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歌が上手いと言われなくなった。

厳密に言えば、歌が上手いと言われることが減った。

今まで、アイドルとして活動をしていたときも、そのあとシンガーソングライターになって歌い始めた時も、ライブが終わったあとにいただく言葉は「歌が上手いよね」が1番多かった。

もちろん「歌が上手い」と言ってもらえることはすごく嬉しかったし、自分には歌があるんだ!と思って自信にも繋がった。だけど、だんだんと、そうじゃない、そうじゃないんだよと、モヤモヤとするようになっている自分が居た。音程が合ってるとか、裏声が出るとか、高音が綺麗だとか、そういう部分じゃなくて、もっと奥の奥を見せたかった。表現したかった。たくさんの人のライブに触れ、歌が上手い以上のものを爆発的に魅せてくる人達に触れ、もっともっと、自分も、歌が上手い以上のものを.…と求めた。
(もちろん表現も含め、歌が上手いと言っていただいていることも分かっているし、歌が上手いと言っていただくこともめちゃくちゃ嬉しいです、それだけは言っておく。)

そこで、自分がどうして歌っているのか、歌うことで何を伝えたいのか、何を表現したいのか、そんなことを考えるようになった。そうやって歌うようになった。どう見せれば、どう魅せれば、伝わるのか、以前よりも考えるようになった。奥の奥をもっと曝け出すようになった。



"蔑ろにされがちなネガティブな感情も大切にしたい"
"ちゃんと生きれなくてもいいよと伝えたい"

が根底にあった私の音楽。
自分の弱さや苦しさや悲しさっていう感情たちや、うまく生きれない自分のことを、無いモノにしたくなかった。ちゃんと見てあげたかったし、ちゃんと向き合いたかった。最初はそんな風に自分の感情と向き合うために作っていた曲たち。

そんな私の曲たちが、いつのまにか誰かの心に響いていた。曝け出した心が誰かに届いていた。「歌が上手い」以外の言葉をいただくことが増えた。

"気持ちを代弁してくれているよね"
"精神的にパンクだよね"
"人に頑張れって言うだけじゃなくて自分のことも励ましてる感じが好き"
"押し付けるんじゃなくてそれでもいいんだよって言ってくれてるから優しい"

人から言ってもらった言葉たち。
(ありがとう、大切にしています。)

すごくすごく嬉しかった。

特に最近は"かっこいい"と言われることが増えた。前よりオーラがでたよねと言われることが増えた。歌いたいことをただ叫んでいた今までじゃ、考えられない言葉だった。


そして、ここ最近の話。
先日のライブで言ってもらったことが自分でも意識していなかったことに気付かせてくれた。

"ゆっそさんは女として戦ってる"

音楽界隈も意外と男社会という中、男に迎合することなく、女として戦ってる、そこがかっこいいんだと、根底は弱いけど強くあろうと戦ってるのがかっこいいんだと、伝えてくれた。

男も女も関係ないと言いたいところだけれど、やっぱり色んな面で圧倒的に差がある。もちろん女が強い面もたくさんあるけれど、負けてしまうことの方が多い。その中で、確かに私は戦っていたのかもしれない。「女やからって舐めてんちゃうぞ」という曲を書いた時から、立ち向かっていたのかもしれない。そんなことに気付かされた。

伝えてくれてありがとう。
最近はこんな風に女の子からお言葉をいただくことが増えた。「女やからって舐めてんちゃうぞ」は女の子に届いて欲しいと書いた曲だからすごく嬉しい。

昔から憧れていた、強い女、強くあろうとする女に、少しは近付けているんだろうか。そんな姿で、歌えているんだろうか。

そうだったらいいな。
少しだけ、自信がついた、そんな出来事でした。

ありがとう。

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