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燻る混沌で

先日、ある作品のクランクアップを迎えた。
今年の夏に相応しいほど熱量の詰まった現場。
燻る混沌で泥臭くもがいたあの時間は混じりけのない時間だったし、自分が自分を最も試していた瞬間だった。
帰り道はライトアップされたスカイツリーが全然綺麗に撮れなかったことと、電車で優先的に座らしてもらいたいほど疲れていた記憶だけ残っている。

監督は今まで出会ったことが無いほど
新しい刺激と発見を与えてくれる人で、どこか不思議。
だからお話をすると引き込まれるほど面白い。
(僕の無知な頭は疲れる。笑)
そういう人の作品はとにかく気になるものだ。
またご一緒できるように頑張りたい。

現場終わり、共演した同年代の役者の方と少し飲んだ。
偶然お互いの最寄りが近かったので終電に関係なく居られる近くの安い居酒屋に入った。
通路を挟んだ向かいの席には若い大学生が6.7人で宴をしており、圧倒的な声量で「これはさすがにタクヤ呼ぶ??」などと盛り上がりを見せていた傍らで
僕等二人はどうだこうだと相手にしか聞こえない声でぼそぼそと喋っては辛味の強い玉葱のお通しとなかなか切れない茄子チーズ味噌等をつついた。
結局、タクヤは呼ばれることなく彼らは解散していた。
そして声量を変えていない僕等の声は大きくなった。
話した内容は近年の僕にとってかなり珍しく、かなり身のある時間だった。彼とはまた飲みたいと思った。
前向きになれたのでこれからもやっていけそうだ。


はやく告知できる日がやって来ますように。


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