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「詩 その他」から分離して、詩のテクスト情報を掲載します。
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2020年11月の記事一覧

月は僕らを隠している

月は僕らを隠している

月は僕らを隠している
震えるリンゴの発芽から、
狂えるヒントの悪魔から、
めくるめく謎々の嵐から守っている。

ママが死んだらどうしよう?
不安が夜を眠れなくさせるから、
不断な蝶がはばたき続けるから、
月は僕らを隠している。

目覚める前に何もかも終わっていたら、
僕に生きる価値などあるのだろうか?
月よ、問題を奪い去らないで、
僕らを恐怖に突き落としてくれ。

悪党の叙情詩

悪党の叙情詩

微塵の様な薄情が
訝しげに悪党を歌う。
百頭の豚、臆病な虎、水槽の中の膵臓、
下水道を馬が駆け抜けて行く。

僕はこんなにも悪党だ。
卑怯な花を冷凍保存。恥ずかしいほど脆弱で、
裏返して裏返したコインは安くなる。
見捨てておくれ、見捨てないでくれ
今、手首を切り落とす花握る。

〈稚拙な言葉で縛っておくれ〉

月は三日月僕を裂く。
細く、直ぐにでも崩れ落ち、脆く、限りなく未成熟な
寄生虫の様な魂が

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水溜りを踏む

水溜りを踏む

水溜りを踏む音がする
つま先はフワフワ吸い込まれ
何時かの影は滑り行く。
雫とも沈むとも唄わない

いずれは冷める熱だとも
このワクワクを忘れた時のため、
そのステップを記し、
比類なき幻として描いてみよう

気付かないから踊り出す
笑みは秘密を打ち明ける
風景と化して、幽霊溶かす
無数の水滴を愛している

燃える水

燃える水

 燃える水を飲み干して
 焦げる気持ちを吐き出した
 大海はザラザラと、沈黙を作り出し
 魂が無情にもあぶくとなり果てる。
 溶ける秘密を飲み込んで、
 いびつな影を投げ、
 今、日々の絶頂は終わる。
 最早、私は真実に触れられない寂しさに溺れて、
 「永遠はとても遠いものだった」、と独り云う。
 何色も私ではなく、働き者は軽蔑している。
 ああ、私と云う液体を甘くしないでくれ
 御前の汗を浴びて

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