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あずさ5号に乗りながら

この週末は珍しくしっかりと休むことができた。土曜日は多摩湖までサイクリングに行き、日曜はゆっくり起きて料理をしたり部屋の掃除をしたり、少し散歩をしたりして過ごした。

日曜の夜に少し仕事をした。月曜日が終日日帰り出張で潰れてしまうので、やるべきことに予め手をつけておこうと思ったのだ。

仕事を始めると長くなってしまうのは、うまく集中できないからだろう。メールひとつ返すにしても、次の一文が出てこずに悩みながら、気づいたらスマートフォン片手に毒にも薬にもならない動画に目を落としているのだ。

やるべきことを終えた後も、「まだ何かやりそびれていることがあるのでは…」と不安になってしまうのは、きっと“先延ばし癖”からくるのだろう。ひとりで仕事をするようになってから、以前にも増して「私がきちんとしなければ」という思いが強くなったが、そもそも“きちんとしていない”私にはそれはひどく重荷になっている。

翌日の特急電車の予約をしようとすると、グリーン車両に1つ空席があるだけだった。危ない。まさかこんなに混雑しているとは思わなかった。そして、私の予約で満席になった、ということだ。なんか嬉しいような。


1時半ごろに布団に入ったが珍しくうまく眠れなかった。やり残した仕事があるのではという不安や遅々としたプロジェクトの進捗に加えて、今月末は資金繰りが厳しく、乗り越えられるかどうかかなり微妙なライン。あれこれ思い悩んでいたら、眠気がどこかへ逃げてしまったようだ。

それでも、いつの間にか夢のない深い睡眠の谷底に落ちていった。


翌朝は7時過ぎに家を出て8時の特急電車に乗った。

満席の「あずさ5号」は私のように仕事の人をごく一部と、大半の夏休みの空気を纏った人々を乗せて西へと走った。

特急あずさ号やかいじ号は、八王子生まれの私にはちょっとした“憧れ”だった。八王子駅に発着する特急あずさ、かいじ号は、在来線の味のあるが野暮ったい見た目と違い、凹凸があり滑らかだった。いつか乗りたい、と思っていたものの、そんな機会はなかなか訪れなかった。


駅のホームであずさ5号を待ちながら、私はその「はじめて特急あずさ、かいじ号に乗った日」のことを思い出した。

その日のことについて、私はすでにnoteに書いたような気がしていた。検索してみるとやはりそうだった。

ちょうど4年前の記事だ。隣に座っていた、チーかまをむしゃむしゃ食べる寡黙なおじさんから、素敵な「ありがとう」を聞くことができた、という内容である。

私は時々、あのチーかまのおじさんのように、「ありがとう」を発することができているだろうか、と思う。多分出来てないと思うし、これからもできるようになる自信はない。

Yuta Watanabe 『チーかまの思い出


正直今、とてもしんどい状況に立たされている。このまま状況が悪い方向に転べば、私はパンクしてしまうかもしれない。

ただきっと、そんな時こそ、あの「チーかまのおじさん」のように、笑顔できちんと「ありがとう」がいえる人であることが重要なのだろう。

今こそ、「チーかまのおじさん」になる時なのだ。


私はこの記事を「あずさ5号」の中で認めている。今ちょうど大月駅を通過したところだ。

今日から私は、「チーかまのおじさん」のような「ありがとう」がいえる人になろうと思うが、そのためにはまず何をしたらいいのだろう…


そうだ。帰りの電車では、チーかまを食べよう。形から入るのはとても大切なこと。駅のキオスクに売ってるかな…


って、違うか。


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