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いのちのうろこ

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2017年にアートワークを担当したQooSue10周年アルバム「いのちのうろこ」をキッカケに絵に出てきたキャラクター、 通称「もりお」と「たま」に、当時吉岡が書いた物語に改めて五…
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#絵本

いのちのうろこ1

いのちのうろこ1

それは昼の目をちいさくおしつぶしたかのように輝いていてとても熱そうにみえましたが、近寄ってみてもふれてみても両手でそっと包んでみても、ぜんぜん熱くないのでした。

いのちのうろこ2

いのちのうろこ2

耳を近づけてみると、サラサラとした音が幽かに聞こえます。

こんなものは、この森ではまったく見たことがありませんでした。          
きっとウツホから落ちてきてしまったに違いありません。           

ウツホにはこのようなキラキラ光るものがたくさんあるのですから。

いのちのうろこ3

いのちのうろこ3

ウツホへ届けようと、上へ放りましたが、それはすぐハニにかえってきてしまいました。拾い上げ、今度はさっきよりも腕を振り上げて放りました。またかえってきてしまいます。 

 ゆっくり放ってみたり、自飛び上がりながら放ってみたりしましたが、それがウツホに吸い込まれることはありません。

いのちのうろこ4

いのちのうろこ4

少し疲れたので、キの根元にうずくまりました。
いつもはこうしているとすぐに眠ってしまうのですが、なんだかざわざわして中々眠れませんでした。
これはとても美しくて、この暗い森の中でとても輝いているけれど、いつまでも持っていてはいけないと思いました。

いのちのうろこ5

いのちのうろこ5

そんなことを考えながらふと前に広がる大きなスイを見ると、夜の目に照らされたスイの表面はキラキラと輝いています。
今、手の中にあるものよりもずっと弱々しいし、常にぬらぬらと蠢いていましたが、その一瞬に見せる輝きは似ていました。

いのちのうろこ6

いのちのうろこ6

ゆっくりと遠くを見ていくと、夜の目もスイの表面にうつっています。

スイのすぐ上には本物の夜の目があります。今日は、何を考えているかわからない、まんまるの形でした。

おや?

いのちのうろこ7

いのちのうろこ7

もう一度スイにうつる夜の目を見ます。

こちらのスイは黒い点があります。
他の光のように、スイの蠢きでそう見えるだけかと思いましたが、じっと見つめていてもそこだけは動かずずっと黒いままでした。

いのちのうろこ8

いのちのうろこ8

手の中の光を見ると、さっきよりずっと光っています。
光りすぎてぼろぼろになっていくように感じました。

いけない。

体を起こし、急いで光をスイの中へ滑り込ませました。

いのちのうろこ9

いのちのうろこ9

光はスイに導かれ、真っ直ぐに黒い点へ進みます。周りの弱々しい光はまるで邪魔をしないように引き下がっていきます。

やがて、光はぴったりと黒い点に重なりました。

いのちのうろこ11

いのちのうろこ11

ひろいひろいスイの全部がいっぺんに盛り上がっていき、美しいウロコの大きなサカナが現れ、

一度こちらを見るとゆったりと体を揺らしながら、幾億ものサラサラとした鈴の音を従えて夜の目へと還っていきました。

もりおよまた会う日まで

もりおよまた会う日まで

リテイクなんかもあり全部描き終わるのにすごく時間がかかってしまいましたが、そんな見る人いないだろうしいいかげんもう物語を全文公開したかったので、リテイクになった絵と、2017年に描いた元のラスト絵で上げてたのですが、絵を差し替えました(._.)

そのとき♡を押して下さった方には申し訳ないなと思い、以下に差し替え前の絵を残しておくことにします。

いのちのうろこ11差し替え前

いのちのうろこ12

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