「ロシアによるウクライナ侵攻から6か月」に際し改めてわれわれがなすべきことを考える

昨日、ロシアがウクライナに侵攻を開始してから6か月が経過しました。

当初は短期で終結すると思われた今回の侵攻は、ロシアの企図に反する形で長期化の様相を呈していると言えるでしょう。

こうした状況の背景には、ウクライナ側の抗戦や欧米各国や日本などによる物心両面での支援などにより戦線が膠着するという側面とともに、米国が「世界の警察官」の座から降りることで国際秩序に空白が生じ、国際社会がロシアに対して一致して対応できず、局面の打開のための方法が限られているという理由があります。

その意味で、今回のロシアによるウクライナ侵攻は、安全保障に関する国際秩序の動揺と限界を示してます[1]。

一方、依然として現在の国際社会の最大の懸案事項の一つであり、日本国内においても原料高など、日常生活に具体的な影響が生じているとはいえ、「ウクライナ問題」が継続する中で様々な出来事が起き、結果として問題に対する関心が相対的に低下しているという点も否めません。

ロシアによる侵攻が起きた直後は活発であった募金活動も、現在では以前に比べて件数も金額も減少しているという報道[2]などは、日本国内の関心の度合いが事態の長期化に伴って低下している典型的な事例と言えるでしょう。

もちろん、現在の状況に即せば、「ウクライナ問題」に高い関心を持ち続けるとしても事態が直ちに解消されることは容易ではありません。また、国際社会においてわれわれが強く関心を持つべき課題は「ウクライナ問題」のみではないという点も否みがたいところです。

しかし、人々が「ウクライナ問題」への注意と関心を薄れさせることは日本政府に事態に積極的に関与しようとする意欲を失わせ、ある種の傍観的な態度を取らせることになりかねません。

こうした点からも、たとえささやかであり続けるとしても、われわれにとって、絶えず「ウクライナ問題」に注意を払い、その推移に注目することが重要なのです。

[1]枠組みなきアジアの不穏. 日本経済新聞, 2022年8月25日朝刊1面.
[2]ウクライナ侵攻半年 寄付件数が当初の1%以下に 支援団体の一覧. NHK, 2022年8月24日, https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220824b.html (2022年8月25日閲覧).

<Executive Summary>
What Is an Important Attitude for Us against the "Ukraine Issue"? (Yusuke Suzumura)

Six months have passed since Russia starts to invade Ukraine which occurred on 24th February 2022. On this occasion we examine an important attitude for us against the "Ukraine Issue".

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