【191】拝啓、40歳になったキミに「おめでとう」を捧げます
拝啓、今キミはどこでくらしてますか?
そして、元気にしてますか?
ボクのことは覚えててくれますか?
ごめんごめん、矢継ぎ早に質問だったね。
20代も中盤になるぐらいにはもう疎遠になってた気がする。
あの頃つるんでたキミを含めた男4人、みんながみんな違う道を進んだな。
真っ先に社会人になったボクは、真っ先に結婚して親になった。
結婚式のときはオリジナルの歌を歌ってくれたね。今でも歌えるよ。ありがとう。
18歳のときの夏休み、免許取り立てで森くんの親の車で繁華街にナンパへ繰り出したね。
ボクらはやる気もなく付いて行っただけなんだよね。森くんが見事に失敗したから良かったけど、あれが成功してたらボクらが降りなきゃならなかったよな。
あの車、5人乗りだったもん。今となっては笑い話だ。
ギター抱えて地下道で歌ったり、ファミレスで馬鹿話して笑いが止まらなくなって死ぬかと思ったよ。天才か!
ジワジワ来る笑いのセンスはなんなんだよ。シュールなモノマネばかりしてさ。なんだよ、山本昌のマネって。
ボクら高校を卒業して、社会人になるまでの数年間すごく凝縮する様に共に過ごしたね。
*
幼稚園から同じだったけど、同じクラスには中3までならなかった。
部活で同じになり、ようやく互いの個性を知ることになった。
基本真面目で、熱くなると語調がキツくなる。
ただ、ボクらは言い合うよりもはるかにたくさん笑った。
何に笑ったかわからないぐらいに、あまりにくだらないことばかりを繰り返し話してた。
大学を卒業し、就職した会社は結構タフな営業職だったみたいね。
当時は営業の仕事を知らなかったボクとしたら、マジかよってぐらいに辛そうだった。
それでも、楽しいこともあると頑張っている姿はスゴいなぁって感心してたよ。
でも、
どうしちゃったの?連絡も途絶えてしまったよ。
生きていればいつかは会える。
だけど、どうしちゃったんだよ。
《ボクらがあたたかく見守ってるから心配することないんだ》
と、あの日歌ってたのにどうしたんだよ。
仕事が忙しいんだろう。
そんなことを思いながら、いつか来る連絡を待ったりもした。
メールをしてみても応答はなかった。
大丈夫だろうか?不安になって、ある日お母さんを訪ねたよ。勝手にごめんな。
お母さんは訪ねて来たことを喜んでくれて、キミの近況を教えてくれた。
どうやら仕事をあれからも頑張っていて、店長から何店舗かまとめる部長になったとか。
それ聞いたときの自分の役職は主任。
まったくスゴいじゃないか。確かまだ30歳にはなってなかったはずだ。
役職もついて、結婚もして子供も授かったと聞いた。
良かったじゃん。おめでとう。
違うだろ!
「おめでとう」は直接言わせてよ。
ボクはキミからたくさんの「おめでとう」を言ってもらえたよ。
すごく嬉しかったんだからさ。
こっちからも「おめでとう」言わせてよ。
どこに居て、何をしてるんだよ。
対人関係、言うほど得意じゃなかったキミが30を前にして葛藤してないわけはないでしょ。
親御さんには言わない苦労話聞かせてくれよ。
こんな間接的に近況知るって寂しいもんだぜ。
でも、良かった。
無事らしいし、頑張って生きてたね。
*
気持ちは複雑だったよ。
本当にその近況を誰も知らなかったんだもん。
そりゃないぜって。
勝手なこっち側のガッカリだけどさ。
Facebookでも、Instagramでも、Twitterでも検索したんだよ。見つけられるかなって。
でも、見つけられなかったな。
それだけでも繋がれば違うんだけど、残念。
キミもボクらと同じく40歳になったはずだ。
結局、なんのことも知らないまま40歳になってしまった。
知っているのは30を前にしたときに知った情報だけだ。
あれから、奥さんとは仲良くしてますか?
お子様は元気に成長してますか?
仕事は相変わらずなんですか?
こっちは仕事は何回か変えたけど頑張ってるよ。
noteなんてものを毎日書いているんだよ。見つけたら読んでみてよ。なんならフォローしてくれよ。
中学の頃、夢見てたラジオDJにはなれてないけど音声メディアで喋ってるよ。
でもさ、
諦められないんだよ。
会える日がいつか来ることを。
どうして疎遠になったのかは聞かないよ。
会えるよね?
そろそろ帰っておいでよ。
今度はボクが歌うから。
《ボクらがあたたかく見守ってるから心配することないんだ》
そして、ちゃんと「おめでとう」をキミに。
サポートして頂けるなんて本当に感激です。その気持ち、そのひと手間に心から感謝します( *´艸`) たくさんのnoteから見つけて下さりありがとうございます!!