Yushi Osawa

Patissier.Pastry chef. Tokyo,Paris,Seattle,…

Yushi Osawa

Patissier.Pastry chef. Tokyo,Paris,Seattle,Okazaki,Karuizawa. 菓子を通して世界を見る

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芸術家とは

色んなものをクリエイトして行く中でたまに「アーティストだね」と言われる事がある。 それは個人的に全くと言っていいほど的を得ていない。 自分の作品には全てルーツがあり、基本がある。 そこからアイデアを組み合わせて一つにする。 それは今まで繰り返してきた反復練習の成果のみであって、湧き起こる情熱を形にしたわけでも感情に身を任せて身体が勝手に動くわけでもググって調べたものでもない。 更にいうと、普段会社の一部として働く人間が個人的結果を求めるために工芸菓子のコンペティションに

    • 目に見える格差

      将来何をしたらいいですかねの問いに 何がしたいの? 何になりたい? 常套句のように繰り返される件だが、歳も重ねてきたので若い子に聞かれた時に思う事がある。 新しく何かを始めるのに早いも遅いもない。 幾つになっても挑戦するのが素晴らしい的な思想 これは本当なのかな。と深掘りしてみる。 20年、30年勤めた会社を退職し、新たな仕事をする事を脱サラとか言う。 脱サラリーマンとはもはや若くない素人という意味で希望的な要素は無く、むしろ軽くdisってる様にすら感じなくはないか?

      • 中身が外人

        年の瀬で年越し蕎麦を食べる人も多いだろう。 ここ長野では多くの蕎麦店が多く、蕎麦好きには堪らないが色んな種類の蕎麦屋がある。 直球で言うとイマイチな店も多い。 個人的な感想に留まるのかもしれないが、その良し悪しが分かりにくいのが蕎麦の長所であり短所でもある気がする。 老舗風で、風情が有ればそれで良いのかという懐疑的印象は拭えない。 勿論美味しい店は多くある。蕎麦粉、茹で方、切り方、出汁、特色はしっかり出せて個性を感じる所がとても好きだ。 少し冒険しても個性を出せる想い

        • 史実というか、伝記②

          そして一行は徐々に生気を取り戻し、祖母は捕虜として食料係に従事し、祖父も軍の内部で働いた。子供達も皆んな無事だった。 いわば普通の生活が出来ていた。 その時日本の劣勢を知らされる。 祖母は 「こんな事なら皆んな。。」 そして少しの時を経て敗北する。 日本は敗戦国となり捕虜は解放されその後GHQの支配下に置かれる。家族や親族は八丈島へ戻される事になった。 いや、戻されるというより両祖父母は八丈島へ戻ってきた。 その当時、果ての楽園と呼ばれ、行けば幸せになれると言われてい

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        芸術家とは

          史実というか、伝記①

          ロシアがウクライナへの侵攻を始め、第三次世界大戦への危惧が高まっている今日。 忘れられない話がある。 俺は伊豆諸島八丈島で18歳まで育った。 両親、兄、祖母と共に。 今は違うが小さい頃は割と内気な少年だったように思う。 おばあちゃんも賑やかなのはいささか苦手で夜に自宅で度々行われる宴会にもあまり参加していなかった。 とても可愛がって貰った記憶があり、温もりは未だに感じられる。 自分が19歳の頃、齢90を超えたおばあちゃんはこの世を去り、悲痛な面持ちで居ると父が一冊の本を

          史実というか、伝記①

          餅とピノキオ

          三国志が好きなので画餅に帰すという言葉の意味が暫く分からなかった。 絵に描いた餅と現実を比較して何となく感じる焦燥感はたまらない。少なからずあったものが報われないからだ。 全ての事柄をそう考えるのはとてもハードだ。 だが良い事、楽しい事、幸せな事があっても確証が無いと何も感じられないものもある。 絵に描くほど餅は伸びないし、美味しくも無いっていうのが絶妙な現実との比喩表現だ。 ただ人によっては餅は永遠に伸びるらしい。 ついでにピノキオの鼻も伸びるんだろうな。 日本人らし

          餅とピノキオ

          やりたい事

          会社が長期休業中の中で色んな本を読んだり絵を描いてみたり何か刺激になるものを探している。 ある本達に経営者が綴る言葉が 「やりたいことを仕事にするな」 というのを散見する。  とても気分が悪く、勘違いするなと言いたい。 人様からお金を頂くのにやりたく無いことで貰えると思うなと。 少なくとも俺はそんな事言う人が経営してるとこには行きたく無い。 だって愛がないから。 業種の違いで意見はあるだろうし、生きていく、家族と共にの手段と言う選択肢も勿論理解出来る。 他の業界は分か

          やりたい事

          鳩の心境

          鳩を飼おうなんて人はそうそう居ないし、飼われてる鳩なんかなかなかお目にかかれない。 相互需要がないからだけど、意外と人間社会にも通ずるものがある。 羽ばたきたい鳥を囲っておくと当然鳥のストレスが溜まる。その時にどこまで大きい鳥籠を準備出来るか。 理想は鳥自身が鳥籠の中にいる事感じさせない環境、鳥籠から出しても勝手に戻ってくる環境。 でも鳥が人で鳥籠が会社ならそれ程難しい話は無い。 羽ばたける翼は使わないと使い物にならなくなる。 色んな企業の社長達に話を聞く機会があり経

          鳩の心境

          国旗を背負った日

          そんなことした日も無ければ考えた事もないんだがオリンピックもはじまって最近賑やかしがちな差別問題。 ちょっと前にフランス代表の著名なサッカー選手2人の動画が出回って今回の騒動になっている。 日本人が揶揄されたからだ。 フランスに住んでた身からすれば大した事言ってないし、よくある光景。でも見方を変えると差別。 それはその通りで差別は横行してるし悪気もまるでないはず。 ポイントはその発言を発する事と、そこに差別的な深い意味を持たない事が多い事。 要するにコミュニケーションと

          国旗を背負った日

          挫折と閉塞から見えるもの

          意気揚々と開けたパティスリーだったが僅か1年と3カ月で業績不振と共にあと数日で閉まる事になった。 原因はなんだろう。 品質、接客、立地、販促など色んな経営者さんからのご指摘や介入を経ても改善に至らずこういう結果になったのは紛れもない自分の責任があると思う。 ただ自分のベストは尽くしたと思うし、やれる限界の事はした。時に限界を超えて倒れてしまった事もあり、これは何の為に仕事するのか、幸せとは何なのかという壮大なテーマを病院のベッドで考えた事もあった。 1つ大きいと感じた

          挫折と閉塞から見えるもの

          ディエゴの話

          マラドーナが死んだ。 ニュースを見る前にインスタがマラドーナでいっぱいになった事で何か嫌な予感がした。 幼心の時に見た稀有な左脚。 頑なまでに左足のみでプレーする美学。 強靭な肉体。 VHS越しでも心に響いてみんなが真似した。 ファウルでしか止められないから危険なファウルを裁く審判の基準にもなった選手。 80年代後半が全盛期だから、ちょっと自分が観てた時とはズレてる。W杯も86年はマラドーナの大会と呼ばれ制覇してる。 90年のイタリア大会では準優勝だったけどブラジル戦での

          ディエゴの話

          桃との対話

          こんなに愛されてこんなに厄介者はいない。 桃はどう調理したら美味しいかとよく聞かれるけど決まってそのまま食べた方が良いと答える。 言い方を変えるとそれくらい厄介者だ。 良さはその繊細な香りと糖度とジューシーな果肉。 その反面皮を剥くとすぐに変色してしまうデリケートな果物。 缶詰を食べた事のある人は分かると思うけど美味しいけどやはり別物。ジューシーな果肉の食感は失せてしまう。 個人的にはムースにするのもクリームにするのもあまり好まない。 繊細すぎて桃の良さは出せないと思

          桃との対話

          Dear mama

          母の日でお客様のお母様へ送るケーキはもうずっと作っているものの当のマザーにはこのタイミングで会える事がない。  2pacも言ってたがあと何度Dear mama と言えるかと回数にするとゾッとする。 コロナ禍で先は読めないが、夏には帰ろう。

          3月/2日コロナウィルス 各国にみる就業性

          日本 社員「いやー怖いなぁ。 でも上が決断しないと休めないよね。 何かあったら上の責任だよね!」 アメリカ 企業「国や州の判断よりまず社員の安全を図る為に休もう」 フランス オレ「危険だから休もう」

          3月/2日コロナウィルス 各国にみる就業性

          日本人初のミシュラン三ツ星と、10年前に自分がパリで頑張れた理由

          センセーショナルだ。 何故なら言うまでもなく本国の伝統をよそ者が最高評価を受けたという事。 フランスは多民族で隣接した国や、植民地などの多様化した文化の中で大きくなった国。 それでもここ数十年は日本人は星は取るものの、三ツ星は居なかった。 「きっとそれは出来ないのかな?」 あくまで自分の意見をだが、日本人勢が今まで少なからず海外でのコンクールなどの評価に疑問符が打たれることもあったからだ。 覆った事で素晴らしい評価が実証された訳だ。 2008年に

          日本人初のミシュラン三ツ星と、10年前に自分がパリで頑張れた理由

          職人におけるサイキックインカム

          およそ10年ぶりに日本の企業で働く事になり、なんだか昔聞いた言葉を思い出した。 サイキックインカムとは簡単に言うと金銭的収入以外の自己収入。 んなもんねーよが一般的と見せて、心の中にはサイキックインカムが占める割合の人はかなり多いと思ってる。 目標とかやりがいとかにすると聞き心地いいけど、アホっぽいって聞いちゃう若い耳がある。 そう思う人はそれでも良い。 それは感じれないだけだと思うから。 ただキャリアを通して自分の過去を否定するのは心理的に困難だと思う。 だから

          職人におけるサイキックインカム