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現代の企業経営とイノベーションについて

ここでは、企業経営とイノベーションについて簡単に説明をします。企業経営とイノベーションについて学ぶことで、株式投資やFX等に対して教養にできると考えています。

日本経済の歴史的経緯

1945年 終戦
この時、GHQにより、財閥が解体される。
・財閥一族による株式の売買
・持ち株会社の禁止

1950年代後半~1960年代 
高度経済成長期
この頃。日本的経営の形成が進む。
・終身雇用
・年功序列

1973年 第1次オイルショック
この頃は、減量経営期

1980年代
前半 円高不況
後半 不動産バブル(土地・株式の急上昇)

バブルとは、実態の伴わない好景気のこと。つまり、資産価格が実態とかけ離れていること

ここでバブルの歴史について
1630年代 オランダのチューリップバブル
1720年代 オランダのヒヤシンスバブル
1720年代 イギリスの南海泡沫事件(アイザック・ニュートンも大損した)
⇨Bubble Actという法律ができる(バブル経済の語源になる)
1920年代 アメリカのフロリダの土地バブル

先ほどの続き
1980年代後半 土地、株の資産価格の上昇により、企業による活発な資金調達、設備投資がすすむ。
高株価:株式発行による資金調達
地価の上昇:土地を担保とした銀行融資の増加
これらから、企業内に過剰な資金が流入する。

・株式の購入=財テクに走る
・過剰な設備投資

すると、非効率な経営になってきた。

バブル崩壊後
・過大な設備投資の顕在化
・保有する株式の価値低下(含み損)の発生
・銀行業における不良債権の発生

すると、以下をことをするようになった。
・規模の縮小:リストラを含めた従業員の問題が発生する(終身雇用に影響する)
・保有株の売却:株式持ち合いの問題が発生する

リストラクチャリング

リストラクチャリング:事業の再構築
事業のパフォーマンスの改善を目的として、資産や資本構成などを変化させること

リストラクチャリングの具体例
M &A(合併と買収)
ダイベストメント:事業の切り離し
   セル・オフ 事業を売却すること
   スピン・オフ 子会社の株式を株主に配分すること
   エクイティ・カーブ・アウト 子会社が上場すること

レイオフ 従業員を解雇すること
・資本を減少させる⇨減資(自社株買い)(これは規模の縮小を意味する)
MBO(マネジメント・バイ・アウト) 経営陣による自社の買収をすること

リストラクチャリングの分類

①事業ポートフォリオ・リストラクチャリング 
事業分野を変更すること⇨M&A,ダイベストメント、純粋持株会社制度(後で述べる)

②財務リストラクチャリング 
資本構成を変更すること⇨ 減資(自社株買い)

③マネジメントリストラクチャリング 
組織の再編などをすること⇨純粋持株会社制度

*持株会社
他企業の株式の過半数を所有し、支配している企業のこと。その中で、株式を持っているだけで、自らは事業を行わない企業を純粋持株会社といい、実際に事業も行っている持株会社を事業持株会社という。

アメリカにおけるM&Aの歴史

・第1次M&Aブーム(1895年~1905年)
独占のためのM&Aをした。これは、同業者によるM&Aである。

・第2次M&Aブーム(1920年代)
  寡占(4~5社)や垂直統合のためのM&A

・第3次M&Aブーム(1960年代)
  多角化のためのM&Aをし、多角化企業(コングロマリット企業)が出現する。 これは本来の事業とは別の企業も合併した。その結果、不効率な経営になった。

 第4次M&Aブーム(1980年代~)
  リストラクチャリングのためのM&Aをしダイベストメントを実施することで、非効率的な多角化を是正し、業績が回復した。

会社の分割と分社化

日本企業のリストラクチャリングは1990年代以降の増加した。
独占禁止法の改正により、日本の企業はリスラクチャリングとして、純粋持株会社制度が解禁となった。
また以下のような会社の分割ができるようになり、より柔軟に経営ができるようになった

会社分割
会社の営業の一部または全部を他の企業へ包括的に継承させること。これはダイベストメントである。分割の仕方は新設分割(事業の継承先を新設すること)や吸収分割(既存の企業に事業を継承させること)がある。

分社化
企業が別の事業の一部を分離させ、子会社などの別会社として経営を行うこと。
既存事業の分社化をしたり、子会社を設立することで新規事業への参入をすることで、異なる労働条件の創出や昇進のためのポストの創設をし、経営がしやすくなった。

会社の組織体制

①職能部門別組織
 生産や販売など、専門領域ごとに再編された組織。事業の流れに沿って組織部門が造られる。専門領域が明確になるため効率的に仕事を進められるが、部署間での壁ができる恐れがある。そのため、事業規模が小さく、多角化していない企業に適する。

②事業部制
 製品や地域別に事業部を設定し、経営者が各事業部に対して資源配分を担う組織。これを行う事で本社の負担を減らし、事業部単位での経済的な収支や意思決定が行われるようになり迅速な経営が出来るようになるので、多角化企業に適する。

③マトリクス組織
網の目型の組織形態で、従来の職能部門別組織にそれら各機能を横断するプロジェクトまたは製品別事業などを交差させたもの。

④社内カンパニー制
企業内において一つの会社のように位置付けて運営される独立採算制の事業部門である。ソニーを皮切りにあらゆる企業が採用している 

経営戦略論について

従業員数が多い企業では、従業員一人ひとりの意見や考えを把握するのは困難であり、もしその集団で何も考えずに活動すると、必ず分裂してしまいます。そこで、経営戦略としてのビジョンを打ち立て、従業員に刷り込むことで、従業員をまとめる必要があります。
ここで、優れたビジョンとして、以下があります。

・ハッキリした将来像を持つ
・利害関係者の長期的利益に即している
・実現可能な目標
・その方向を向いているのかが明確
・どんな変革が起きても柔軟に対応できる
・組織との意思疎通が取りやすい

では、これをどのようにして実現していくのでしょうか。
そのための指針となる代表的な分析法を紹介します

①SWOT分析
SWOT分析は、以下の図を使って、企業が置かれている現状と経営に対する意味合いを整理するためのものです。

具体的には
 強み・弱み → 自社の経営資源(例えば商品力や技術力、人材など)について、競合他社よりも優れているのか、劣っているのかを評価
 機会・脅威 → 組織が目的を達成する上で影響を受ける可能性のあるマクロ要因(政治・経済や社会情勢など)やミクロ要因(市場トレンド。価値傾向)を評価して、促進要因と阻害要因に分ける。

②PPM
多種類の製品の販売・製造や、複数の事業を行なっている企業が、戦略的観点から経営資源の配分が最も効率的となる製品や事業の組み合わせを考え、その展開の方式を決定するためのもの。以下の図を使います。

花形 → 積極的な資金投入が必要
金のなる木 → 今後の成長は見込めない。しかし、自社のシェアが大きい場合は効率的な経営を行い、高収入を得るようにすること
問題児 → 花形に育てるか、撤退をすること
負け犬 → いかにロスなく撤退をすること

イノベーションの難しさ

経済学者のシュンペーターは、イノベーションは経済と社会を今ある段階から次の段階へと押し上げる最大の原動力と言いました。つまり、世の中がからりと変わってしまうような革命的な発見や発明をイノベーションと言います。
例えば、アインシュタインの相対性理論やプランクの量子仮説がイノベーションと言えます。これらは旧来の理論をひっくり返すものになります。
しかし、どのようにすればイノベーションが起きるのかはわかりませんし、起こすのが非常に大変です。
 また、それは偶然と執念とねばりつよい努力と幸運が揃わないと実現しませんので、かなり難しいです。
イノベーションは、成功した企業ほどなぜかうまくいかないというイノベーションにジレンマがあります。なぜなら、成功した企業ほど目の前の顧客のニーズに対応した合理的で効率のいい事業をするため、なかなか起きないというものです。
 でも、イノベーションは、多様性と不確実性の海の中から突然生まれてくるものであります。つまり、従来の常識からは生まれて来ません。
 成功した企業ほど合理的に事業を進めるので常に利益が出るようなシステムになっていますが、イノベーションは、これとは違うシステムから生まれます。競馬で言えば、万馬券を当てに行くようなものであり、ギャンブルだと言えます。だから、賢い人は初めから手を出しません。仮想通貨投資も同じ構造と言えるでしょう。
 その中で、イノベーションが起きると古いものは駆逐され、新しいものが出てくる大波になります
長期的に見ればイノベーションは必須だが、短期的には効率的に経営するのが合理的です。それが、イノベーションのジレンマの本質です。
では、イノベーションを生む経営をするにはどうすればいいのでしょうか。
1970年代、会社では事業部門と研究開発部門が組織的に分離されていました。それは、効率優先とリスク回避の文化ではイノベーションは起きないから、分離させようと考えられたからです。
しかし、実際は、事業部門と研究開発部門の間には機能的で文化的かつ組織間対立の意識のギャップが存在していましたので、研究開発部門でイノベーションを生み出せても、事業部門で却下されていました。
そこで、アメリカではエコシステムというのが考えられました。それは、イノベーションはベンチャー企業、効率的かつ合理的な経営で高収益を狙うのは既存の企業という役割分担です。しかし、そこで資金面の問題が発生しますが、アメリカのビジネス界は、「ベンチャーキャピタル」を作ってベンチャー企業への資金を調達し、企業の成長に一役買いました。
日本で同じことがうまく行くかと言えばそうではなく、アメリカでは事業が失敗してもその後のキャリアに傷がつくわけではないが、日本ではそうではありません。なので、優秀な人ほど大手企業に行く傾向があります。
 イノベーションは失敗しても、その取り組みに評価するという文化がないとできません。その中で、絶対成功するという志がないといけません。その志がどんな困難な時でも打ち勝つぞということで頑張ることができます。これは、個人だけでなく、組織としてもビジョンを共有しなければなりません。その鍵は、経営陣にあると言えます。

参考文献 
波頭 亮「経営戦略論入門 (PHPビジネス新書)」PHP研究所 (2013/6/7)

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