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解析力学の概要

①ラグランジュ形式について

解析力学とは、ニュートン力学をより一般的にしようと考えられたものです。解析力学での運動方程式はラグランジアンと言われるものを使って導かれます。ここで、ラグランジアンLは、運動エネルギーをT、位置エネルギーをUとすると、

L = T − U

と表されます。これを使うと、運動方程式は以下のようになり、これをオイラー・ラグランジュの運動方程式と言います。

この方程式の導出は以下のサイトを参照してください。(https:→http:に置き換えてください)
http://eman-physics.net/analytic/lagrange2.html

また、力学的エネルギー保存則や運動量保存則も、解析力学ではより一般的になります。
力学的エネルギーとは運動エネルギーと位置エネルギーの和であり、外から物体に力を加えない限り、その和が常に一定であることを力学的エネルギー保存則と言います。
これを一般的にすると、時間を経過させてもラグランジアンが変化しないと言います。

一方、運動量とは物体の質量と速度の積であり、その場にある物体すべての運動量の和はその場の外部から力を加えない限り一定であることを運動量保存則と言います。
これを一般的にすると、空間を平行移動させてもラグランジアンは変化しないと言うことになります。

以上の力学的エネルギー保存則や運動量保存則と言った保存則はネーターの定理として解析力学では統一的な扱うことができます。
ネーターの定理とは、時間や空間が変わる時、ラグランジアンが変わらない場合は、それに伴って1つの保存則が成り立つと言うものです。
この時、時間が変わってもラグランジアンが変化しない場合は力学的エネルギー保存則が成り立ち、空間を平行移動(つまり空間を変えること)させてもラグランジアンは変化しない場合は運動量保存則が成り立つと言うものです。

②ハミルトン形式について

ラグランジュ形式で使った変数をルジャンドル変換と言われる数学的なテクニックを使って、ハミルトニアンと言われるものを定義します。

ハミルトニアン(Hamoltonian)とは、正準運動量p(canonical momentum)を定義することで以下のような式で与えられます。ここで、qは一般化座標での変数、Lはラグランジアンを表します。

このハミルトニアンは、系の全エネルギーを表す量にもなっています。
このハミルトニアンを使った運動方程式が以下であり、正準運動方程式と言われます。

また、この時の保存則はこのように言われます。

ハミルトニアンを不変にする「正準変換の母関数」と言われるものは保存される

ここで、正準変換とは、ルジャンドル変換をしても正準運動方程式の形式が成り立つことを言います。また母関数とは正準変換を作り出すもとになる関数であります。
つまり、ハミルトニアンを変数変換した時、正準運動方程式の形式を保つには、母関数を加えないと正準変換はできません。
その母関数が保存されたかどうかで、保存則が成り立つのかの議論が始まります。
正準変換に関して詳しく知りたい方は、以下のサイトを参照して欲しい。(https:→http:に置き換えてください)

http://eman-physics.net/analytic/canonical.html

③なぜ解析力学が必要なのか

解析力学は数学的には高度であり、我々が住む世界においてはややこしくなるだけなので、通常は使いません。しかし、ミクロの世界になると問題を解く上で利便になります。例えば、自然界における対称性や保存則を導くことが容易になると言うものです。その点で解析力学は、量子力学や統計力学に繋がるものなので、学ばなければなりません。

参考文献

砂川重信「エネルギーの物理学」河出書房新社; 復刻新版 (2012/10/17)
伊藤克司「解析力学 (講談社基礎物理学シリーズ)」講談社 (2009/9/18)
EMANの物理学(解析力学)(http://eman-physics.net/analytic/contents.html)(https:→http:に置き換えてください)

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