店頭に立つ者の責務
パリオリンピック陸上競技、混合4×400メートルリレーは、オランダが劇的な逆転劇で優勝を飾った。アンカーのボルの末脚も素晴らしかったが、2走クラバーのオープンレーンからの位置取りがよかったことが勝利に繋がったように思われた。ボルはあれだけ調子がいいので、個人種目にも期待ができそうだ。400メートルハードルの、マクローリン・レヴロンとの対決も楽しみになってきた。
と、こんな感じでオリンピックの陸上競技期間中はとりあえず陸上ネタを挟むとして。
今日日曜日のちょっとした出来事が頭から離れない。モヤっとした気持ちを明日に引きずらないように、ここに記していこうと思う。
夕方ごろに下北沢に用事があり自転車で向かった。駐輪場に自転車を止め、30分ほどで用事を済ませた。
駐輪場では最初の2時間は無料で駐輪できるとのことだった。せっかくなので、下北沢を散歩してみようかと思ったが、普段あまり来ない街であることもあり、どこへ向かえばよいのかよく分からなかった。
Googleマップで周辺地図を見てみると、近くに行ってみたかった古本屋があることがわかった。閉店までまだ1時間以上あったので、いい機会だと思い向かうことにした。
古本屋のある場所についてすぐ、それが2階に位置することを知った。少々入りにくい気持ちもあったが、わざわざ来たので入ってみることにした。
階段を上がろうとした時、その古本屋の店主と思われる人が外に出てきた。1階にある郵便受けを確認しにきたようだった。すれ違いになりながら、私は2階へと上った。
店の前にも所狭しと本が置かれていた。それらの本のタイトルをざらっと目で追いかけながら、私は店内に入った。
店内はちょっと薄暗く、また本棚のところどころに布が被せてあった。
本を見ていると先ほど郵便受けをチェックしていた人が戻ってきた。そして、
「6時閉店です」
と私に言い放った。
「あ、すみません」
と咄嗟に返したものの、時計を確認すると6時までは15分以上あった。ちなみに、Googleマップ及び店頭に示されていた閉店時刻は7時だった。彼の発言はさももう閉店時間が来ているかのようなトーンだったので、発言の意図がわからず、私は困惑してしまった。
本を見ている間、店主は店じまいをしていた。彼はなんだか苛立っているように見えた。鈍感な私はその時はじめて、先の発言は「帰れ」という意味だったと理解した。私はそそくさと店を後にした。
きっとその日は用事があって早く閉めなければならなかったのだろう。大きなリュックを背負った私は冷やかしで来たと思われたのかもしれない。
仮に私がそのお店で買い物をしたところで、さして売上には貢献しなかったであろうし、私が彼の態度に根を持ってGoogleマップに酷いレビューを書いたとしても(もちろんそんなことはしないが)、お店の信用にはなんの影響もないだろう。彼にとって私は、“数多いる中のひとり”でしかないのだ。
ただ、私にとってはこの1回の訪問は“全て”である。そこで酷い“仕打ち”を受けた私は、きっともう2度とお店に足を向けないだろうし、それ以前に惨めな気持ちにさせられた。
この古本屋をこれ以上批判するつもりはない。この経験を通して、私は接客によってひとりひとりのお客がどのように感じるかについて再認識をすることができた。八方美人的に誰に対しても媚びへつらうつもりはないが、全ての人に対して誠実でいることは忘れてはならないことだと改めて思った。
変なお客さん、嫌なお客さんが都度現れることは重々承知しているが、そうであったとしても、店頭に立つ者としての責務は果たすべきだと、人の振り見て考えさせられた出来事となった。
まぁでも…わかるよ、接客って、大変だよね…嫌なことも多いよね…
だから改めて、いい客でいる努力も怠らないようにしよう。そうしよう。
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