今だってずっと迷子

しばらく間が空いてしまった。思うことが多くて、でもまとまらなくて下書きばかりが増えてしまっていた今日この頃である。

さて。

私は過去に、「人生は流れるプール」というような趣旨の詩を書いたことがある。(そのうち気が向いたら過去の詩も書いて気持ちを成仏させたいなと思っている)
確か就活をしていた頃に書いた詩だ。先の見えない苦しさと、今がこうなのはその時その時の偶然の結果だというようなことを言いたかった。誰もが何かの目標のもとに地に足をつけて道を選んでいるのだという風潮に物申したくて、あたかもその会社を志望するのが必然だったかのようなストーリーをでっち上げなければならない就活にクソくらえと叫びたくて、でも同時に職を得るためにその流れに乗らねばならない自分をひどく呪ったのだった。
今でも、過去の自分に共感を持ってその詩を読める。私には目標なんてないし、やりたい仕事もなりたい姿もない。ただ日々を生きて、時折楽しめて、私から近い人々が幸せになれるように少し役に立てればいいと思っている。

つい最近まで、目標ややりたい仕事やなりたい姿が思い描けない自分は、駄目なやつなんだと思っていた。同僚たちは、専門職を目指していたり、明確な夢や目標があって何かを追求していたり、なりたくてその職についた人たちで、常に何かを見据えて行動していて、それがすごく眩しくて羨ましくて、なんで自分はそんなふうに目標を持って頑張れないんだろう、などと思っていたりした。
実際、私のこれまでのキャリアにはぱっと見た感じ一貫性がなくて、自分の性格を考えてみても一つのことにのめり込めるのは長くて3年くらいがいいところの飽き性だ。向いている仕事もわからないし、情熱は続かない。ただその時その時はわりと全力疾走するタイプである。
今の職についたばかりのときに、同じチームになった職員に「あなたは何がしたいのかわからないね」と笑われた。その時はモヤモヤするも反論できず、愛想笑いしかでなかった。まぁ、文系で大学院に行って、でも研究職や教職は目指さず、東京でSEになって、Iターンして、大学職員になっているから、一つの何かになりたくてずっと目指してきてそうなった人たちからすれば、意味がわからないかもしれない。大学院も前職もなんのためにそこに行っていたのかと、後から見ればそう意味を問われるのもわからなくもない。だが、その時は私にはそれしか選べなかったし、理解し難くともそれぞれそれなりの理由があったし、目標を持って道を選べることはすごいけれど、自分にはそれができなかったというだけのことだった。

しかしまぁ、今はそれも少し肯定的に思えるようになってきている。今なら同じことを言われても平気だろうと思う。
そう思えるようになってきた理由の一つは、あるすごい人の講演を聞いて、その人もはじめからそこを目指していたわけではなくその時その時を頑張ってきたらそこにいた、というのを知ったこと。いわばロールモデルを見つけられたみたいなものかと思う。こんなすごい人もそうなのかと思えて、安心した。
それから、たまたまあるキャリア教育に関する研究報告書を読んだときに、山登り型と筏型の話が載っていたこと。これは結構大きかった。
キャリアには明確な目標に向かっていく山登り型と、川を下る筏のように、今とほんの少し先だけ見てその時その時をうまく進んでいく筏型があるという。私は山登りが世のスタンダードでそれ以外は駄目だと思いこんでいたのだが(就活のやりたいことは何かという質問のせいでそう思い込まされていたのかもしれないが)、筏型という言葉を与えられて、それも一つの在り方なんだと認められた気がして、それでもいいんだとようやく思えた。
私は完全に筏型である。常にどうとでもなれるようになっておきたい。方向転換することは厭わない。今任され期待されたことを全力でやることで貢献したい。やることはなんだっていい。自分が興味を持てればなおいい。
ドラクエなどでも、ステ振りでどこかに特化して強化するのはそういえば自分はあまりなじまなかった。なんとなく万遍なく強化していく方だった。
私は私がその時興味を持った方向へいって精一杯頑張るというのが自分のやり方なんだとようやく分かってきた。
だから、思えば、異動希望部署の調書も、いつも全然上手くかけないのだ。ほんと、正直どこでもいいし、いいように使って、と思うから。

もし、夢も希望も目標も持てないと、やりたい事もなりたい姿もないと、かつての私のように悩む人がいたら、それで別にいいんだと言ってあげたい。
今の私もそうなのだ。大人になったらいろいろと明確になって全部スッキリしているはずと思っていたけど、そんなことはない。今も、ずっと、目標はないし、やりたいことはないし、キャリアは迷子である。そんな人でもそこそこ組織に貢献できていると思うから、楽しく生きているから、大丈夫なんだ、それで。

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