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食レポ|青源 パセオ店

 宇都宮に着いた。駅を練り歩いた。目当ての店を見つけた。二十分近く並んだ。「青源 パセオ店」。僕の餃子ジャーニーがここから始まる。

 前に並んでいた客が最後のライスを注文した。スタッフから事前に予告されてはいたが、さざ波のような動揺が内に広がる。腹にぽっかりと空いた空白地帯。そこを思い描いていたようには埋められない。しかし、僕は代名詞でもある「青源のネギ味噌餃子」を二人前注文した。

 ネギ。ネギ。そして、ネギ。青々とした小ネギがふんだんに盛られている。その隙間からきつね色の餃子が顔をのぞかせる。ネギとともに口へと運び、その食感を楽しむ。濃厚な特製味噌だれ。それは果てしない、うまみの広がりを口内にもたらす。

 急いでいたわけではない。もっと時間をかけたかった。しかし、夕食は五分で終わった。空いた二つの黒い皿。それらをテーブルに置き、僕は宇都宮の夜へと消える。


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