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松尾友雪〈Yusetsu Matsuo〉
2020年11月28日 12:34
月は僕らを隠している震えるリンゴの発芽から、狂えるヒントの悪魔から、めくるめく謎々の嵐から守っている。ママが死んだらどうしよう?不安が夜を眠れなくさせるから、不断な蝶がはばたき続けるから、月は僕らを隠している。目覚める前に何もかも終わっていたら、僕に生きる価値などあるのだろうか?月よ、問題を奪い去らないで、僕らを恐怖に突き落としてくれ。
2020年11月27日 20:12
微塵の様な薄情が訝しげに悪党を歌う。百頭の豚、臆病な虎、水槽の中の膵臓、下水道を馬が駆け抜けて行く。僕はこんなにも悪党だ。卑怯な花を冷凍保存。恥ずかしいほど脆弱で、裏返して裏返したコインは安くなる。見捨てておくれ、見捨てないでくれ今、手首を切り落とす花握る。〈稚拙な言葉で縛っておくれ〉月は三日月僕を裂く。細く、直ぐにでも崩れ落ち、脆く、限りなく未成熟な寄生虫の様な魂が
2020年11月15日 14:15
水溜りを踏む音がするつま先はフワフワ吸い込まれ何時かの影は滑り行く。雫とも沈むとも唄わないいずれは冷める熱だともこのワクワクを忘れた時のため、そのステップを記し、比類なき幻として描いてみよう気付かないから踊り出す笑みは秘密を打ち明ける風景と化して、幽霊溶かす無数の水滴を愛している
2020年11月3日 16:55
燃える水を飲み干して 焦げる気持ちを吐き出した 大海はザラザラと、沈黙を作り出し 魂が無情にもあぶくとなり果てる。 溶ける秘密を飲み込んで、 いびつな影を投げ、 今、日々の絶頂は終わる。 最早、私は真実に触れられない寂しさに溺れて、 「永遠はとても遠いものだった」、と独り云う。 何色も私ではなく、働き者は軽蔑している。 ああ、私と云う液体を甘くしないでくれ 御前の汗を浴びて