都知事選で圧勝した小池百合子都知事は何をなすべきか

昨日投開票された東京都知事選挙では、現職の小池百合子候補が再選されました[1]。

59.70%の得票率を記録し、第2位の宇都宮健児候補の得票率13.76%を45.94ポイント上回ったこと[1]が示すように、今回の小池候補は「選挙では再選に挑むときが最も強い」[2]という経験則を実践したと言えるでしょう。

得票数及び得票率の点で2016年の都知事選を上回って圧勝というにふさわしい結果を残し、与党都民ファーストの会に連携する公明党を合わせて都議会の過半数を制している小池都知事は、強固な基盤の上に立って都政に臨めるように思われます。

しかし、実際には新型コロナウイルス感染症対策として財政調整基金を取り崩したことで、当初9000億円以上あった基金の2020年度の残高が807億円になると予想される[4]など、東京都を取り巻く環境は決して楽観視できるものではありません。

これに加えて、新型コロナウイルス感染症対策や東京オリンピック・パラリンピックといった当面の課題だけでなく、東京都が抱える構造的な問題も十分な対応が不可欠となります。

すなわち、京都への人口の「一極集中」が都心部への人口の集中となっていること、少子化と高齢化の進展、道路、橋梁、上下水道や各種の公共施設などの都市の基盤の経年劣化に対応した更新、さらに首都直下地震や台風などへの対策[5]などは、今後の東京都のあり方そのものを左右する、決して避けて通ることのできない課題です。

もちろん、4年にわたって都知事を務めた小池氏は、これらの問題を熟知し、相応の解決策を持ち合わせていることでしょう。

一方で、選挙期間中、選挙公報や政見放送などではもっぱら新型コロナウイルス感染症への対策や東京オリンピック・パラリンピックを取り上げ、構造的な問題に積極的に取り組む姿勢を見せなかったことは、解決への意欲を疑わせるには十分と言えます。

それだけに、2期目を迎える小池都知事は言葉を飾ることなく、事態を直視して最善の解決策を用いることで、有権者の負託に応えなければならないのです。

[1]東京都知事選挙 候補者別得票数(全候補). 東京都選挙管理委員会, 2020年7月6日, http://sokuho.r2tochijisen.metro.tokyo.jp/sokuho/r02chi_kai_033.pdf (2020年7月6日閲覧).
[2]コロナの収束へ都知事の責務は重大だ. 日本経済新聞, 2020年7月6日朝刊2面.
[3]東京都知事選挙 候補者別得票数(全候補). 東京都選挙管理委員会, 2016年8月1日, https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/h28tochiji_kaihyo_kouhoshatokuhyo.pdf (2020年7月6日閲覧).
[4]都 第2波の備え焦点. 日本経済新聞, 2020年7月6日朝刊3面.
[5]鈴村裕輔, 「東京都知事選の告示」に寄せて--候補者たちは何を行うべきか. 2020年6月18日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/10997cf4270a765d2f88a5394b24766b?frame_id=435622 (2020年7月5日閲覧).

<Executive Summary>
Will Governor Yuriko Koike Do Her Best Efforts and Performances for the Citizens of Tokyo? (Yusuke Suzumura)

On 5th July 2020 Ms. Yuriko Koike won the Tokyo Governor Election 2020 and will enter the second term. In this occasion Tokyo Governor Koike has to struggle with structural issues of Tokyo.

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