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ケニアで初のシーズンを終えてー

日本を出発し、ケニアに到着してから、気がつけば4ヶ月という時間が経っていた。

ケニアという初の海外、かつ日本から遠く離れた地での4ヶ月は、目にした事のない景色が常にそこにあり、そして、状況は目まぐるしく変化していった。

毎日が刺激的で時間はとてつもない速さで流れていった。一方で、それとは矛盾してるようだが、4ヶ月とは思えないほど濃い時間を過ごした。

8月に入り、気がつけば、ケニアで初のシーズンが終わっていた。

ケニアに来た当初を振り返ると、この環境で俺はやっていけるのかと、とても不安だったことを思い出す。

このまま死んでしまうのではないかというほどの腹痛に始まり、これまでの人生で初めて41度の熱が出るなど、ケニアでのプロ挑戦の出だしはサッカーどころではなかったのがリアルだ。

そして、日本で恵まれた環境で育ててもらった自分が、ケニアという地の果てで、ケニア人の中に混ざりサッカーをするというのは、時にとてつもない孤独を伴うものだった。

ホームゲームでもそうだが、アウェーゲームは特に自分は目立つので、必要以上に野次の標的にされたり、心無い言葉を言われる事ばかりだった。

差別とまでは言わないのかもしれないが、これらは少しずつメンタルを削ってきた。だが、この年齢でマイノリティになる経験ができたのは、今後の人生を豊かにしてくれるのではないかと思うし、得点を決めプレーで分からすと、ケニア人は分かりやすく手のひらを返してくる。それが爽快で、馬鹿にされたり、野次られる度に、今に分からせてやるという反骨精神が僕の背中を押し続けた。

それからサッカーの環境も想像も出来ないようなものばかりだった。凄く硬い赤土でトラップやドリブルもろくにできないボコボコのグラウンドや全面砂利の転けたら血だらけになるグラウンド、そこに向かうまでのサファリなみのオフロードなど、当てはまる言葉を見つけるのが難しいが、とにかくケニアすぎた。

だが、どれを取っても日本には無いケニアの美しい景色たちだ。(←こちらのリンクから僕のケニア挑戦のリアルを撮影した動画を載せてもらっているYouTubeが見れるので、ぜひ、いや絶対見てほしいです!)

それらはサッカー環境についてだが、サッカーの中身でいうと、日本ではあり得ないような位置から伸びてくる足や日本では受けたことがない危険すぎるタックル、そして、そこに戦術などない野生動物たちが獲物を賭けて争いをしているようなサッカーが繰り広げられた。

これほどのなかなかにない環境でプレーしていた日本人はほとんどいないと思う。ケニアの4部はケニアの中で一番ケニアっぽいリーグだとチームメイトが言っていた。理由は、上のリーグに上がる資金がないだけでレベルの高いチームがいるから、それなりにレベルは高く、でもグラウンドは砂利やボコボコのグラウンド。そして、ラフプレーをしても全く取らない審判がいるせいで、めちゃくちゃにファウルが多い。また観客もほぼグラウンドに入って試合を見ている。やりたい放題だ。

だから、4部リーグは無法地帯のようなもので、一番ケニアっぽいリーグとなっている。上に行けば行くほど、レベルはさほど変わらないが(資金があるかどうかで昇格できるかに影響があるから。また1部はレベルが離れている)、審判やグラウンドのレベルが上がるので、ケニアっぽさは薄れていく。

でも、悪い点ばかりではない(上記も決して悪い点だけではないが)。良い点もたくさんあった。ケニアに来て想像もしていなかったキャプテンマークをつけて試合に出た景色やゴールを決めた後の観客もグラウンドに入ってきて、全員でぐちゃぐちゃに絡まりながら喜んだ景色は、ケニアに来て良かったと思わせてくれた。

良い意味でも悪い意味でも徐々に身も心もケニアという環境に適応していった。人間は環境に適応するんだなと改めて実感した。

そうしている内に、ケニアでの初シーズンは終わり、11試合8ゴールという結果で終わった。シーズンはじめの頃はなかなかケニアサッカーに慣れなく得点が取れなかったが、試合を重ねるたびに徐々にケニアのサッカーを理解し、前期リーグは出れなかったので、後期リーグの11試合だけで、同じリーグの得点王11得点に半分以下の試合数で3点差まで近づけた。

この4ヶ月での体験や結果はケニアでプロを目指す上での自信になった。

そして、シーズンが終わったと同時に、僕はケニアのプロチームへの練習参加をしようと考えていた。だが、僕はプロになったこともないし、ましてケニアでどうやってプロになるのか全くわからなかった。

だが、ケニアでプロになれるという根拠なき自信だけはあった。


このまま続きを書くと長くなるので、この続きの1部のチーム加入への道のりは、次のnoteで書こうと思います。(急に敬語)



















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