見出し画像

ホンダ レベル3

ホンダがレベル3自動運転の発売を3/5に開始した。結論からいうと、東京オリンピックに向けた目玉として頑張ったのか、国がレベル3の法規を世界に先駆けてリードしたところであり、ホンダが他社ができない自動運転を開発したというところではない。

SAE定義

自動運転レベルは当初、「米運輸省道路交通安全局」(NHTSA)の定義が世界的によく採用されていた。しかし、NHTSAがアメリカの「自動車技術会」(SAE)が示した基準を2016年に採用したことから、現在はこのSAEの6段階の自動運転レベルの定義が日本を含む世界においての主流となっている。
参照:https://jidounten-lab.com/autonomous-level

レベル3は定義上、システムによる監視として、自動運転中の事故は全てメーカー側に責任があるということで、レベルが高いものと捉えられたきた。

画像2

機能

レベル3自動運転は、Honda SENSING Eliteの「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」として提供。自動車専用道路において約30km/h未満(システム作動後は約50km/h以下)の状況において渋滞に近い混雑状況であるときに自動運転を行なう。

レベル3の自動運転であっても、以下のような行為は控えるように言及しており、ドライバーモニターカメラがどこまでの秒数これらのことを続けたら操作要求を出すか明言していないので、これがどこまでの閾値で設定されているかが、カスタマーの満足度に繋がってくるだろう。

画像4

参照:https://www.honda.co.jp/LEGEND/hselite/ 内の留意事項説明コンテンツ

価格

車両価格は、1,100万円(税込)だ。先代の「レジェンドハイブリッド EX」は7,249,000円なので、Honda SENSING Eliteの機能などを加えたことで、3,751,000円の上乗せになった。そして、新型レジェンドの販売計画台数は100台の限定生産で、リース専用車両となっている。ホンダカーズ(ホンダの販売店)によると、「リース期間は3年間で固定され、リース期間満了後の買い取りなどはできない。リース料金は、1か月で約30万円になる。リースなので、税金、保険料、メンテナンス費用などはすべて料金に含まれるものの、それにしても高額だ」とのこと。1か月当たり約30万円で3年間(36か月)のリースになり、3年後には車両を返却しなければならない。わずか3年の間に、車両価格と同等のリース料金を支払うので、かなり割高になることは否めない。
参照:https://kakakumag.com/car/?id=16653

センシング

ハンズオフ中への不具合がでた時のために、冗長系を組むことは通常であるが、フロントカメラを冗長系のためだけにもう一つ加えているのは珍しいところである。また、イーロンマスクがコスパが悪いと言っているライダーを5つも搭載しているところから、だいぶ安全面に振ったシステムになっている。

画像1

法規

販車としては世界初となるレベル3の自動運転を実現したと言っていたのは、ホンダが初ではなく、アウディである。しかし、ドイツの法規によって販売できなかった経緯がある。

現行のアウディA8が2017年7月に初めて公開されたときには、「市販車としては世界初となるレベル3の自動運転を実現した」とうたわれていた。しかし今に至るまで、アウディA8のレベル3の自動運転機能は実用化されていない。ドイツでも日本の道路交通法にあたる法律ではレベル3の車両の公道走行を認めているが、もう一つの道路運送車両法にあたる法律の改正が追いついておらず、レベル3の車両が備えるべき条件が法制化されていないのだ。
参照:https://www.webcg.net/articles/amp/42758?page=3

今回、日本で自動運転のために改正された法規は主に二つある。
1. 道路交通法(交通に関して規定。2020年4月に改正)
改正法では、自動運行装置を使用した運転も従来の運転に含めることとしたほか、作動状態記録装置が不備な状態での運転を禁止するとともに、データの保存も義務付けている。
2.道路運送車両法(自動車そのもに関して規定。2020年4月に改正)
自動運転システムとなる「自動運行装置」を「プログラムにより自動的に自動車を運行させるために必要な、自動車の運行時の状態及び周囲の状況を検知するためのセンサー並びに当該センサーから送信された情報を処理するための電子計算機及びプログラムを主たる構成要素とする装置」であり、「自動車を運行する者の操縦に係る認知、予測、判断及び操作に係る能力の全部を代替する機能を有し、かつ当該機能の作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えるもの」と定義し、保安基準対象装置に追加した。

国連WP29ではアウディ以来未だ決まっていない道路運送車両法を、日本においては「自動運行装置」として国内の基準を策定・施行し、道路交通法においても自動運行装置を使用した運転も従来の運転に含めるとして、レベル3の販売を実現させた国が今回はすごい。東京オリンピックに向けた目玉として頑張っていたのだろう。

画像3

考察

ホンダ以外のメーカーもレベル3を出せるところはたくさんあるが、今回は色々とタイミングがあい、世界初の名を得た形である。
国土交通省の自動運行装置の保安基準等の概要に記載してある「国際基準が成立した場合には速やかに同基準を国内導入」と記載さえれているのは気になるところだ。他国は日本のシステムをそのまま展開できなような基準作りに走ることであろう。そういうこともあって、トヨタは慎重な姿勢を貫いている可能性が高い。

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,718件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?