書評 #13|下町ロケット ヤタガラス
仕事の意義。誰のために。何のために。『下町ロケット ヤタガラス』は読者にそれを語り続ける。この後の文中では作品の核心や結末が示唆されているため、気になる読者は読むのを避けてもらいたい。
作品の軸として据えられた大企業と中小企業の対立。巧みなプロモーションにより、流れは終始中小企業側に傾く。しかし、その背景には過去に対する復讐がある。言い換えれば、復讐は自分のため。世のため、人のためを標榜する佃製作所の理念とは真逆だ。芯の脆弱な仕事は崩壊に至り、終盤の大逆転劇へと帰結する