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第3回BBC読書会 宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』

1月29日、2024年最初のBBC読書会を開催しました。
課題本は宮野真生子・磯野真穂の共著『急に具合が悪くなる』(晶文社)です。

参加者は8名+店主の合計9名。過去最大規模での開催となりました。

今回は病気や死という誰にでも降りかかる普遍的な事象+哲学的な対話というものをテーマにした本なだけあって語り甲斐のあるトピックが多く、いろんな意見が出ました。

「死を哲学的に話すことで恐怖に対応している」「往復書簡がこの本の良さ。チャットと違って返信が遅く、考える時間があるから深い内容になっている」「決定を迫られることの息苦しさや決定疲れは病気以外の日常的な事柄にも言えると感じた」「民間医療に頼る人に対する考えが変わった」「体調が悪くなると約束が機能しなくなることを自分でも感じた」「身近な人が亡くなったときに自分がどう感じるだろうかと考えた」「著者の二人は言葉と言葉で一緒に闘っている。二人の生き様に感銘を受けた」「自分は死に際してそのような言葉を紡ぐことができるだろうかと考えた」「自分で言葉をつむげる人の死生観が興味深い」

このように自分が感じたことや実体験に引き寄せて具体的なイメージを持ちながら読んだ人が多かったようです。哲学的な議論も病気や医療という具体的なことに当てはめて考えられるからわかりやすい、往復書簡でお互いが返信で噛み砕いて表現したり言い換えていたりするからそこで理解できた、などの感想も出ました。

コロナ禍のピーク期にこの本と出会ったという人は特にコロナ禍のご自身の体験と重なるところがあったようです。
「確率論的な行動制限(弱い運命論)があって選んで行動していかなければならない。身動きがとれない中で選択しないといけない。小さく行動する癖がついてしまった」
「そんな中で陰謀論のような強い運命論も力を持った。強い運命論の魅力はがんの代替医療に惹かれる気持ちにも似ている」
と指摘しました。

また「民間医療胡散臭いと思っていたけど選択疲れの中ですがりたくなる気持ちもわかる。良い患者、正しい生き方を押し付けてくるプレッシャーは資本主義的な価値観にも通じる」という意見もありました。

読み終わったら読書会に参加しようと思いながら本書を読みはじめたという人は読み終わった後にあまりにも良くてなかなかこういう本について語れる機会はないと思って参加を決めてくださったとのことでした。

テーマがテーマなだけにみなさん「う〜ん」と考えこんでしまうような場面も多かったのですが(店主もその場でぱっと言語化したりできずにもどかしかったです…)、帰路につきながらいろいろ腑に落ちたりあるいは「腑に落としたり」した人も多かったのではないでしょうか?

選択と決定、決断。それから偶然と出会い…。
強制的に選ばされることと自分から選ぶこと、選ぶ余地があることで違ってくるのかなと店主は読書会後のバキバキになった脳(いわゆるバキ脳)状態でつらつら考えたりしました。もっとこのあたりについて話したかったな〜!と思ったのですが、またいつか別の課題本でこれらのテーマに出会ったときにみなさんと語れたりしたら嬉しいです。

さて、次回の読書会についても決定しました。

課題本:『総員玉砕せよ』(水木しげる)
日程:3/9(土)18時〜
場所:ゆとぴやぶっくす

お申し込みはこちらからどうぞ

https://yutopiya.com/bbc

回数重ねるごとに参加者が増えてとても嬉しいです!…が、キャパ的にこれ以上人数が増えたら参加者のみなさんに快適に過ごしていただくことが難しくなってしまうと思いますので定員は8名とさせていただきます。参加のお申し込みはお早めにどうぞ〜!


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