広告運用歴11年の私の分析手順

まっち(@matchicchi)です。

Webマーケティング歴16年で、広告運用歴は11年になります。

そんな私が広告運用の分析をどうやっているのか、言語化してみようと思います。

今回は成果悪化時の分析を言語化してみます。

前提工程

まず前提として、分析には仮説が必要であり、仮説を構築するためには日々やっておかなければいけないことがあります。分析の前に前提工程をお伝えします。


①履歴を精密に記載する

運用型広告の成果の悪化・良化は、体感80%は人為的要因です。
人為的要因とは、入札を変更したり、ターゲティングを変更したり、クリエイティブを入稿したりするような設定変更を指します。

広告媒体にはGoogle広告のように変更履歴が残るものもありますが、変更履歴の有効期限があったり、細かく残りすぎて対象の変更を探すのが大変だったりといろいろ問題があります。

そのため、設定変更はすべて手動で記載しておくことが重要です。

私の場合は、設定変更に加えて、サーバーメンテナンスやCM開始など、成果に影響しそうなこと全てを記載しておきます。

この履歴をつけるということだけで大変なので、8割の運用者は脱落する印象です。

②媒体のレバーを頭に入れておく

媒体とは、広告運用プラットフォームのことです。具体的に言うとGoogle広告であり、meta広告などのことです。

媒体において、人の手でできることは限られています。

人の手で変更できることを"レバー(lever)"(肝臓liverの方ではなく、機械leverのこと)と定義します。

そのレバーを全て把握しておかないと、問題が発生した時に、対策が立てられません。

そのため、普段から媒体でできることやアップデートは常に把握しておく必要があります。

私は新人研修の際には、その媒体でできることを一覧化する打ち手リスト作成をオススメしています。

分析工程

さて、上記をやった上で、ようやく分析工程に入れます。


③"いつ"を特定する。

成果が悪化した。それが発覚したらまず"いつ"を特定しましょう。

成果が悪化した時期のことです。

月次→週次→日次という順に分解して時期を日単位まで特定します。

例えば10月の実績が9月と比べて悪化した。その時に10月の何日から悪化したのか?を特定します。厳密にはわからない場合も多いですが、その場合は◯日頃という程度で大丈夫です。

④"なに"を特定する。

"いつ"が特定できたら、次は"なに"を特定しましょう。

キャンペーン、広告グループ、クリエイティブ、TD、キーワードなどのアセット要素と、Cost、imp、Click、CV、CTR、CVR、CPA、CPCなどの数字要素を特定します。

この時に無作為に探すのではなく、次項に記載する仮説を立ててから特定しましょう。

もし仮説が立たない場合は比較しながら探しましょう。"なに"を特定するためには比較する必要があります。

"いつ"が特定できているので、その"いつ"の前後比較をすることが多いです。

10月15日から悪化しているのであれば、10月15日〜10月21日までの7日間。それと同じ長さの前の期間を比較します。10月8日〜10月14日の7日間です。

その際、大きなところから比較していきます。

キャンペーン別の上記期間の比較。
次に広告グループ別の上記期間の比較。
クリエイティブ別の上記期間の比較。

こういった形でブレイクダウンをしながら、どのような数値が差があるのかを比較しながら"なに"を特定します。

⑤仮説を立てる。

"いつ"が特定できて、前提の設定履歴をつけていれば、設定変更が悪化の原因か否か?はすぐに特定できます。

例えば以下のような感じです。

事実1.10月15日からCPAが高騰している。
事実2.10月15日前後の履歴を見ると、10月14日にクリエイティブを新規入稿をしている。
事実3.10月15日からCTRが下がっている。

仮説.新規入稿したクリエイティブの中でCTRは低いが、impが発生し、足を引っ張っているクリエイティブがあるのではないか?

⑥仮説を検証する。

⑤で立てた仮説を検証するにはどうすれば良いか?を考えます。

前述した例は簡単です。新規入稿したクリエイティブと既存のクリエイティブの実績一覧を出せば、特定のクリエイティブが足を引っ張っているか?を確認すれば良いだけです。

検証するためには、施策を行う前の"設計"が重要になってきます。
事前に検証を行えるように設計をする必要があります。

基本的にはAB比較。それができない設定変更の場合は、前後比較。
施策の特性や予算などによって変わってきますが、事前に"この施策はどうやって検証するか?"を考えておくのが大切です。

⑦原因の特定をする。

問題:10月15日からCPAが上がっている。
仮説:10月14日にクリエイティブの新規入稿をしている。

次は成果悪化の原因を特定します。

新規入稿したクリエイティブが4本あったとして、A、B、C、Dの4本の実績を並べてCTRが低いものがC、Dだったとした時には、原因はクリエイティブのC、DのCTRが低いこととなります。

⑦対策を考える。

問題:10月15日からCPAが上がっている。
仮説:10月14日にクリエイティブの新規入稿をしている。
原因:10月14日に新規入稿した4本のクリエイティブのうち、2本のCTRが低い。

ここまでわかったら、次は対策です。
考えられる限りの対策を列挙しましょう。

<対策例>
対策A:クリエイティブC、Dを停止する。
対策A-2:クリエイティブA、B、C、Dを分析し、CTRを上げる要素、下げる要素を再度分析し、新規クリエイティブ開発をする。
対策B:静止画クリエイティブはそもそもCTRが低い傾向にあるため、動画クリエイティブを開発する。

対策を考える時に大切なのは、手順②の「媒体のレバーを頭に入れておく」です。
レバーを頭に入れておかないと対策がすぐに出てきません。

対策の引き出しは、クライアントのビジネス理解、媒体理解、クリエイティブ理解と幅広い知識があって初めて妥当且つ現実的な対策を考えることができます。これは地道なインプット・アウトプットしかありません。

インプットは、本を読む、記事を読む、TwitterなどのSNSで情報収集をする。

アウトプットは、実務で試してみる、TwitterやBlogなどで自分が理解したこと、わかったことをアウトプットする。

こういった積み重ねが、妥当且つ現実的な対策を考えられるようになる方法です。

⑧対策の想定インパクトを元に優先順位をつける。

複数の対策が生まれたら、その対策のインパクトを算定し、優先順位をつけます。

想定インパクトの設定はまたも仮説を考えるしかありません。

ここは多少経験や慣れが必要になるかもしれません。

大切なのはまずは自分なりの仮説を立てること。それを識者(上司・先輩・頼れる人)にぶつけてみることです。

⑨対策を実行する。

ここまできたら、あとは優先順位の順番に対策を実施するだけです。

まとめ

長々と書いてきましたが、要点は以下の通りです。

"いつ"と"なに"の特定を行う。
履歴を用いて仮説と立証を行い原因を特定する。
媒体の打ち手リストを用いて対策を立てる。

と言った感じです。

今回は"新規入稿したクリエイティブのCTRが低いこと"が原因と、少しわかりやすい例すぎたかもしれません。

実際の現場では、そもそも問題の設定が間違っていたり、原因の特定ができなかったりする場合もあります。

また、設定した問題が仮に正しかったとしても、設定した問題を解決するインパクトよりも、他の問題を解決した方がインパクトが大きいと言ったようなことが起こります。

しかし、上記のようなプロセスを経ることは問題解決の基本です。
基本の型を身につけて、はじめて応用できます。
まずは基本の型を徹底して習得することをオススメします。


ということで終わりです。読んでくれてありがとうございました!

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また他の記事でお会いしましょう。バイバイ👋


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