を言葉にすると、確かに簡単に聞こえちゃうー。資格取るの大変だったのにー」

と思ったけど、幼稚園生だったゆーさんに、それ以上の説明は難し過ぎるので、
「そうだね…」
と返しておきました。



子どもには簡単に見えるらしい私の仕事。

でも、その仕事をするのに大切にしている感覚があります。

私達の中では、一番最初に先生から教わった事。


それは、私が高校3年生の秋の出来事です。

私は大学の心理学部を受験するために、提出書類を準備していました。その中には、志望理由の作文もありました。

学年主任で国語を指導していた女性の先生に、下書きの添削をお願いしました。

私が「相談に乗る」という表現で書いたところ、

「相談て乗るものじゃなくて、受けるものじゃない?乗るって、なんか偉そうじゃない?」

とのご指摘。

確かに…

日常的によく使う表現ですが、ちょっと上から目線と言うか、前のめり?という気がしました。

この指導いただいた場面、受けた衝撃を今でも覚えています。

相談て、聴く側は謙虚に、話してもらえる事に感謝する態度が大切なのです。

これを最初に教えてくれたのは、心理学の先生でなく、国語の先生でした。

先生は、もう退職されているはず。今、どうされているのか、全くわからないのが残念。


=ご注意=
「相談に乗る」という表現やこう話される方を否定しているのではありません。普通の表現ですので。あくまで、プロとして仕事する場合の心構えに通ずるところがあるというお話です。


さて、この感覚がいかに重要か、仕事をすればするほど感じさせられます。

ストレスがある時に、'誰かに話したらすっきりする'と考えている人が多いように思います。

確かに、そういう側面もあります。間違ってはいない。

でも、誰もが何でも話せるわけではないし、自分の事を話すってエネルギーが必要なのです。

だって、嫌だった事、悩んでる事を話したら、話しながら、その気持ちをまた体感して辛いです。

それに、どのように話そうか考えて疲れます。

人によっては、弱みやネガティブな部分を見せる事に抵抗が強い方もいます。

もちろん、話す事が好きで、話したらすっきりできるという方もたくさんいます。

ですが、自分について話す事は、思っているより大変で、勇気が必要。だから、話す事を躊躇される方だっている。聴き手が下手なやり方をすると、かえって辛くさせてしまう危険性だってある。

相談を受ける仕事をする私達は、こういう事をきちんと理解して、お会いした方が話してくださる事に感謝と労いの気持ちを持ちながら、その場面に真剣に向き合わないといけないのです。

もちろん心構えだけではだめです。心理学の正しい知識とカウンセリング技術が絶対に必要。

そうでないと、お話してくれた方にとって、意味のある時間になりません。

だから、臨床心理士・公認心理師は受験するまでに時間と労力がかかりますし、資格を取った後も勉強を続けないといけません。


子ども達にも、
「ね?そんなに簡単にじゃないんだよ?」
と言いたい。

難し過ぎるから言いませんけど。

簡単そうに見えるって事は、仕事してるママが、「辛そう。疲れてる」って見えないって事だと、ポジティブに考える事にしています。

それに、りーさん(娘)が手紙に、
「お話聴いてくれてありがとう」
と、書いてくれたり。

たっくん(息子)が、ママの好きなところを
「お話聴いてくれる」
と、言ってくれたり。

家では家事しながら子ども達の話を聴く事が多いので、私は片手間な感じがしているけれど、この子達は「聴いてもらってる」感覚がちゃんとあるんだなと思えて、嬉しい言葉でした。

仕事でも、お家でも、お話を聞かせてもらえる事に感謝しながら、大切に聴いていきたいです。

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