田舎町で研ぎ屋を半年して思ったこと 3選
こんにちは、鳥取県米子市にある包丁研ぎのお店 タルイハモノ.です。今回はお店を開業して半年経って感じた事、代表的なもの3つを上げていきたいともいます。
米子市は20万人くらいの地方都市。
そこで起業するリアルをお伝えできればと思います。
稼げるかどうかは値付け次第
『研ぎ屋は稼げるのか』
実店舗を開く前は自宅でもやっていたのである程度実感はあったのですが改めて色々と調べました。
普通に検索すれば「昔は良かったが今は稼げない」という声が多い印象。
実際にある研ぎ屋さんの価格設定を見て思ったことは「研ぎってこんなに価値が低いのか?」という疑問。
かつては研ぎ屋はスーパーの前に車を止めて作業している方も多く単価は数百円というものも多く見られました。実店舗を構える方もそこに引っ張られて「高い」と思われないようにか1000円程度の業者さんがほとんどでした。
でもそもそもニーズがあって、素人には難しいことをしているのに価格設定が低いんじゃないだろうかという事を感じていました。
また、研ぎを理解していれば先述の車でやっている研ぎは簡易な作業をしているので短時間で終わらせて数をこなしという意味なので、店舗型で行う研ぎと根本的に違うというのはやっている人であれば分かるはず(そもそも知識も技術も不十分な業者も多い)
もちろんそこをちゃんと知ってもらう努力は必要だけど、価格はもっと高くても良いのではないか。そう思って値付けしました。(適正価格にするという事です)
実際の価格は一般の三徳包丁で1980円(整形や厚み抜きなども行う)それに加えて切れ味だけを復活させるプチメンテナンス550円の価格設定でもお客様には納得してご依頼いただいています。
もちろん「高い」という方もいますが、その場合は「自分のお客様ではない」と割り切るようにしています。
お客様を切るのは覚悟がいりますがそうする事で現状は力半分で生活するのには十分な収益を上げられるようになりました。(自宅兼店舗というのも大きな要素です)
今後は新規客とリピーター客で売上はより安定してくると感じています。(春になって人も動きやすくなりますしね)
価格はまだ十分とは思っていませんので状況みて部分部分であげていこうかなとも考えています。
集客はインスタベタ流しでOK
タルイハモノ.では予算を決めて常時インスタ広告を流しています。
包丁研ぎは必要性という意味では後回しにされがちな要素(でもみんな包丁切れなくて困っている)常時流す事で思い出してもらえて来店へ繋がりやすくなります。
またリピートもしやすい業態でもありますが間隔が開きやすい事もあるので「そろそろかな...」と思ってもらうためにも流しています。
SNSも色々使ってみましたが反応が良いのは情報のザッピングに使われやすいインスタが1番反応が良かったです。
メディアの方にも認知してもらいやすいので取材にも繋がりました。ちなみに広告は動画を自作しています(元々動画制作をしていた事もあるのでお手のものです)
もちろん日常の投稿の情報発信もしますが適度に予算をかけて知ってもらうのも一つの方法だと思います。田舎ではそういう広告を使っている人も少ないので効果的です。
価値は変動する
包丁研ぎでは日々いろいろな包丁が持ち込まれます。
新品同然で何もする必要がない包丁(作業が必要がないと思えばその部分を説明してお断りすることもしばしば)からかなりボロボロな状態のものまで。
日本の包丁は高品質なのに価格が安いですから(僕はここはかなり問題意識を持っているところ)研いで中子を溶接して直して柄の交換をして...なんてしていると新品を買った方が安い事なんてザラです。三徳なども安い包丁も多いですから買い替えた方が経済的には正しい。(そういう方も実際にいます)
ですがそうはならない、費用を払っても直そうとするのはお客様が包丁にストーリーを付与しているから。
▶︎長年使っている愛用品
▶︎結婚や成人のお祝いに頂いたもの
▶︎ご両親や祖父母が使っていたもの
コストをかけてまで直す価値がある訳です。
ブランディングにはストーリーが必要とも言われますが似ているかも知れませんね。
道具に対しての価値の感じ方は多様ですが、メンテナンスして長く使うほど人は道具に愛着を持つものですからこれからお店をずっと続けているうちに、うちのお店の周りには包丁に愛着をもってくれる方がもっと増えると良いなぁと思いながら日々作業しております。
進化の余地はまだまだある
さて、本当は書きたいことはまだまだありますが今回はこの辺で終わりにしようと思います。
タルイハモノ.は物販はまだまだ十分ではないですし、現在自社商品の製造やECサイトの開設など事業としての進化する余地はまだまーだあると感じています。ここからさらに半年後1年後と違った世界を見ているかもと思うとわくわくでいっぱいです。
その時はまた記事にしてみようかと思いますのでお付き合い頂けると幸いです。
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