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すぐに結果を求める社会に大人から気づく、離れる


水泳に限らないと思うけど、スポーツの上達にはすごく時間がかかります。
1度習うとそれなりに動けるようになったり、コツを掴むことはできます。

ですが、それが体に完璧に染み付いて試合で結果として現れるレベルになるには短くても数ヶ月、数年という歳月が必要になります。


うちの水泳個別レッスンは1時間が基本。
長くて2時間程度です。

選手も保護者も意欲が高いが故(と信じてる?)
その中であれもこれも教えてほしいとリクエストしてくださいます。
1回きりのレッスンで劇的に上達すると期待されることもあります。

でも、現実をお伝えすると

1つのことを「試合で使える」ってレベルにするには徹底的に1ヶ月は取り組む必要があります。


スポーツの上達に欠かせないマインドセットは


「人生においてすぐに結果を求めることを辞める」

ということです。



凄まじい速度の変化

子どもたちは僕たち大人を見て育ちます。
その価値観を当たり前として生きていくか、アンチテーゼとして別の価値観をぶっ立てて生きていくかは分かりませんが。

とりあえず見てます。

今、僕たちはどんな世界で生きているでしょうか。


僕は1996年に生まれました。
家にはデスクトップのでっかいパソコンがありました。
携帯は持っていないことが普通の時代。
ゲームはまだ白黒のゲームボーイです。


小学生になると、自分で簡単にパソコンを使ってました。
友達とはニンテンドーDSで遊び、携帯電話を親が持っていました。


中学生の頃は半分の友人した携帯を持っていません。
彼女からの電話が家にかかってくるのは地獄です。
待ち合わせになかなか来ない友人の行方は不明です。
わからないことがあっても、調べるのは大変です。


高校生、iPhoneになりました。
授業中は隠れてスマホゲームに明け暮れ、
女の子とのやりとりはこっそりLINEでできるようになりました。
わからないことはいつだって調べれる時代に。
でも、今ほどの情報量はありません。


そして今の時代です。
もうほとんどなんでもスマホ見たら調べれる。
=すぐにほしい結果が出る。


調べるどころか、調べる前に

「どうせこれが知りたいんだろ?」
ってAIが先回りしてくれる時代。

子どもはスマホを持ってるどころか依存症。


あ、インスタのおすすめ機能とかそうですからね。
先回りで超速で結果を見せてくれてるんです。


ここまで27年です。
やばくないですか?


時代の速度感の高まり方が凄まじい。

人間の性なんでしょうか。

より速く、より便利に、より簡単にと求め続ける。


知らぬ間に大人が速度を求めた結果


ですが、進化しているのはテクノロジーなだけであって僕たち人間は進化をしていません。

知らぬ間に大人が速度を求め続けた結果、

すぐに結果が出ないことに耐えれない人が増えやしないだろうか。


すぐに、簡単にできることの多くは誰でもできることです。

スポーツや学問など、困難を伴うことはすぐに簡単にできるはずがありません。
なぜなら人間の細胞レベルでの変化を伴うからです。
(勉強=脳、神経の変化、スポーツ=筋肉、骨、脳の変化)

どれだけテクノロジーが発展して便利になっても、人間が変化を伴う速度は大きく変わりません。


でも、日常のあらゆるものが「すぐに結果が出て当たり前」になっています。
電子レンジだってそう。
昔は食材から手間をかけて作っていた料理も、5分ほどチンすればお店並みに美味しい冷凍食品がたくさんある。


そんなちょっとしたことで

って思うかもしれない。

でも蓄積だと思う。
事実スマホに関しては僕らの脳機能を下げていることがあらゆる研究で証明されている。
これは携帯電話の時代には言われてなかったこと。

さあ、そんな下がった機能で何か大きな目標は達成できるだろうか。


「すぐ」「簡単」に慣らされる弊害

なんでもすぐに結果が出ないと我慢できなくなる。
ちょとしたことなら構わない。

けど、何かのスキルを高めることや能力を高めることは根気が必要。


何回やったらいい?
どれくらいでできるようになる?


よく聞かれる質問ですが、一人一人現在位置が違うし、ポテンシャルも違う。
1回あたりのクオリティも違う。


ネットのおかげで今までは世間に目立たなかった人も目立つようになった。


1ヶ月とか1年の超短期間で大成功するような一握りにストーリーだけが目立つ。
そんな人が世の中にたくさんいるように勘違いするけど、日本人1億人のうちでもひとつまみだし、80億人の全人類の9割は根気のいる継続が必要だ。


すぐ結果がでることの方が少ないのに、それが普通と勘違いする。
すぐ結果が出る人に限って、裏側の血の滲む努力の話はしない。


だいたい何かができるのは100回とか1万回とかきりのいい数字じゃなくて

1万1回目とかだと思う。


ドリカムが歌ってたよね。

10000万回だめで かっこ悪くても
10001回目は 何か 変わるかもしれない


過剰なマーケティングが僕は嫌いです

だけど、「すぐに」「簡単に」の情報を毎日浴びせられた人にとって現実的な話なんてクソ喰らえになる。

そうなると市場はどう反応するか。

「すぐに」「簡単に」「誰でも」
そんなワードに溢れたマーケティングをする。


例えば、昨今は働き方の自由度が増した。
フリーランスとか起業が普通になったし、そうなりたいと思う人も増えた。

そんな人たちを狙って

「だれでもすぐに現場レベルのスキルがつく!」
「1ヶ月で〇〇になれる!」

みたいな講座も増えた。
それが流行る。

大人がこのザマでいいのだろうか。

自分が消費者側なら1ヶ月の急ごしらえのサービスや商品は怖いはずでしょ、、、。


現実はどうだろうか。

起業の10年後生存率は3割を切ります。
フリーランスの10年後生存率は1割です。


「すぐに」「簡単に」「誰でも」


無責任すぎないだろうか。


世界はトレードオフ。何を捧げますか?

何かを成し遂げるにはトレードオフです。

時間、エネルギー、お金

得たいものが大きければ大きいほど、たくさん何かを捧げないといけません。


便利なもので簡単に済ませることを止めるわけではありません。
大きな何かを得るにはトレードオフだということを再認識しておく必要があるだけです。


メンタルも強くなる

すぐに結果を求めることを辞めるだけで、何をするにおいても心の余裕が出るしメンタルも強くなっていく印象です。

当然、成果が出るまで諦めないので、成功もしやすくなります。

だからうちのレッスンやトレーニング、その他サービスにおいても
「すぐに」「簡単に」「だれでも」なんてことは言いません。

個別指導だから、1時間フルコミットはします。
きっかけや気づきになることも多いです。
モチベーションも上がるでしょう。
来た時と帰る時では泳ぎも変わっているはずです。

でも、それが試合でできるレベルに達するには1時間では絶対に不可能です。


だから必ず言います。


普段の練習でも徹底しよう。

今日やったトレーニングを絶対に続けよう。

大人から気づく、離れる

テクノロジーに代表されるような便利さはあくまでも補助装置、
継続を助けるものだったり加速させるものにすぎないと思います。


僕たち大人がそれに気づき、
この異常な速度重視の生き方から少し離れることは大事ではないでしょうか。

ここでいう速度は「速く仕事を仕上げる」とかではありません。
「速く成果が出て当たり前」という意味です。

仕事は速いに越したことはありません。
ですが、部下が「仕事が速くできるようになる」ためには時間がかかるんです。
部下の成長は気長に待つ心の余裕がほしい。
部下もこちらも自己研鑽や指導に時間をかける。
トレードオフ。


僕は10001回目に諦めずに挑める選手を育てたい。



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