見出し画像

自分の感情や行動が既に誰かにハッキングされているかも??

相手の行動を思い通りに操ることができたら…、相手の感情を思いのままに支配できたら…。誰もが一度はそんなことに憧れたことはないでしょうか?(私は漠然とこのように思うことがよくあります。)今回はそれがドラえもんの道具や特殊能力を使わなくても、実現でき、かつそれが悪用されていたのではないか?というお話です。

2021年 読書記録第6冊目、マインドハッキング―あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア―です。本屋でこの衝撃なサブタイトルを見て、思わず手に取ってしまいました。

ケンブリッジアナリティカという会社がイギリスがEUの離脱を決めたブレクジットの国民投票やトランプが当選することになるアメリカ大統領選挙で、Facebookのデータを活用しながら、心理戦を仕掛けていたことを内部告発した筆者の事実に基づく、ドキュメンタリー作品です。

新しいプロパガンダの誕生

ブレクジットの国民投票とアメリカ大統領選挙は、あまり自分の実生活への影響はほとんどないのですが、何か世界で大きなことが変わってしまったのではないか…となんとなく感じていました。その時代のうねりを裏で導いていた人(組織)がいた…、それは衝撃で言葉になりません。

ケンブリッジ・アナリティカが使った手法は別に新しいものではなく、かつて大昔の時代から戦争で利用されてきた心理戦ををうまく今の時代に合わせて、SNS上で展開をするというものです。

「先入観や思い込みで物事を見てしまう」「怒りに火をつけられると、合理的な判断能力を失う」「取り出しやすい情報に頼り、現実よりも頻度や確率を高く見積もってしまう」など、人間はいくつもの特性を持っており、それをうまく利用する形で、SNSから取得したデータを使いながら、ターゲットの人を攻撃していきます(=マイクロターゲティング)。

今私が考えていることや発信していること自体も、誰かに既に操作されてしまっているかもしれません。勿論、今までもマスメディアの影響などは多分に受けているので、それと変わらないといえば、変わらないのかもしれないのですが…。

どの時代でもなぜこのようにして、人を誘導しようとする人が出てくるのでしょうか?彼らはお金をもらえるなどの個人的な権利がほしいからなのか、むしろ彼らの信じる理想の世界を実現したいという純粋な思いに端を発しているのではないだろうか?私は後者があまりにも強烈であることがこのようなプロパガンダを生まれる要因ではないかと思っています。。

企業と個人のリテラシーの向上の必要性

私たちは、SNSの利用開始時に何気なく、個人情報管理に関する注意事項(ほとんどの人が目を通さない)を承認しています。その承認をした瞬間から、既に私たちの大切な情報がその会社からさらに第三者まで拡散され、その情報を活用すれば、個人を特定することもできてしまう。本書の中でも、Facebookから取得したデータや他データを掛けわせて、出来上がったプロファイリングを元に、見ず知らずの人に電話をして、その人の好きなことや前回の選挙での投票政党などを言い当てるシーンが出てきますが、完全に個人を特定できるレベルまで到達してしまっています。

なら、単純にSNSを利用するのを止めればよいのでは?と思うかもしれませんが、SNS側もその情報を活用して、特定個人のニーズに合ったサービスをカスタマイズして提案をしたりと、情報の提供によりとてつもなく利便性が上がる。かつ、SNSがありとあらゆる人に浸透をして、SNSを使わないと生活できない(友人などと連絡をとることができない等)状態のレベルまで私たちの生活に入り込んできてしまっています。そのような状況で利用を止めることはなかなか難しい。

企業側も単純なお金稼ぎのみに走るのではなく、倫理感を持ってどこまでの範囲であれば、個人の特定をしてもよいか?などの判断基準を持つことや、私たち個人も情報を提供することによって得られるメリット(企業側もきちんと発信する必要あり)と比較しながら、きちんと情報提供する範囲を定めていくことがこれからの世界で求められていることだなと痛感しました。

読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?