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苔の日曜日


カーテンの隙間から漏れる光だけで今日がどれほどいい天気か、寝ぼけていても分かった。

湿度の低いさらりとした風の上に柔らかい陽射しが降り注ぎ、木々を彩る葉の裏までも明るく照らす。
葉緑体の緑と空の薄藍に近い色とが視界の中で混ざりあい、じっくり溶けていくのを感じながら歩いた。
秋にも、そして春にもこんな日があった気がする。

今日は日曜日。
ということは昨日は土曜日で、明後日は月曜日か。
僕はそんな風にして濁った曜日感覚を記憶とともに一つ一つ取り戻していかないと曜日すら簡単に見失う。
普段からテレビを見ないし、連載が毎週楽しみな作品もないから、生きていて曜日を気にする必要が無くなったのだ。
今では唯一、ごみが溜まってきたときくらい。
そもそも、古代バビロニアが遥か昔に作ったとされるこの文化が平安時代で日本に取り入れられ、2022年になった今も当たり前に採用されていることが不思議に感じる。
「ほんとに合ってる?不具合ないの?」と。
もしかしたら古代バビロニアの人が一番驚いているかもしれない。
現状を知ってどんな反応をするか、彼らに知らせに行きたいものだ。



というような、なんともくだらないことばかり考えている。のどかな自然がそうさせている、そうに決まってる。

家に戻ると外から掃除機の「強」の音が聞こえる。どっかの家からだけれど、周りが静かすぎて自分の家の中くらいに聞こえた。
なんだか実家に帰ってきた気分で気が抜ける。

はぁ、そろそろ洗濯物を干さなきゃな。


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