ハイワイヤ『トラ』終幕/あとがき

ハイワイヤ新作公演
『トラ』
作・演出:高畑裕太
 日程 :2023年6月28日~7月2日
 会場 :下北沢シアター711

終幕です。
計9stの5日間、総動員数は626人でした。


小屋入り前まではスカスカすぎてヤバいステージもチラホラありましたが、
結果として毎ステージほぼ満席の状態で上演する事が出来ました。口コミを拡げて下さったお客様1人1人に感謝です。

また今回はキャスト、スタッフの皆様のお力添えがとても大きくて、
皆様が作品を愛してくれた事が、一番の成功の要因であり、団体主宰としてはこの上ない喜びを感じました。

スペシャルサンクスにクレジットさせて頂いた皆様も含めて、この作品に関わってくれた全ての方々には、言葉で尽くせない感謝の気持ちがございます。

以下に作品のあとがきや、
当公演、すなわち『トラ』の世界を振り返って、想った事を綴りました。
最初に言うけどかなり長いです。
興味がある部分だけ読んで頂けたら幸いです。

劇中における「イジメ」のシーンについて

『トラ』では、
俺が中学時代に体験した「イジメ」の実体験をベースに物語を紡ぎました。
劇中では、「少年期」,「青年期」,「成人期(現代)」,「未来のこと」と大きく分けて4つのブロックがありますが、この「少年期」つまりは主人公ヤマダの中学時代を描いた部分は、ほぼ実話です。パーセンテージとしてはノンフィクション9割、フィクション1割といった具合で、基本的には当時のやり取りをそのまま台本に反映いたしました。


凄惨な「イジメ」のシーンや、
家族関係の「破壊」といった「不幸の連鎖」を描く事は、最終的に作品のテーマを想起させるための、あくまで「フリ」のブロックではありましたが、
初稿に取りかかった際、自分が想像していた以上に、当時とそっくりそのままの「イジメ」を再現出来た事にまず驚きました。

作品のテーマやメッセージなどといった根幹的部分に関しては、企画立ち上げの段階でかなり明確にイメージ出来たのですが、自分の稚拙な執筆能力でそこまで描き切る事が出来るのか?リアルな人間の言動や行動の延長線上で、作品が目指しているゴールまで辿り着けるのか?という不安が付き纏いました。前回公演『ジャム』の中止もさる事ながら、「次失敗したらもう後がない。」という大きなプレッシャーもあって、本格的に作業に取りかかるまで、毎日胃に穴が開きそうな心待ちでした。が、いざ執筆に取りかかると、ビビるくらいスラスラと書けました。まるで俺じゃない誰かが乗り移ってタイピングしてるんじゃないかってくらい高速でシーンが出来上がっていき、その再現度の高さと、内容に戦慄を覚える瞬間も多々ありました。
(※初稿94 Pというページ数の長さにも。)


大人になって忘れかけていた「記憶」
この作劇が無ければもう思い出す事も無かったであろう出来事は、いざ蓋を開けてみると、想像以上に色濃く自分の中に残っていました。
しかし、この「記憶」が、とても鮮明で、変わらない形のまま残っていた事が、今作『トラ』にとっての一番の武器であった事は確かだったのではないかと感じています。しっかり殴られもしたし、虫も食べさせられた。確か蜘蛛だった気がする。(蜘蛛は神様の使いだと親に教えられていたので、「多分これのせいで地獄行きだな。」と思いながら飲み込んで、家でせせり泣いた。)友情銀行の件はイジメられつつも、「中々鋭いネーミングセンスだな。」と感心した。一発芸大会は特にキツくて、皆に受け入れられてない状況で芸を披露させられなければならなかったから、何をやっても絶対にウケなかった。朝のHR終わり15分程度の休み時間の最中に、10数名ほどの冷たい視線を浴びながら30回くらいやらされた事が一番のトラウマだったかもしれない。陰部を露出する方が1回で済むからまだマジだった。だけどもその後に色んな女子の家に行って、ピンポン押して、告白しなきゃいけなかったので、「巧妙な仕組みのイジメだなぁ…。」と感銘さえも覚えた。たまに「ちょっと考えさせて欲しい。」と言われた事もあって、それはそれで嬉しかったけど、後で周りのお友達に相談して「えぇ!絶対ないでしょ!あり得ない!」と言われ「そうだよね。うん。やっぱあたし変になっちゃってた。」みたいな流れで、断頭される未来が目に見えていた。同情や憐みの心は、時にして、心の傷をより抉る結果となる事を知って、人の善意も悪意も何もかもが恐ろしく感じた中学時代だった。

これらの日々は俺にとって、「トラウマ」でもあるけど、どこか滑稽で、強烈に愛おしい日々でもあったと感じています。だからこそバカらしいやり取りも意図的に多く織り交ぜたけど、いざ劇に起こしてみると、終始笑っているのは俺だけで、稽古場の皆は真剣で、時には苦虫を噛み潰した様な表情で舞台上を観ていて、かなりたじろぎました。更に本番でお客様が入ると「笑っちゃいけない空気」が劇場中を包み込んで、初日に猛烈な冷や汗をかいた感覚を今でも新鮮に覚えています。「高畑くんらしいポップな表現も垣間見られた」という嬉しい感想を頂けましたが、コメディに関してはもっともっと勉強が必要だと改めて感じました。そこに関しては痛省です。


以前更新したnoteにも書きましたが、この「イジメ」を題材にした劇を通して、今も過去の出来事で苦しんでいる方への「希望」となり、作品を通して、自分自身の過去や、身の回りにいる大切な人の存在や家族のルーツをふと思い返せる様な作品になれればと考えていました。思い出しくない出来事も、捉え方によっては冷たくも温かくも感じられて、それらの追憶は「現在の生活の在り方」によって、流動的に形を変えて個々人に訪れる事。そしてその想いは普遍的に誰しもが持ち得てると信じて創作にあたりました。

『トラ』という劇の創作体験を経て、
作家/演出家として、まだまだ学ばなきゃいけない部分も多々あるけど、自分が思い描いていた事や、伝えたい事を届けられた実感も多くありました。
改めてご観劇頂いた皆様には本当に感謝の限りです。


「トラ」の意味について

ご観劇の後に「トラって何だったの?」と聞かれる事がしばしばあったので、補足程度に述べますが、「トラ」は中学時代に俺がスズキくん(役の人)に呼ばれていた「あだ名」です。言葉の意味は特に無くて、ある日突然呼ばれ始めました。「トラってどういう意味?」と訊ねると、「今のめっちゃトラじゃない?」「うん。完全にトラ。」とクスクスと笑い始めて、「え?あの動物の虎って事だよね?」と聞くと、「(笑)トラだわぁ。」「もうやめて。笑わせないで。」といった具合にめちゃくちゃツボり出して、「え?え?よく分からないけど、なんでトラだと思ったの?どこがトラっぽかった?てか結局あの肉食獣で合ってる?」と聞くと、爆笑されるか、ビンタされて発言を制されるかだったので、結局言葉の意味は今も分からずでした。ある日シンタロウ(役の人)と二人っきりになった際に「とりあえず漢字の虎ではない。カタカナのトラ」という事だけ教えてもらったので、そのヒントだけを頼りに「トラ」として扮する日々を送り続けていました。(一ミリも疑問が解消される事はなかったけど。)


実際に「トラ」と命名する瞬間のシーンを演じて下さったキャストの皆様は、台本の前後を踏まえていたので、説明しやすかったのですが、改めて意味を聞かれると一概には説明し辛い。要するにその場のノリでたまたま生まれた「全く意味のない言葉」にしか過ぎず、その時の会話の流れや、神妙な空気の中で偶然発せられた「トラ」という二文字の言葉が、やけに面白く聞こえてしまって(言い方も然り)スズキくんや、皆の笑いの琴線を刺激する結果となり、それから気に入ってしきりに呼ばれ続けたといった具合でした。なので今考えると、俺にかけられた言葉では無かったのかもしれない。対象は俺であった事は間違いないけど、スズキくんや、シンタロウくんが、皆を笑わせるために、俺ではないその場にいる誰かに働きかけて発せられていた言葉だったんだという理解に落ち着いています。


劇中で出てくる「トラ」と、主人公ヤマダが冒頭で行っているニコ生配信「ウマいトーク」を合わせて「トラウマって事?」と言われる事もありましたが、それもたまたまです。劇のために用意された言葉ではなくて、前述した様にノンフィクションの中で生まれた言葉をそのままタイトルに反映させました。


そしてなぜそうしたかと聞かれると、また難しい部分ではあるのですが、単純に述べると「トラ」という言葉がとてもくだらなくて変な言葉に思えたから。と、現在の自分の根幹を司っている言葉の様に思えたから。の二つに尽きます。大人になって、誰しもが日々の生活で、人間関係や、コミュニケーションの不全を感じる場面があるかと思いますが、自分はなぜ不必要に人に怯えてしまうのか。過剰に謝ったり、人に気を遣ってしまうのか。という要因の一つに、「トラ」だった中学時代に培われた対人感覚や、意味のない、答えのない言葉に現在も囚われ続けている部分が心のどこかにあるのではないか。と考えたからです。

今回の物語では、主人公の過去から未来へ繋がる半生を描きましたが、上記の事や、作品のコピーである「今の私たちにつながる遠い過去の記憶と体験」を想起させる目的のためにも、『トラ』において必要なのは、劇的な展開ではなく、誰しもに普遍的に訪れる「成長の過程」や、登場人物全員がどこか心にしこりを残した状態で行う、生活や、会話を描く事だと考えた部分がございます。劇中においてヤマダは人としてかなり不健全な日々を過ごしていましたが、俺としては人生にそういう時期が訪れる事もそこまで特殊ではないと考えられる感覚もありました。また家族との繋がりを取り戻し、健康で文化的な最低限度の生活への第一歩を踏み出そうとしている中も、「トラ」だった日々の余韻は付き纏っているという事。ただ家族が揃って当たり前の様に過ごせる空間が家庭内に設けられているという事。なんでもない会話で朗らかに笑える事などから、私たちが無自覚に過ごす劇的ではない生活は心の有り様によって様々な変化が訪れて、人生の一瞬一瞬が色鮮やかに感じられればという想いがございました。

正直言って、最初は「トラ」というぼんやりとした記憶の中から蘇ってきた一つのワードのみで、ここまでコンセプトが拡がるとは考えていませんでしたが、自分の訪れた一つの経験を見つめ直す事や、あの時一緒に過ごした同級生や、身の回りの家族の事を約一年半考え続けた事で、こうした結果に至事が出来たと感じております。だからこそ、こうして温かい結果で作品が昇華された事を心より嬉しく思います。作品のコピーである「今の私たちにつながる遠い過去の記憶と体験」がこの作品に関わってくれた全ての方々の、過去・現在・未来へと続く事を何よりも祈ります。

キャストの紹介


今回『トラ』に参加して下さったキャストの方々は、
ほぼ全員オーディションを経て参加して下さいました。
全員に確かな魅力を感じて、稽古中もその輝きは増していき、
『トラ』の世界をとても鮮やかに彩ってくれました。
俺の稚拙な言葉で紹介するのも恐縮ですし、恐らく紹介というより個人的に一人一人に向けたメッセージになると思いますが、気持ちの限り後述させて下さい。


ヤマダ_大河日氣

大河くん。
中止公演『ジャム』で俺の稽古場代役をやってくれて、
今回は主人公ヤマダを演じてくれました。

昨年末に行ったオーディションにも来てくれて、
その時に観た演技の記憶を今でも真新しく覚えています。
率直に「あ、凄い。」と感じました。
お世辞抜きで、唯一無二の演技でした。
役への適正だけではなく、役者としての魅力をとても強く再認識出来た瞬間でもありました。

今回の稽古場では、皆様一人一人とかなり多くの対話を行いましたが、
その中でも恐らく一番言葉を酌み交わしたとも思います。
こんな事言ったら全員そうだし、陳腐な言葉だから改まって言うのも恥ずかしいけど、大河くんとの稽古は凄く楽しかった。
元々の演技力の高さや、素直な性格も相まって、稽古中のオーダーはほぼ全て体現してくれました。

どんどん役を鷲掴みにしていって、想像を遥かに超えた魅力を引き出してくれました。『トラ』は彼が牽引してくれた世界と言っても過言では無いくらい、大河くんの力は大きかった。俺の事をなぜか「高畑裕太」と終始フルネームで呼んでいて、「なんだコイツ」と思った事もあったけど、今ではその部分さえ愛おしいと思います。改めて参加してくれて本当にありがとう。


サクラコ_大熊花名実

大熊さん。
『ジャム』のオーディションにも来てくれて、
今回もオーディションに来てくれました。
元々素敵な方だと思っていましたが、一昨年よりも演技が更に上手になっていて、会ってない数年でかなり努力された証が見れました。
正直上手すぎて、こっちが焦る瞬間も多々あった。
しかも21歳。初舞台。マジで凄いです。戦慄さえも覚えた。

稽古中もとても前のめりに参加してくれて、何より嬉しかったです。
大熊さんの役者としての姿勢や、人間性には、見習うべき点がとても多くあって、沢山の学びを与えてくれました。小柄な身体に誰よりも大きなガッツを秘めた方です。

時には壁にぶつかって、
諦める事なく乗り越えていく大熊さんの成長を見て、
これからもどんどん広い世界に羽ばたいていく方なのだと心より思いました。未来が凄く楽しみな女優です。一つ言うとしたらラーメンの食べすぎには注意して。後、夜はしっかり寝てね。健康的で朗らかな毎日も願っています。



ハナエ_木村望子

望子さん。
この作品には欠かせない「母」というピースを力強く演じて下さいました。
稽古中も本番中も、望子さんの存在に何度泣かされたか分からない程に、存在を大きく感じていました。

何よりハイワイヤという団体を愛してくれたのが嬉しかったです。ありがとう。稽古場であなたと話す時間がとても温かったです。
ハナエという役で参加してくれた事に今でも喜びを強く感じています。
ヤマダや、シオリとの目には見えない繋がりと、それを求め続ける姿が、とにかく素敵でした。そして最後まで素敵でい続けていてくれてありがとう。

68歳という年齢で、小劇場に君臨し続けるその気概と活動の様子を尊敬しています。そしてもらった写真立てに皆で撮った写真をプリントして飾りました。見る度に『トラ』の皆さんと過ごした日々や、あなたの愛を思い出します。本当にありがとう。お茶しましょうね。美味しいパンケーキとチーズケーキがある店を探しておきます。いつかカニ玉も一緒に食べましょう。


シオリ_武田紗保

さほ。
『トラ』第2ブロック「青年期」での主役シオリを演じてくれました。

シオリは最後まで書くのが難しい役ではありました。
オーディションの時もシーン台本が前日まで書けなくて、
書いては消してを寝ないで繰り返していました。

自己紹介で凄く緊張していて、
いざ演技に移った際はとても豊かに心を動かしてくれたあなたの演技を今でも新鮮に、印象深く覚えています。そして終わった際に見せてくれた晴れやかな笑顔が素敵でした。

稽古中はとにかく演技面で信頼が寄せられて、シオリという役の心情をとてもドラマチックに作ってくれたのはひとえにあなたのお陰だと感じました。
そしてとにかくさほの演技はずっと面白く観れていた。
『トラ』の稽古期間は、あなたの人間としての動きがとても大きくて印象的だった日々だとも感じています。

俺の高校の友達が金定さんの事を「カネサダヲー」と呼んでいて、いつの間にか俺もそう呼び出していて、ある日さほもいつの間にか「カネサダヲー?カネサダヲー?」と呼び始めていて「愉快な人だな」と思いました。
包帯グルグル巻きの話も面白かった。豊かな時間をありがとう。


シンタロウ_田中廉

れん。
本番が全て終了してから「れん」と呼び始めました。
今でもたまに「田中くん」になっちゃうけど。もっと早く呼べば良かった。

田中くんとは、昨年僕が稽古場サポートで参加させて頂いた『とりあって』の公演を観にきてくれた際に、終演後に初めて会いました。
だからハイワイヤのオーディションに来てくれた時は嬉しかったし、
シンタロウを演じてもらった時は、「君じゃん。」と思えました。

稽古場で何回違うギャグをやってもらったのだろう。
とんでもないレパートリーの多さに、時には「どういう生い立ちなんだろう。」と感慨に耽った瞬間もありました。

あの役を真剣に考え続けてくれたお陰で、想像以上に魅力的な役になったと思っています。悩みにぶち当たる時間もあったと思うけど、田中くんが自由に伸びやかに演技をしているのがとにかく素敵でした。

公演が終わった今でもシンタロウのテーマ(劇中で流れた音楽のこと。俺が勝手にそう呼んでる)を聴いて、あなたの演技を思い出しています。
才能が溢れる瞬間を何度も目撃しました。これからもずっと誇りを持って演技を伸びやかに楽しんで欲しいし、お互いに切磋琢磨していける関係でいれたらと思っています。大好きだよ。


佐藤先生,ミエコ,萬津D.道行く人_西村由花

ゆか。
生まれて初めて脈絡もなく下の名前で呼べた人です。
なぜか口が勝手にそう呼び始めました。
ゆかがいなければ「さほ」も「れん」もそう呼べて無かった気がしています。あんまりここでわざわざ言う事でも無いけど、感謝しています。

ゆかには今回とても色んな役を演じて頂きました。
着替えが多くて大変だったし、心を何度も分けて舞台に登場してくるのも苦労だったと思いますが、今振り返ってみてもどれも凄く愛おしいキャラクターになれたと感じています。演技面での信頼もさる事ながら、個人的にはあなたの穏やかで素敵な人柄も影響してくれたのかとも考えています。

稽古場や劇場で、トコトコと走り抜けていくゆかの姿を見て、
「今日も一日が始まったな」という気分になっていました。
また俺のみならず、皆さんへの気配りの様子を見て、
人格的にもかなり信頼が寄せられて、あなたがいる稽古場は安心感に包まれていました。
人の痛みも慈しみも、温かく抱き寄せてくれて、演技の力強さに何よりも大きさを感じられる人物です。
佐藤先生のスカーフも、ミエコのウルトラライトダウンも、萬津の闘魂Tシャツも、とびきりに似合っていた。もっと色んな役が見てみたくなる女優です。最後まで皆に寄り添ってくれてありがとう。


スズキ_佛淵和哉

佛淵くん。
今作でのキーパーソンとなる史上最大のイジメっ子スズキを演じてくれました。観に来てくれたお客様が皆「アイツマジで嫌い…。」と口を揃えて言うほど、とんでもないイジメを披露してくれましたが、実際の佛淵くんはめちゃくちゃ人格者です。マジで念押しするけど、本当にいい奴です。誰しもが好きになれる性格をしています。

出会いというか、初めて佛淵くんを目撃したのは、
公私共々お世話になってる ONEOR8『連結の子』に出演されていたのを観たのがきっかけでした。そしてオーディションで会って、演技が非常に卓越していたのは勿論の事でしたが、俺が「スズキ」に特別な思い入れがある分、イジメっ子には見えない人物に演じて欲しいという気持ちが強くあったので、今回お願いさせて頂きました。そしてスズキの二面性や、背景をとても力強く演じてくれました。

稽古中も佛淵くんから出されるアプローチはとても面白くて、元の台本に無かったセリフがどんどん足されていきました。一生懸命サイドスローを研究してくれてありがとう。少年期⑦「トラ」でシンタロウと2人で爆笑している姿は劇中屈指の見所だと俺は感じていて、どんどん笑いがリアルになっていく姿を見て日々興奮が抑えきれませんでした。後、カジキマグロとアイスシーン。

個人的には大河くんと同じくらい対話を多く重ねたと感じております。とても楽しかった。誰かが話すとすかさず親戚のおじちゃんみたいな相槌を打ってくれて、コミュニケーションの拡がりと、会話の弾みに大きく貢献してくれました。ありがとね。



シゲアキ,山名先生,マサル,宅間P,トラ_村岡哲至

村岡さん。
シゲアキ,山名先生,マサル,宅間Pといった毛色の全く違う役の数々に加えて、本作のタイトルでもある「トラ」を演じて下さいました。
恐らく村岡さんがいなかったらこの「トラ」という役は作っていなかったかと思います。そのくらい本作には欠かせない存在でした。

村岡さんとの出会いは、
数年前に開かれた俳優同士の稽古会に呼んで頂いた時で、
当時の俺は演劇の右も左も分からなかったのですが、
その時に皆さんで読み合わせをした際に、
とにかく面白くて、村岡さんが喋る度にずっと笑って、大きく心が感動していたのを覚えています。

その後も劇場に行ってお会いしたり、
作品を拝見する機会が何度もあって、
この度お願いさせて頂きました。
改めてご一緒出来た事もとても嬉しく思いますし、
今回の『トラ』創作面においてもとても大きく助けてもらった部分もございます。

稽古場で村岡さんと話した言葉の数々が俺にとっても大きな学びの数々です。なぜか時々俺の立場を脅かす様なレジスタンス的イジリをされて「ちょ、ちょ、ちょっと!」と落ち着きのないツッコミを繰り出す俺を大きな声で笑ってくれたのも全てが尊い日々の様に思えます。
(これも誤解されたら怖いので念押しするけどめちゃくちゃ仲良しです。)
そして初めてお会いした時と同様に、演技がとにかくずっと魅力的で、永遠に面白かったです。『トラ』を支えてくれて本当にありがとうございました。


最後に


今作『トラ』は2023年7月2日(日)をもって、
全公演終了いたしましたが、
現在公演の配信を行う準備を進めています。
※配信は8月頭を予定しています。状況によって時期が若干ズレる場合もございますので了承下さい。

劇場でのご観劇を見逃してしまった方、
また『トラ』の世界をもう一度観てみたい方は、
是非ともハイワイヤのHP,Twitter,Instagramの方をチェックしてみて下さい。

また今後もハイワイヤでは、
新しい創作と、自分たちの表現の向上のために邁進していく所存です。

一昨年の公演中止からこうして第一歩を踏み出せた事を心より嬉しく思います。『トラ』の再演も行えればと思いますが、今後も皆様の期待に応えられる様に、新作公演の企画を精力的に立てていきたいと思います。


今後とも、高畑裕太の活動のみならず、
劇団ハイワイヤを宜しくお願い致します。


劇団ハイワイヤ主宰・作・演出 高畑裕太


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