浄土寺 (じょうどじ 兵庫県小野市) 建築物 in 建築物
三木SAから車で30分。なだらかな播磨平野の中に浄土寺(じょうどじ)はあった。
大仏様(だいぶつよう)と呼ばれる鎌倉時代初期に持ち込まれた宋の最新技術で建てられている。大仏様が見られるのは東大寺南大門とここだけ!
特徴は貫き(ぬき)が多い = 柱に木材を刺した構造であること。こうすることで構造が強くなり、柱と柱の間を広くとれるとのこと。当時は木材不足だったことも関係しているとか。鎌倉時代最先端のサステナブル建築ということか。
実際、中に入ってみると建物全体が空洞のような広さを感じる。天井板がなく、屋根の先端まで空間が開けている。そして、柱に平行に刺さった貫にぶつかるのではないかと心配になるくらいの大きさで見下ろすのが浄土寺最大の見どころ、阿弥陀如来三尊(あみだにょらいさんそん)だ。
後光をあらわす光背(こうはい)が梁(はり)ギリギリまで迫っている。入口の高さは如来様に比べて明らかに低く、見る限りどうやって入れたのか分からないし、二度とこのお堂から出す気がないようにみえる。
それもそのはずで、どうやらこの三尊は持ち運んできたわけではなく、建物の中に入っているもう一つの建物らしい。
阿弥陀三尊は須弥壇(しゅみだん)の上に立っている。ようにみえるが、須弥壇はただの飾りで、実は仏像は浄土堂の床を貫いて地面にまで届き、楚石の上に立っているとのこと。しかも阿弥陀如来と脇侍(わきじ)2体が床下で浄土堂よろしく貫きで繋がっているという。3尊別々の仏像に見えるけど、タケノコみたいに床下で繋がった1つの構造物ということだ。
今回は時間が合わなかったが、夕暮れにはお堂内に西日が満ちて3尊を照らすという。阿弥陀様といえば西国浄土の仏様ゆえに西側に立って東を向いている。そのためにどうしても昼を過ぎると逆光になってしまう。平等院鳳凰堂がちょうどこのタイプで昼過ぎには写真を撮りにくいが、その点浄土寺は西日をうまく利用した演出が憎い。
参考文献: 仏像の秘密を読む (角川ソフィア文庫)
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