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ラジオ体操第一の五番目のふり

運動不足解消のためにできるだけ毎日ラジオ体操をやるようにしている。

学生時代、夏休み前に配られるたくさんのプリントの中でラジオ体操のカードは速攻家に帰ったらすぐ捨てるファイルにしまっていた。

少子化の影響なのか近隣の住宅への騒音配慮なのか、私が住んでいたところでは夏休みの朝に集まってラジオ体操をやる習慣はなかった。

首から下げたカードにハンコを押してもらうあの描写はアニメや漫画の中だけの話だと思っていた。

だからラジオ体操を踊ったのは中学時代の体育の授業と運動会の準備体操くらい。今改めて見てみるとあの短い時間の中でこれだけの全身運動が入ってるのはすごいなぁと思う。

中学の保健体育は実技だけじゃなく筆記もある。

基本的には体育の部分はバスケットボールの歴史とかスポーツの時事問題、競技ルールを書くような問題で、保健部分は生活習慣病とか二次性徴について。

覚えておけば何の問題もなく解ける問題だった。

ある時配られたテスト範囲を見ると「ラジオ体操」と書いてあった。

ラジオ体操の筆記の問題って何?と思いながらそんなに配点高くなさそうだし‥特に此れと言って対策を組まずテストに臨んだ。

「問 ラジオ体操第一の五番目のふりを図示しなさい」

はっ?そもそも五番目がどの動きかなんて覚えてない。仕方ないので脳内であの音楽を流しおじさんの声を思い出しながら踊る。ふと顔を上げれば前に座ってる友人も小さく踊っているように見えた。

「うーん、これかな?」思ったものを棒人間と矢印を使って書いていく。

やっと終わった‥思わぬところでタイムロスをしてしまった‥。早く次の問題に行かなきゃ。

「問 ラジオ体操第一の八番目のふりを図示しなさい」

まじかぁ‥。とばしたいけどおそらくこの二問の配点は高い気がする。一問5点くらいだろう。前半は一問1点だからそれに比べたら圧倒的に高い。

さっきは五番目だったからその三つあとでしょ‥?さっきの続きを思い出そうと思ったけど出てこない。

私は一連の動きをあの耳に残る音楽とおじさんの声で覚えていた。残念ながら途中のどこかから切り取って思い出すことはできない。

仕方ないので、また頭の中で最初から音楽を流し小さく踊る。3倍速ぐらいの動きでやってるけど他の問題と比べて圧倒的に時間がかかるし、そこから絵を書いていかなければいけない。

「これ‥かな‥?」不安を覚えながら書く。

そんなこともあったなっなぁ、せっかくなのでラジオ体操をできた日は手帳にスタンプを押している。

そろそろ40個は溜まったから、ご褒美に何か買おうかな?

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