見出し画像

ラウンジの違和感

前の記事で書いた通り、5月31日金曜日、夜7時すぎの便で日本に帰る。今はフライトの1時間ほど前。この記事は何も問題がなければ飛行機の中で書き上げられ、到着翌日にアップされることになるだろう(実際にそうなった)。

フライトの今日は午前中にミーティンがあり、ランチを家で済ませてからお昼1時過ぎに家を出た。バスを2つ乗り継ぎ(1つの目のバスには目的地の1停留所手前で降ろされ、2つ目のバスはなんのアナウンスもなく乗り場が変更されていた)、夕方4時ごろに空港に着いた。

荷物の預け入れ、出国審査、手荷物検査は驚くほど早く終わった。時計を見るとまだ4時45分だった。

荷物を預けた時に、ラウンジが使えると告げられた。直前にプレミアムエコノミーにアップデートしたことでの思わぬ恩恵だった。


国際線のラウンジを使うのははじめてのことだった。軽く飲み物が飲めてゆっくりできる場所、くらいの認識しかなかったが、足を運んでみると、多くの人がシャンパンやワインのグラスを片手に優雅に過ごしており、フードもかなり充実していた。シャワーもあるとのことだった。

ランチが早かったこともあり、ひどくお腹が減っていた私は、とりあえずこのラウンジで空腹を退治することにした。少しいいホテルの朝食バイキングくらいには充実していたので、とりあえず一通り食べてみたところ、どれもこれもきちんと美味しかった。デザートとコーヒーまでしっかりいただき、少し仕事をして今に至る。


国際線のラウンジというのはなかなか不思議な場所であるように感じた。空間そのものは特別ラグジュアリーではない。もちろん無料で使えることを考えるとお得感は大いにあるが、料理や飲み物のクオリティ、空間作り、置かれているもの等を鑑みると、それこそちょっとしたホテルのロビーくらいなレベル感であろう。

一方で、そこにいる人は最低でもプレミアムエコノミー以上のクラスで飛行機に乗る人だ。会社が飛行機代を払っているケースもそれなりにあるだろうが、いずれにしても富裕層であることには変わりない。私のようなペーペーも少しは混じっているが、基本的には飛行機代に少なくない金額を追加するゆとりのある人たちばかりなのだ。

そんなわけで、そこにはそこはかとない「余裕」のようなものが漂っていた。これから待ち受ける13時間半のフライトを前に、変な人と隣になる心配や、狭い席をいかに快適に使うかというあれこれの工夫、機内に入るための長蛇の列など、そういったことについて一切考える必要がない人たちなのだ。それに加えて、経済的な豊かさからくる、元々持ち合わせているゆとりも、そこに漂う「余裕」に大きく貢献していたはずだ。

ただ、その「余裕」にはどこかネガティブなニュアンスがあるように感じた。皆どこか“持て余している”ように私には見受けられたのだ。それがラウンジの、無料ではあるもののある一定を超えないクオリティからくるのか、なんだかんだでファーストクラスだろうがビジネスクラスだろうが長時間のフライトは憂鬱に感じられるからなのか、その辺りは結局よくわからないが、いずれにしてもどことなく“ダルさ”を伴った雰囲気がそこにはあるのだ。


そんな不思議な空気を後にして、私は今、プレミアムエコノミーの座席でこのnoteの続きを書いている。今までのエコノミークラスに比べると嘘みたいに広くて快適だ。これならあと11時間のフライトもすんなりと終わってしまいそうだ。noteの記事を書いて、読書をして、寝て、2度目の機内食が出れば、もう羽田に到着しているだろう。


いつか私も、ビジネスクラスに乗る日が来るのだろうか。そういえばいつぞやか、そんな内容の記事を書いたような気がする。

そんな日が来るのかはわからないけれど、国際線のラウンジに足を踏み入れたことは、私にとって、それをほんの少しだけ具体的にイメージさせる、いい経験になったように思う。

まぁでもしばらくはエコノミークラスに乗り続けるだろう。やっぱりまだ私には、プレミアムエコノミーですら少々高く感じてしまうし、航空券に必要以上に高いお金を出す価値をまだ見出せていない。

それが価値のあることに感じられるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。


【çanoma公式web】

【çanoma Instagram】
@canoma_parfum
 #サノマ #香水 #フレグランス #ニッチフレグランス #canoma #canoma_parfum #パリ
#フランス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?