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子どもでいたい〜♪ ずっとト○ザラスキッズ〜♪ #こんな学校あったらいいな(後編)


前編はこちら。


3時間目:体育、算数(13:00〜14:00)

ミッション…いざ、魔王退治へ!


遠い星からやってきたナンバナンバ大王が地球を支配しようとしている!阻止できるのはきみたちだけだ!魔王の城にある3つの扉をあけ、魔王を倒してくれ!


「よし、みんないくぞ!」

ごはんを食べてお昼寝をしたあとだから、エネルギーまんたん。もえちゃんだけはゆうや先輩の背中ですやすやと気持ち良さそうに眠っている。

「1,230×73=89,790!」


ひとつめの扉はひき算、ふたつめの扉はたし算、そして3つめの扉はかけ算。ゆうや先輩のおかげで一回も止まることなく進む。

ただ…この魔王の城、ちょっとつらすぎ。100段の階段があったり(魔王の城なのに地獄階段って書いてあった)、ロープをつかって川をわたったり(地獄にある池みたいな真っ赤な色をしていた)。

うちのママだったら「ダイエットになるわー」とか喜んだのかもしれないけど。これじゃあ魔王と会う前に疲れてたおれちゃうよ。こんなsasukeみたいな城をつくったのはきっと、体育のガンバ先生に違いない。


「お、どうやらついたみたいだぞ」

目の前にはドラクエのラスボスみたいな魔王が座っている。一歩踏み出すとセンサーが反応して目に赤い光が宿る。


「ヨクゾここまでキタな。勇者ドモ。さあ、ワレを倒してミヨ!」


「倒してみよ、って言われてもさw おれたちなんも持ってないよな?」

そう、ぼくたちには、武器も魔法もない。


「あ、あの絵じゃない?」

りかちゃんが指差したほうをみると、剣と盾の絵がかいてある。

「うーん…具現化する魔法も知らないし、どうやったら…」


「ねえ、見て見て! 剣!」

まもるくんが腕を上にあげて、剣のカタチになった瞬間。


ドカーーーーーン!!!!!


「くっ…ナカナカやるな」

そうか! ぼくたちが剣や盾のカタチになることで、攻撃したり防御したりできるんだ。


そうとわかれば。

「せーのっ!」

ドカーーーーーン!!!!!
ドカーーーーーン!!!!!


ゆうや先輩とぼくが一斉攻撃を開始。


大きな音で起きたもえちゃんと、「こんなの恥ずかしい!」といいながらもポーズをとるりかちゃんも参戦。まもるくんも一緒に「せーの!」で剣のカタチになる。


ドカーーーーーン!!!!!
ドカーーーーーン!!!!!


ドカーーーーーン!!!!!
ドカーーーーーン!!!!!


ドカーーーーーン!!!!!



魔王だってやられっぱなしじゃない。そんなに簡単にやられてくれない。攻撃をふせぐとすかさず目からビームを出してくる。


それならこっちは盾だ。5人で力を合わせて大きな盾をつくる。ふう。なんとか防げたみたいだ。



「これで最後だ。みんな、フルパワーをだしてくれ!


ドッカーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!



「くっ…ワガ野望もコレまでか。地球にはスバラシイ勇者がイル...ようだ」

「やったー!!!」


魔王はゲームの中で何千回もやっつけてるけど、こうしてみんなでやっつけるほうが何万倍も楽しい。


なーんて感傷にひたってる場合じゃない。最後の授業が残ってる。クリアしないと学校から出られない。



4時間目:社会(14:30〜15:30)

ミッション…日本の歴史を教えてあげよう!


パパのお友達のチャーリーの娘、エンジェルちゃんがうちに遊びにきているんだ。せっかくだから日本の歴史をわかりやすく教えてあげてくれいないか?


「…って、だれのパパだよ笑」

「せんせーたち、ネタに困ったんじゃないかしら」

あいかわらずりかちゃんは、言うことがお姉さんっぽい。


「刀、着物、よろい…きっと、劇をやれってことだな。池田屋事件でもやるか」

そう言いながら、ゆうや先輩はてきぱきとみんなに小道具をくばり、役を決めていく。ぼくは沖田総司役だ。


「エンジェルちゃん、これから池田屋事件を教えてあげるよ」

「ワー、ウレシい。アリガトウ」



バタバタバタバタ…ザッ

「御用改めである! 神妙にお縄につけっ!」

「くそっ!新撰組だ! ものども、やってしまえ!」

時代劇のような大立ち回りを演じて、最後に攘夷派志士役のもえちゃんが倒れる。

「くっ…無念」


息をひそめてエンジェルちゃんことAIロボットの判定を待つ。


「ねえ、もえ、もう起きてもいい?」



あーあ。もえちゃん。あと3秒がまんしてくれればよかったんだけど。

ま、いっか。こうしてみんなで笑えたんだし。やっぱり、死んで終わるより笑って終わるほうが楽しい。



「あ、ともやー! いっしょに帰ろー! どうだった?」

「給食は松坂牛のステーキ。判定はAだったよ」

「いいなー。でもなんで? S判定じゃなかったの?」

池田屋事件のてんまつをはなすと、けーすけが吹き出す。

「AIロボあるあるだなー。」


「で、そっちは?」

「給食はハンバーグ。目玉焼きがのったやつ。判定はB」

「あ、それ、うちのチームの2年生が食べたがってた笑」

「ぶっちゃけおれも、ハンバーグでよかったかも。めちゃくちゃおいしかったし」

「じつは、ぼくもハンバーグのほうが好きだったり笑 みんなの前ではかっこつけてステーキおいし〜!とか言っちゃったけど」

「おれたち、まだまだ子どもだな笑」

「うん、このままずっと子どものままでもいいかな笑」



(おしまい)



<この物語について>
わたしが小学生だったら、こんな学校に行きたい!と思う小学校を考えてみました。

設定は(ざっくりですが)こんな感じで考えています。

・クラスの概念がない
・授業は全学年一緒にする
・AIや最先端技術をたくさん使っている
・授業のすべてがゲーム(を通して勉強もできる)
・チームは年齢、性別、能力、これまでの成績でAIが編成する
・チームみんなで協力して授業をクリアする
・同じ日に行われるゲームはチームのレベルごとに5つに分かれている
・先生たちは企画とサポート(先生も楽しめる)
・知力、体力、精神力が身につくゲーム
・ちょっぴり運も必要
・卒業したくなくなる学校(ずっと子どものままでいたくなる)

というわけで最後に。
めちゃくちゃな長さの物語を読んでいただき、ありがとうございました!







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