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時差ボケ深夜の儀式

日本とフランスの2拠点生活をしているわけだが、私はどうにも時差ボケに弱い。

飛行機が到着した当日は特に問題なく過ごせるのだが、その後1週間ほど、うまく現地の時刻に合わせることができないのだ。

フランス到着後の1週間は、日中は元気でも、フランスでの夕方、つまり日本時間の夜に睡魔に襲われ数時間程寝てしまい、その後、深夜0時すぎに目覚め、朝方まで眠れなくなる。

日本到着後の1週間は、単純に就寝時刻と起床時刻が数時間後ろにずれる。つまり、5時に寝て11時に起きる生活を送ることになる。


最近気が付いたのだが、そんな私の時差ボケ生活中、言うなれば“儀式的”に、最低一度はあることをしている。日本にいても、フランスにいても、必ずと言っていいほどそれをしてしまうのだ。

それは、深夜3時にパスタを茹でること。


時差ボケの深夜1時半、それは突然訪れる。

「あ、パスタ食べたい」

しかし私は逡巡する。深夜にパスタを食する行為…それは人として正しい行いだろうか…いや、そんなことはない。この暫定的な空腹は、夜の帳とではなく、朝の光とともに解消されるべきものだ。私は自分に言い聞かせる。

そして、読書やYouTube鑑賞等、より“人道的”だと思われる行為に勤しむ。

勤しむのだが、頭の片隅で、グツグツ、グツグツ…という音がしている。それは次第に大きくなる。

その音は、深夜3時にピークを迎える。その頃には、私の理性的我慢も同様にピークを迎えている。


お湯を沸かし始める。予定調和的に、台所にはニンニクと鷹の爪、そしてオリーブオイルがある。

そう、全ては予め決められていた。運命だったのだ。

沸騰するのを待つ間、ニンニクに火を通す間、パスタが茹でられている間、ソースを乳化している間…そんなことを考える。


はたして、パスタは皿に盛り付けられた。

オレガノすらかかっていない、ニンニクと鷹の爪だけのシンプルなペペロンチーノがそこにはある。黒胡椒が唯一の贅沢。


1口、2口…フォークを持つ手は止まらない。それは「美味しい」を通り越して、「正しい」という感覚をももたらす。私は今、正しい行為に身をやつしているのだ、と。それが啓示なのか錯覚なのかはよくわからない。が、そんなことはどうでも良い。大切なのは、「正しい」と感じている私自身なのだ。


空腹を埋めるものは何でも良いわけではない。大切なのは、パスタであること、そして、「パスタを茹でる」というプロセスがあることだ。


パスタを食べた後は、不思議なほど安らかな眠りにつける。もちろん、この儀式を通して時差ボケが綺麗さっぱり治る、ということはないのだが。


この儀式をする度に、村上春樹の『パン屋再襲撃』を思い出す。

こちらは得体の知れない空腹に耐えきれず、深夜にパン屋(正確にはマクドナルド)を襲撃する話。そしてその行為を通して、彼らは何かを取り戻す。


私も、パスタを茹でながら、失った何か大切なものを取り戻しているのだろうか。もしそうだとするならば、それはパスタを食べる行為ではなく、パスタを茹でる行為によってだと思う。なぜならば、私は、そのパスタを口にするときにはもう満たされているからだ。


深夜の儀式は、これからも続くだろう。私は失い、そして取り戻す。その間には、アルデンテを待ち侘びるパスタがいる。


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