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『大地の芸術祭の里 越後妻有2018 冬 SNOWART』を観た(2018/3/3)

豪雪地帯新潟に、雪花火観たさで行ってみた。そして豪雪地の魅力をアートで引き出す芸術祭。

日帰りかつ広範囲かつ雪道慣れしていないかつ公共交通機関で行けない場所がある、そして4時には雪花火会場へ向かいたいという事もあり、観賞するのはまつだい郷土資料館・奴奈川キャンパス・キナーレに絞ってそれぞれまったり観賞する事にした。

まず最初の目的地まつだい駅を降りると、道を囲い込む2m近い積雪。自分の身長よりも高く積もった雪を見たのなんて生まれて初めてだったから、流石に驚いたよ。駅からの通路も凍結有なので要注意。

駅を降りてすぐにあるまつだい郷土資料館は、元々別の場所にあった昔の豪農の家屋を移築させた建物。
ここで展示されていた田中望さんの『ものがたりをつむぐーゆきにひらかれるみちー』は、この資料館に相応しい郷土の歴史を感じさせるような行燈と機織りで紡がれたかのような絵巻物が吊るされていて、躍動感とお伽噺の世界に入り込んだかのようなワクワク感があった。

擬人化した兎が可愛らしい。

囲炉裏のある部屋では兎の折り紙教室も開かれていてほのぼのとしていた。

奴奈川キャンパスへはまつだい駅から無料送迎バスを使って移動。ネットで調べたら要予約で時間が合わなそうだったので行くのは諦めようと思っていたけれど、まつだい郷土資料館の方から違う時間にも出ているし予約していなくても空いていれば乗れると聞いて行ってきた。現地の人との会話の重要性を痛感。ありがたや…。

約10分で到着。庭ではそり祭の準備中。

↓巨大眼鏡もインパクト大。

建物入口では学生さんが終始何かの作業をしていて、エントランスの壁一面には森のような彫刻がびっしり。温もりがあってとても安らぎを感じる色合い。

建物2階では日本大学芸術学部の学生さんの展示。

↓グーグルアースの画像を実際その土地にある土砂で再現した棚田。壁沿いの棚には使用した土砂が綺麗に置かれていた。

↓『おぼろげな記憶』
黒板の文字が遠くからみている方がぼんやり見えるけれど近づくと余計に見えなくなるのが不思議だった。磨りガラス越しに理科の実験道具、ランドセル等個人の棚だったと思われる棚には土器や標本。真っ白く優しい光を感じる教室は、そのまま記憶の保管庫のようだった。

旧小学校校舎という事もあってなのか、全体的に郷愁にかられる作品が多かった。異質な空間なようで見覚えのある空間。ゆりかごのような優しさ。
ここの周辺の方々、奴奈川キャンパスの近くで明日開催される祭の準備をしていて気になって見ていたら声をかけてくださって祭で燃やす藁の塔みたいなものを近くで見せてくださったり、色々声をかけてくださる方が多くてとても親切だった。

午後からはまつだい駅から十日町駅へ移動し、芸術祭の拠点という位置付けでもある越後妻有里山現代美術館[キナーレ]へ。

美術館といったらカフェが併設されているのは定番だけれど、温泉施設が併設されているのは反則だと思う。通っちゃうじゃん。流石は日本三大薬湯、松之山温泉の地。

キナーレでは雪あそび博覧会という事で雪板で滑ったり、かまくらdeモグラTV、デジタル雪合戦等体感型のものや『赤と白』という雪の上にタイから持ち込んだ真っ赤なふわふわしたシートをさげた展示等、豪雪地ならではのアート作品があった。

↓『赤と白』

↓この中にモグラがいて話しかけている人が沢山いたけれど、私には行く勇気はなかった。

↓こたつカーサーキットに関しては、森見登美彦ファンは多分あれを実写化するとこうなるんだな…と思った事でしょう。

常設展示も立体造形や空間を使ったものが多く展示されていた。

↓このサンドアートは新潟の各地域の砂を採集したもの。グラデーションが綺麗だけれど海沿いの地域や山で色が違う。山の地域なのに海沿いの地域と同じ場所もあって地表の歴史を感じる。

↓キナーレ隣の道の駅に飾られていた吊し雛も綺麗だった。下から観ていると万華鏡のよう。

そして一番楽しみにしていた雪花火会場へ。十日町駅発の無料送迎バスに揺られて約30分。

会場には突如として音楽フェス感のある空間が。やっぱり新潟はフジロックがあるからこの辺りのお祭りではこういうノリが通常仕様なんだろうか。

普段はゴルフ場の一番ホール(らしい)一面を大々的に使ったアート作品『光の花畑』は、来場者全員に光の種という小さなライトが配られて、それぞれ思い思いの場所に蒔かれた結果こんな風景になった。

日没までの光景が本当に美しかった…。

そして雪花火。花火自体の時間は10分程度だったのに、あんなにも濃密で感動的な花火は初めてだった。地元で観てきた花火って一体なんだったの。花火って、思い出補正とか特別な気持ちを持ち併せていなくともこんなにもメンターテイメントかつドラマチックなものとして成り立たせる事が出来るんだな。完全に一つのショー。BGMの力もあるんだろうけれども、やっぱりプロデューサーが付いているって違うね。まさに芸術。


この芸術祭には『都会ではできないアート』というコンセプトもあるみたいで、十日町は駅前の商店街は寂れた雰囲気があるけれど木造の古い建物が沢山残っていたり、芸術祭のエリアは案内看板は全て黄・白・黒のデザインで統一していて、都会的なものを目指さずちゃんと里山の風景・歴史を考えたシンプルかつ大胆なアートの取り込み方だったから街全体の風景がカッコ良く見えた。

SNOWART開催期間中であり雪花火当日だから結構な人混みになっているのかな~と覚悟していたけれど、そこまで人はいなくて人混みが苦手な身としてはとても快適に過ごせて良かった。地方で行われる芸術祭って他の地域でも基本的にそんな感じでリラックスして観られるものなのかな。日頃のストレスをリセットできた気がした。

同じ越後妻有で夏に開催される大地の芸術祭にも予定が合えば行きたい。

会場:越後妻有里山現代美術館キナーレ・光の館・まつだい郷土資料館・奴奈川キャンパス・森の学校キョロロ・あてま高原リゾートベルナティオ
期間:2018年2月24日~3月11日
越後妻有2018冬 共通チケット:2,000円
※基本的に写真撮影可

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