見出し画像

恐らく落とすための面接でミスを連発したのに採用された話

緊急事態宣言が解除された。

色々あって僕は一人暮らしをすることになった。

いくら生活費やらの援助をもらっているとは言え、自分で自由に使えるお金やら、ある程度貯金はしたい。ということでバイト探しをした。条件は以下。
・時給1000円以上
・シフト申告制(固定シフトでない)
・週1日から
・三田線沿線でかつ白金高輪・日吉方面(神保町〜内幸町辺り)
・カフェか本屋

見つかるわけがなかった。

マイナビバイトやらタウンワークやらindeedを探し漁ったものの、希望の条件で働ける店はそうなかった。

半ばあきらめかけていたある時、前から気になっていた丸の内にあるオシャレなブックカフェの求人を見つけた。このコロナ禍でバイトを採用なんて…と思いながらも電話をし、面接をしてもらうことになった。

面接では始めに応募理由を聞かれた。本屋が好き。岩波文庫を置いていない本屋は本屋と呼べない的な話をした。1つめの地雷だった。

なんとその本屋には岩波文庫が置かれていなかったからだ。

岩波置いてないんですよね〜と言われ、冷や汗が出た。なんとか本屋で買った本をすぐその場で読めるのはブックカフェの素敵なとこ的な話をして軌道修正をした。本が好きということをアピールし過ぎたところで2つ目の地雷に。

書店業務よりカフェ業務の方が多くなると思うけど大丈夫?

大丈夫です!とだけ言えば良かったのだが、捻くれ者の僕は大丈夫な理由が必要だろうと、自粛が始まってからコーヒー豆の産地やロースト具合などにこだわってコーヒーを飲むようになったからカフェ業務にも興味があると話してしまった。3つ目の地雷だった。

もちろん美味しいドリンクは提供するけど、そこまでのこだわりではやってないんです。

これでもかというくらい地雷を踏んでは爆発させて面接が終わった。
他にも応募があるので数日後に連絡すると言われた。
この時点で”終わった”と思った。

このまま敗戦確実なムードで帰るのも何だなと思い、気分転換も兼ねて読みたいリストにある本でも買って帰ろうと書店内をぐるぐる本を集めながら回っていた。

するとその時、あの店長が、僕にすーっと寄ってきてこう言った。

「色々考えたんですけど、採用ってことにさせてくだい。」

思わず「あっ」っと変な声を出してしまった。
あんだけ地雷を踏み歩いた僕がどういう訳か採用してもらえた。
喜びよりも、驚きでしかなかった。

正直、何がどういう訳で採用されたかは分からない。
本好きが伝わったのか、本屋の売上に貢献してくれると踏んだのか、あるいは他になにか理由があるのか。

真相は神のみぞ知るというか、店長のみぞ知るということなので、そういう話ができるくらい仲良くなるまで知ることはないが、嫌というほど「面接」が嫌いになっていた僕、不合格を嫌というほど見た僕にとっては久々の戦勝記念日になった。

ただ、今後はいかなる「面接」にもしっかりと準備をして望むことを胸に刻んでおきたい。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?