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変わる「体験」のかたち

1.良質なUXと価値の変化

ユーザーニーズの「モノ→コト」への変化は定説になりつつあり
10万円のバッグを購入するよりも、10万円を娯楽に使う方が価値の高いものととらえる人が増えました。

1987年に地球温暖化が問われるようになってから30年以上経った2020年、
サステナビリティという言葉が広がり環境問題を意識したモノづくりは必須となり、良いものを作れば売れるという考え方は過去のものとなりました。

DXというキャッチフレーズのもと、日本の経済は進歩の足音が聞こえます。
かつて高度経済成長があったように国内のIT業界はバブルが来るのではないかと思っています。

この大きな流れの中で、UXという言葉の意味や目的も変化してきました。

僕は2012年ごろにUXを意識するようになり
UXの向上は「迷わないUI」「ストレスのないUI」という価値を創造する事だと思っていました。
そうしているうちに「UIの改善≠UXの向上」という常識が生まれ
UIデザイナーとUXデザイナーは別の職種となり、UXはデザインの枠を越えました。

そして昨今、UXはプロダクトや会社のブランディングに直結することが唱えられています。

「モノ→コト」、「サステナビリティ」、「ブランディング」・・・の変化。
ここからわかるのは、
良質なユーザー体験の条件とともに、求められている体験価値も変化している
ということです。

特にSNSが浸透した今、UXを時間軸で捉える重要性は非常に増していると感じます。

2.SNSによって変わるUX時間軸

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UXは、ユーザー体験に期間を設定することで
・利用前 : 予期的UX
・利用中 : 一時的UX
・利用後 : エピソード的UX
・全体  : 累積的UX

と分けることができます。
出典:UX白書 https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxoY2R2YWx1ZXxneDo2NWIxZTQwMTdjYTU1YTNm

SNSは予期的UXによるワクワクを膨張させ、利用体験を精度の高いものに引き上げることができます。さらにエピソード的UXを共有することで他のユーザーへの貢献を可能にします。

これが、ユーザーにとっての「価値」の累積となっていきます。

どういうことかというと、
Instagramで飲食店の情報を調べ、メニューの写真と一緒にリアルな口コミを参考にすることができ、地元の人しかしらない隠れた名店や、人気のメニューを高い確率で調べ上げることができますし
ツイッターで検索すれば、生の声をリアルタイムに見ることもできます。

これらがユーザー同士の相互作用により、精度の高い体験を生み出すのです。

つまりこの変化は
「ユーザーは情報に価値を感じるようになった」ということなのです。

3.ユーザー側の変化

これはユーザー側にも変化を生みました。
SNSに情報がないお店には存続への高いハードルが生まれてしまうため、
自分のお気に入りのお店をSNS上で紹介する事でお店の存続をねがう顧客、つまりファンができたのです。

ユーザーとお店の間にあった余白をSNSが埋める事で、ネット上で共同経営を可能にしました。

このファンの存在が、人気である確固たる証拠になります。

・利用前 : 予期的UX
・利用中 : 一時的UX
・利用後 : エピソード的UX
・全体  : 累積的UX

この中における「累積的UX」が、自分だけでなく、そのまま他者の予期的UXに繋がるということです。

UXがブランディングへ昇華されていく経緯には、
ユーザー体験がプロダクトと会社の評価になることだけでなく、ファンの獲得、さらに口コミの獲得へつながるから。
と言えますね。

4.まとめ

「良質な体験」は
・プロダクト → ユーザー
へ作るものだけではなく

・プロダクト →  ユーザー → ユーザー

を意識することが大事だということに変化しています。
「体験」のかたちは、与えるものではなく共有しあえるものに

つまるところ

「得た良質な体験を他者へ共有してリアクションをもらえる」
ここまでが「ユーザー体験」になっていっているように感じる昨今のUX界隈でした。



では、また!

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