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放射線と人体に与える影響

放射線について

放射線とは高い運動エネルギーをもって流れる物質粒子と高エネルギーの電磁波の総称をいいます。放射線はウラン238やラドン226などの不安定な原子核が自発的に別の原子核に変化するときに放出します。この現象を放射性崩壊といい、自発的に放射線を出す能力を放射能と言います。放射能の単位はBq(ベクレル)で、1秒間に崩壊する原子核の個数です。これは、半減期が短いほど、1秒間に崩壊する 原子核の数が多いです。放射能を持つ原子の同位体を放射性同位体と言い、放射能を持つ物質を放射性物質と言います。

放射性崩壊について

放射性崩壊にはα崩壊β崩壊があります。
α崩壊とは、原子核から陽子2個と中性子2個が高速で走るヘリウム4となって出てくる現象であり、高速で走るヘリウム4のことをα粒子と言います。
β崩壊とは、原子核の中性子が陽子に変化するとき、高速で走る電子とニュートリノが放出される現象です。高速で走る電子をβ線と言います。
不安定な原子核は、安定な原子核になるまで、α崩壊やβ崩壊を続け、次々に新しい原子核に変化します。
その過程で生じる新しい原子核はエネルギーが高い状態にありますので、そのとき、電磁波を放出してエネルギーを低くします。その電磁波をγ線と言います。

半減期について

原子核が崩壊することで他の原子核に変化した時、元々の原子核の数が半分になるまでの時間を半減期と言います。

(この公式は原子核の種類によりません)

原子核の崩壊は確率的に起きる現象です。1個の原子核が1秒間に崩壊する確率は、原子核の種類によって決まるので、半減期も原子核の種類によって決まります。公式より、その1個の原子核が崩壊する確率は50%でありますので、原子核中の陽子や中性子の半数は半減期の間に原子核から飛び出し、残った原子核からまた半数もまた半減期の間に飛び出し、原子核が安定になるまで繰り返します。

放射線が人体に与える影響について

人体に放射線を受けることを被曝と言います。

放射線が物質に吸収される時、どれくらいのエネルギー量が吸収されたのかを表す量を吸収線量といい、単位はGy(グレイ)であります。

1Gyは、1kgの物質に1ジュールのエネルギーが吸収されたときの線量です。また、同じ1Gyの放射線が人体に吸収されたとき、放射線の種類によって人体への影響は違ってきます。それらの違いを考慮した係数である加重係数を吸収線量に乗じた量を等価線量といい、単位はSv(シーベルト)です。

同時に、放射線の人体への影響は、被曝する臓器によって違います。それらの違いを考慮した係数である加重係数を等価線量に乗じ、すべての臓器で足し合わせた量を実効線量といい、単位は等価線量と同じシーベルトです。

ここで、その加重係数は、放射線とのエネルギーとの相互作用により決まるので、正確ではなく大体の目安になっています。

つまり、ベクレルは正確な値だが、シーベルトは大体の値ということです。シーベルトは、人体にどれほどの影響を与えるのかを見積もるためにあります。実際、海抜0メートルにいる人間は宇宙線や大気中の放射性物質からの放射線より、1年間あたり約2.4シーベルト程度の被曝をしています。

また、放射線の放出については確率的に判断されるものです。なので、放射線を浴びたとき、直ちに変化が出るのかどうかは確率的に決まり、場合によってはすぐに出る場合があります。

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