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「すぐ」とは

あまりにもくだらない内容でここに書くまでもないことだと思っていたのだが、数日前の会話が頭から離れない。この記事を書き始めた私は、この話をどのように着地させるか全く未定のまま筆を走らせることにした。もしかしたら着陸することなく銀河鉄道のように空に吸い込まれて消えてしまうかもしれないが、とりあえずは書いていこうと思う。


それはとある政府系金融機関の方に融資申請の手続きについて電話で問い合わせていたときのこと。対応してくれた女性の行員は声だけだとその雰囲気が掴みかねたが、新人でもベテランでもなさそうな印象だった。一通り聞きたかった内容についてはクリアになったところで、「何か質問はありますか?」と問われたところから以下の会話はスタートする。

「予めある程度把握しておきたいので、融資実行までのスケジュールを教えてもらえますか?」

「面談の後、審査に2、3週間ほどいただきます。その後融資が決定すると契約書をお送りするので、それをご返送いただいたのち不備がなければすぐにご融資いたします」

「なるほど、ということは、こちらが契約書を返送するタイミングによりますが、面談から3週間ほどで融資実行、というイメージですね」

「いえ、契約書を確認してから2週間ほどお時間がかかります」

「あれ…すぐ、ではないのですね」

「そうですね、10日ほどお時間頂戴します」

「はい…わかりました…。ありがとうございました」

こうして私たちは電話を切った。

おわかりいただけているとは思うが、一応私の“モヤっとポイント”を説明しておくと、融資実行が「すぐに」なされるといった直後に、実はそれに2週間程度かかることを、なんの疑いもなくサラッと行員が口にしたことだ。「すぐ」がどれくらいであるかは人それぞれである一方、直前の会話で審査には2、3週間ほどかかることが明言されていることを鑑みると、その方にとっての2週間は本来「すぐ」ではなさそうだ。審査よりも短い期間である、という意味合いにおいて「すぐ」という言葉を使ったとも考えられるかもしれないが若干無理があるように思う。

もし私がこの「すぐ」について確認していなかったら、契約書のタイミングで「すぐ」に融資が実行されないことを知り、「あれ、言われたことと違う…」となっていたことだろう。それを回避できたという点ではよかったが、これからこの方とのこういった曖昧なコミュニケーションが続いていくことを考えると憂鬱である。毎度毎度こちらが確認をしなければならないのだろうか。正直、勘弁してほしい。


数日前の些細な出来事がここまで尾を引いているのは、あれこれ妄想してしまっているからだ。あの行員は電話を切った後、当該発言が私をどれほどモヤつかせているかなんて知る由もなく「あの人なんかしつこかったなー」とほんの刹那思うがすぐに忘れ、その日のお昼ご飯に何を食べるかを考え始めただろう。彼女は彼氏にも同様の曖昧な発言をし、それが元で頻繁に喧嘩になるが、悪いのはいつも彼氏の方だと疑わない。彼女は人生を“フワッと”生きたいのだが、それによって周りはいつも“モヤっと”させられる…

そんなことをつらつらと考えながら、気づいたら数日経っていた。彼女は私の心を捉えて離さない、悪い意味で。


という、こんなオチもへったくれもないくだらない話なのだが、今回に限っては、散々モヤモヤさせられはしたものの(私が勝手にモヤモヤしただけか)、noteのネタを提供してくれた、という意味においては感謝している。あの会話から記事ひとつ書けたというのは、私としては大変にありがたい。


ありがとう、曖昧なコミュニケーションで周囲からほんの少しだけ距離を空けられている彼女。私はあなたのおかげで、noteに記事をまたひとつ、投稿することができました。

それにしても、なんだかなぁ…やっぱり解せないなぁ…


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