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欧州でのSAKEブームの盲点 ~前編~

こんにちは。
株式会社小林順蔵商店の小林佑太朗です。
今回は、海外(欧州)でのSAKEブームにおける盲点 ~前編~ を語っていきたいと思います。

これで少しでも海外の日本酒の現状を知ってもらえたら嬉しいです。

日本でも最近日本酒ファン増えてるよね

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皆さん、日本酒って美味しいでしょうか?

少し前に日本でも日本酒ブームがきまして、高品質高価格の日本酒(純米吟醸大吟醸など)を楽しむ人も増えてきました。
また、酒蔵が新しい日本酒「スパークリング日本酒」や低アルコールや可愛いパッケージの日本酒などを次々にリリースし、今まで日本酒に対して「ダサい」「おじさんのお酒」といった印象をもっていた若い人や女性にもファンが増えてきました。
さらには、技術の発展や物流機能の向上によって、昔はその酒蔵のある地元の人しか楽しめなかったような生酒無濾過原酒など、今までのイメージを覆すような日本酒も今では手軽に誰でも手に入れることができるようになってきました。

そういった方々に「日本酒って美味しい?」と聞いてみると、意外と多くの人が「今まで飲んだことなかったけど、めっちゃ美味しい!」と良い印象を持ってくれてました。

そう、多くの日本酒嫌いの人がなんで日本酒を敬遠していたかっていうと、その多くは「昔お父さんやお爺さんが一升瓶片手に飲んでるダサい飲み物だと思ってた。」とか「大学時代に、安い居酒屋で先輩に一気飲みさせられて頭が痛くなったし、味も美味しくなかったし、それ以来飲みたくもなかった」など、結局は昔の悪いイメージによって飲まず嫌い(?)をしていただけだった、っていうケースも少なくありません。

実は、今は色々な居酒屋や日本酒バーなどで、高品質な日本酒や新しい日本酒が容易に手に入るので、それを飲んだら結構皆さん「美味しいや~ん!」と思ってもらえるんです。

また、最近は流通が限定している幻の日本酒を取りそろえているレストランや、原料米精米歩合を飲み比べできるようなバーも数多く存在しています。
えてして、そういうレストランやバーでは、日本酒に詳しい店員さんやバーテンダーがいて、そういった人が優しく丁寧に日本酒に関する基礎知識やうんちく、酒蔵の想いや歴史などを教えてくれるため、そういったことを聞きながら日本酒を飲んでみると、「へ~、この日本酒って実はこうやって出来てるんだ!」や「そんなに熱い想いを持って作ってくれてるんだからファンになっちゃいました!」なんてことになって、どんどん日本酒のファンになっていっちゃうものです。

海外(欧州)ではどうやって皆日本酒に出会ってるの?

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皆さんお聞きしたこともあるかもしれませんが、日本酒の海外輸出量は年々増えてきています。令和元年まで約10年間連続で輸出量は増え続けてきています。

まさに、SAKEブーム!!

ただ、正直まだまだ欧州に輸出されている日本酒の量は多いとは言えません。全体の数%にも満たない程度です。
もちろん、酒蔵や輸出業者もそのボリュームを増やそうと営業活動をしていますが、その上で、JETRO農林水産省日本酒造組合中央会もその魅力伝達や輸出底上げの取り組みを行っています。

例えば、「Prowine」や「Sial」など世界的な飲食物の展示会で日本酒ブースを設置して、積極的な試飲を促すことでPRしたり、そのイベント内でプロフェッショナル向けの日本酒レクチャー」を行うことで直接的に輸入業者やディストリビューターに働きかけたりしています。
さらには、各国の日本大使館と連携をして、その国の政府関係者や飲食業界関係者などを集めて試飲・啓蒙イベントを行ったりもしています。

もちろん、そのおかげでフランスのミシュラン三ツ星レストランに高品質な日本酒が導入されたり、イギリスやフランスなどで日本酒のコンペティションが行われたり、盛り上げりを見せ始めています。

SAKEブームの盲点とは。。。?

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現状の日本酒業界の取り組みは、「日本酒って全然知らないと思うけど、高品質だよ!高品質な日本酒は、高級ワインにも全然負けてないよ!」と欧州各国のアッパー層や有名インフルエンサー・飲食業界人に訴求するものです。
もちろん、この取り組みは大変必要なもので、これによって政府関係者や飲食業界関係者の日本酒に対するイメージは多いにアップしてきました。

ただ、今後欧州への日本酒の輸出量を実際に拡大していくには、見逃してはいけないポイントがあると考えています。
それは、

①PRされている高品質な日本酒と実際に一般の現地消費者が日々触れている日本酒に大きく違いがある
②SAKEと誤認されている中国産のお酒や外国産日本酒と日本産高品質日本酒との違いが分からない
③現地消費者にとって日本酒に関して学ぶ環境が非常に少ない


という点です。これが盲点なのです。

日本酒の輸出量を大きくしていくためには、駐在している日本人や日本大好きな現地人だけが好きで飲んでるだけでは難しいです。
日本に行ったことがなかったり、日本のことを全然知らないような現地の中・高所得者が日本酒を継続的に飲むようにならないとボリュームが飛躍的に増えていくことはできないと思います。

ただ、私はこれら3つの盲点により、なかなか欧州への日本酒輸出が伸び悩んでいるのではないかと現状考えています。

最後に

すみません、思った以上に長くなりすぎたので、この辺で一旦ストップして、次回に後編として語っていきたいと思います。

決して様々な方面の方々が頑張って日本酒の輸出拡大を促そうとしていることを非難するものではないです。
私が実際に現地に訪れて色々な人に合ったり、色々な場所に訪れて感じたことを率直に語り、少しでも実際の現地の状況を知っていただけたら嬉しいです。

それでは、この辺で。

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