秘する女神_表紙

秘する鏡

松尾友雪
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秘する鏡 

 秘する鏡、満ちる如月に、浮かびながら削る、
 破戒は合い絡む髪の毛を巻き込める生身の吹雪で差し伸べて、
 視点の傀儡を唆し、淡い交わりが、溶鉱炉と化し、
 膨張を溶かした泣き声を、赤い化粧に焦がしてしまう。

 潜む鋏、煙る頂を、誘いながら芽吹くなら、
 肌着を甘噛み、あられもない現われに一滴の憐れみも無く、
 眉間と谷間は、洗い浚い甘い恥じらいの腸の様に、
 私が、私に神妙に晒されて、開かした体を転がしている。

 雫の底に沈む氷肌(ひょうき)は、嫋やかに陰毛を泳がして、
 表裏は恍惚と凹凸の、両極を脱ぎ捨てながら、
 虚ろな眼(まなこ)が唐突に饒舌な狂気を汲みあげ、

 緻密な痛みの沈魚落雁(ちんぎょらくがん)が凜と拡散する、
 しんっと、錯乱の幕間に、クスクスと口癖を上書きし、
 満ちる女神が散る花火の導きをバラバラに降らすだろう。

〈秘する女神のコラージュより〉
〈作/作曲/朗読 松尾友雪〉

〈表紙デザイン 連使〉

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